スタントンとコールは共にレギュラーシーズン開幕を前に長期離脱を余儀なくされる気配だ。(C)Getty Images

 悲願のワールドシリーズ制覇を目指すヤンキースに、暗雲が立ち込めている。

 現地時間3月8日、米紙『New York Post』が報じたところによれば、投打の両主軸に緊急事態が生じた。今春のキャンプ前から両肘の痛みに悩まされていたジャンカルロ・スタントンに今季絶望の可能性が浮上。さらにエース右腕であるゲリット・コールが近日中に右ヒジのMRI検査を受ける予定となった。

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 マーリンズとの13年総額3億2500万ドル(約481億円)の契約を残した中で2018年にヤンキースにトレードで加わったスタントンだが、移籍後は相次ぐ故障によって成績が低迷。コンディション不良が常に不安の種となってきた。

 迎えた今季は開幕を前に苦渋の決断を余儀なくされた。両肘の状態が芳しくなく、スイングもできない状態だったスタントンは、2月24日にキャンプを離脱。ニューヨーク市内で両肘にPRP注射(血小板を利用した治療法)を受け、経過観察中だという。

 今後3回のPRP注射治療を行っていくというスタントン。手術の可能性はないとされているものの、故障者リストに入った現状に本人は「まずこの治療を終わらせてから、考えていく。間違いなくこの状況は嫌な感じがしている」と吐露。同紙によれば、痛みの影響によって握力も落ちており、バットを握る行為はおろか、日常生活で物を拾い上げることにも苦労しているという。

 主砲が長期的な治療を強いられる可能性が高まる中、ヤンキースにとってさらなる不安材料となっているのは、コールの状況である。

 コールは現地時間3月6日に行われたツインズとのオープン戦に先発し、3回途中6失点と乱調。直球の平均球速は154キロを計測して出力に問題は見られなかったが、制球が定まらず……。不安を抱えた試合後に事態が急変。『New York Post』の取材に応じた本人によれば、「家についてから痛みはひどくなった。何かがおかしいんだ……。眠るのも大変で、翌朝は不安でしかたなかった」という。

 昨春にも右ヒジを痛めて戦線離脱を余儀なくされていたコール。球団の設けたMRI検査を経てのセカンドオピニオン次第では、トミー・ジョン手術などの大規模な治療を受ける必要性も出てくる。

「あの先発(ツインズ戦)をするまでは最高の状態だった。リスクを軽減する計画を立て、それを実行できていたからね。まだ希望はあるけど、不安だ。

最善を願っている」

 そう漏らすコール。仮に大エースが長期離脱を余儀なくされれば、投打の柱が欠けることになり、ヤンキースのダメージは計り知れない。

 まさに地獄のような春を迎えているヤンキース。今オフはフアン・ソトとの再契約にも失敗するなど帝国復権に向けた道のりは険しくなる一方だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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