グアルディオラ(右)に対して、包み隠さずに本音を口にしたカペッロ(左)。(C)Getty Images

 攻撃的かつシステマチック、そして結果と美しさの両方を探求し続ける――。

マンチェスター・シティを率いるジョゼップ・グアルディオラの標榜するスタイルはサッカー史を変えた。その戦術はいまなお進化を続け、多くの人々から称賛を集めている。

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 もっとも、そのスタイルは万人に評価されているわけではない。見る人によっては「傲慢」なのである。

 かつてミランやユベントスを率いたファビオ・カペッロ氏は、スペイン紙『El Mundo』でグアルディオラのスタイルを「その傲慢さによって、何度となく優勝を逃してきた」と苦言。かつてローマ時代に師弟関係にあったスペイン人指揮官を断じた。

 かくいうカペッロ氏のスタイルは「娯楽性が欠如している」と批判されることもあったが、イタリアの伝統的な勝利至上主義を貫く、グアルディオラとは相入れない哲学である。

 無論、カペッロ氏も数多のタイトルを手にしてきたグアルディオラの功績を軽んじているわけではない。そこは「私は監督としては大きく評価している。いくつもの素晴らしいことを成し遂げている。私はフットボール界で三つの改革を目にしてきた。クライフのアヤックス、サッキのミラン、そしてグアルディオラのバルサが成し遂げたことだ」と語る。

 しかし、百戦錬磨のイタリア人は「私はグアルディオラをリスペクトしているが、しかし彼について『傲慢だ』と考えているのも事実だ。加えて、別にこれは彼のせいだけというわけではないが、現代サッカーは彼から大きな打撃を受けてしまった」と断じている。

「ここ10年、世界中が彼のことをコピーしようとしてきた。だが、それこそがイタリア・サッカーをダメにしたと思っている。イタリアから本質を消し去ったんだ。私は何度も言い続けた。『もういい加減にするんだ! グアルディオラが持っているような選手たちを、君たちは擁していない!』と。それからは、良いプレーを見せるというのが一つのアイデアだけになってしまった。

 ボールに触って、触って、触って、触って、触って、触って、触って、そして触って……。イタリア・フットボールは今、GKまでもボールとともにプレーするようになってしまった。これは悲劇的だし、多くの人々がフットボールを退屈なものとみなすようになっている。もう、ハイライトを見れば十分だとね」

 最後に「なぜ90分間にわたってパス回しを見なくてはならないのだ。

デュエルも競走もない横パスだらけの試合を……」とボヤいたカペッロ氏。一世を風靡し続けるグアルディオラのサッカーに対する不満は止まらない様子だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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