ドジャース戦で決勝点となる本塁打を放った佐藤。試合後にはロバーツ監督からも賛辞が贈られた。

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 メジャーリーガーたちを牛耳る試合内容は、米メディアに衝撃を与えた。

 3月16日、東京ドームでMLB球団のプレシーズンゲーム第2戦が行われ、ドジャースと対戦した阪神タイガースは3-0で快勝。前日のカブス戦でも同スコアの完封勝利を収めていた猛虎軍団は、ふたたび完璧な試合運びを披露した。

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 昨季のワールドシリーズ王者を凌駕した。とりわけ圧巻だったのは投手陣で、阪神の先発の才木浩人が5回1安打無失点7奪三振、1四球と好投すると、6回からハビー・ゲラ、岡留英貴、桐敷拓馬、石井大智の継投。見事なリレーで大谷翔平やフレディ・フリーマン、テオスカー・ヘルナンデスらが名を連ねた強力打線を抑え込んだ。

 本来なら開幕前の調整時期ではある。さらに来日から間もないタイミングでの試合とあって、ドジャースとカブスにコンディション面での負担が少なからずあったのは想像に難くない。それでも2戦連続シャットアウトゲームを展開した阪神のパフォーマンスは、米メディアでも垂涎の的となっている。

「もしかしたら、阪神タイガースこそが野球界の真の『悪の帝国』なのかもしれない」

 そう記したのは、ドジャースの地元紙『LA Times』のジャック・ハリス記者だ。

 昨今の移籍市場で大物を次々と補強し、球界で“悪の帝国”と揶揄されるドジャースをなぞったベテラン記者は、「東京に駆けつけた賑やかなタイガースの観客によって一層引き立てられた。チームが打席に立つたびにドーム中に大きな歓声が響き渡っていた」と回想。

虎党の熱烈な声援がこだまわした球場の雰囲気を含め、阪神に勢いが優っていたことを綴った。

 また、伝統的なファンの声援に刺激を受けた者もいる。15日に対戦したカブスのジュリアン・メリーウェザーは、地元紙『Chicago Sun Times』で「あの声援のエネルギーは好きだった」と強調。先発としてマウンドに立った際に感じた虎党の熱量にエモーショナルな思いを口にした。

「言葉の壁があったから、彼らが何を言っているのか分からなかった。だけど、それはかなりエキサイティングだった。興味深かったし、そのエネルギーを糧にできた」

 グラウンド上でメジャーリーガーたちを抑え、グラウンド外でもファンの熱量が国際的な反響を呼んだ。このプレシーズンゲームの主役は「Hanshin」だったと言っていいのではないだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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