巨人時代からの菅野の“懸念”がふたたびクローズアップされている。(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext

 シーズン開幕に向け、女房役との確認作業は深まっている。

 現地時間2月21日、米フロリダ州サラソタでの春季キャンプで、オリオールズの菅野智之がライブBPに移籍後初登板。合計8人に対して26球を投げ、打たれたヒット性の当たりは4本、2三振を奪った。

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 マイナーリーガーを含んだ打者たちが相手であるとはいえ、まずまずの内容で“初実戦”を終えた。オリオールズを率いるブランドン・ハイド監督が「高いレベルで、非常に優れた成果を出してきた投手として扱う」と期待を寄せる35歳は、着実にコンディションを高めている印象だ。

 地元紙『Baltimore Banner』によれば、この日の菅野はチームの正捕手であるアドリー・ラッチマンとコンビを形成。ブルペンからボールを受け続けた27歳は「今日は、試合中に投げないものも含めてできるだけ多くの球種を見たかった。いろいろな球種を投げて、お互いの感触を確かめたかったし、彼が何をできるのか、いろいろな表情を見たかった」と回想。続けざまに「かなり良かったよ」と明かし、日本人右腕に対する第一印象が好感触であったようである。

 無論、菅野の“不安材料”が完全に解消されたわけではない。とりわけメジャー平均を下回る4シームの平均球速91.9マイル(約147.8キロ)は、「パワー不足」として懸念されてきた。

 ただ、菅野は巨人時代から多種多様なボールでそれを補ってきた。この日も『Baltimore Banner』の取材に応じたラッチマンが「とくにスプリットは本当に良いボールだった。

彼は色んな方法で相手を攻める武器を持っているね」と唸ったように、打者を惑わせるボールに対する評価は高い印象だ。

 チームリーダーでもある若き正捕手の言葉を用いた同紙は「オリオールズのフロント陣でさえフリーエージェントで獲得した彼の投球がどれほどのものなのかにちょっとした疑問を抱いていた」と指摘。その上で「スガノの全体的な構成は速球の速さよりも、あらゆる球種と組み立てをどう使うかが彼の成功を左右することを示唆している」と論じた。

 ここからオープン戦などの実戦を経て、どこまでMLBの打者たちにアジャストしていけるか。巨人の18番を背負った男の真価が問われそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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