現在TikTokは、動画の投稿のみならず、ライブ配信“TikTok LIVE”も大いに盛り上がっていることをご存知だろうか? バーチャルアイテムを送信して配信者を応援する、ギフトと呼ばれる“投げ銭システム”が導入されており、数万円もする高額ギフトが毎日のように飛び交っている。そんなTikTok LIVEには、国内外問わず幅広いリスナーを引き付ける、多種多様な人気者たちが大集結。
■SATOYUがTikTokerになるまで
ーーTikTokのフォロワー数が250万人を超え、1本で1700万回以上も再生された動画があるほど注目を集めるSATOYUさんですが、TikTokを始める前は、どんな仕事をしていたのでしょうか?
12mあるトラックの運転手をやっていて、大きな鉄鋼材を運んでいました。僕は地元がトヨタのある愛知なので、鋼材や鉄のパーツがたくさんあって。でも今はそんな大きなトラックは運転できないと思います。怖くて…。
ーー意外な経歴ですね。SATOYUさんは、小さい頃、どんな子供だったんですか?
実は、小学4年生からガラケーで動画を撮っていました。昔から好きだったんですよね。友達と、サッカーボールを持っているシーンと持っていないシーンを撮影して、「螺旋丸!」ってやったり…(笑)。
あと、カメラを逆さに置いて、スパイダーマンみたいに膝を広げるように座椅子に乗って、画面の外に飛んでいくっていう動画も撮ったことがあります。
本能的に“面白いヤツ”と思われたかったのか、常に笑いを狙っていて、勉強とかは全くせずに、そういうことばっかりやっていたら、結局大人になっても似たようなことを続けて、それが仕事になってしまいました(笑)。
僕、カメラが回ると、どうせなら面白いことをしようって、ふざけるところがあって、TikTokを始めたのも、友達が「やってみたら」って言ってくれたからなんです。最初は特に企画などを考えず、スマートフォンに入っている動画をそのまま投稿していたら、バズりました。小学生の頃の動画、きっと今投稿しても、バズるんだろうな~。
ーー昔から才能があったんですね! それではTikTokで初めて投稿した動画ってどんな内容だったのでしょう。
■嵐の「Love so sweet」がバズのきっかけに
樽ジョッキにクリームシチューを入れて食べる動画でした。スプーンを取った時に偶然「チャカチャーン♪」ときれいな音が鳴ったことで、たまたまバズったんですよ。コメントを見たら「Love so sweet」と書いてあるので、「何だろう?」と(嵐の)「Love so sweet」を聞いてみたら、曲が始まる前に「チャカチャーン♪」と同じ音が鳴っていて、「これか!」と思いました。
ーーなるほど(笑)。その後は、どんな動画を投稿していったのでしょうか?
基本は声マネですね。
ーー確かに唯一無二かもしれないです…! モノマネといえば、ライブ配信で人気の“NPC(ノンプレイヤーキャラクター)”もありますよね。
これは完全に夏絵ココさんにインスパイアされています。無言配信をしている夏絵さんを初めて見たときに、「メッチャおもしろい」と思い、僕にも何かやれそうだと挑戦しました。イメージは『モンスターハンター』っぽい感じですかね。どのRPGにも何回話しかけても同じ返答しかしてこないヤツがいると思うんですけど、あれをTikTok LIVEでやりました。バラ1本などのギフトをAボタンとし、ギフトをもらうたびにリアクションをしていたら、それがめちゃくちゃ伸びて…。着ているモフモフは、キャンプの時に椅子に敷くモフモフした羊毛の敷物なんです。あれに穴を開けてスポットかぶって配信しています。
ーー(笑)。SATOYUさんってモノマネの投稿が多かったと思うんですけど、“月歩”にたどり着いた経緯は?
海外のTikTokで“歩くダンス”がはやっていて、そのときあまり動画を投稿していなかったので、“歩くダンス”を音楽にあわせて撮ってみたんです。
ーー集大成! そんなSATOYUさんの動画の中で、1番バズった動画を教えてください。
シグマフェイス(眉をハの字型に曲げ、口をすぼめる表情)ですね。今、TikTokのプロフィールのトップにピンしている動画です。投稿したのは“月歩”で一番バズっている時期で、そこに当時のトレンドだったシグマフェイスがかけ合わさることで、バーンと1700万回再生いきました。正直、これはバズると分かっていました。顔もそれなりにシグマになっていたと思いますし…でも実はこの動画は30秒で撮り終えたんです。他の動画はとても努力して撮影していたのに、一番バズったのがこれでした(笑)。
ーー時間をかけた動画が、必ずしもバズるというわけではないんですね。それではここから、プライベートについて聞かせてください。SATOYUさんといえば、動画やライブ配信に“よめゆ”こと奥さんも登場しますが、二人のなれ初めは?
■“よめゆ”との出会い
共通の友人から紹介してもらいました。5人ずつの合コンの場で、最初に僕が妻のことを「きれいな子がいるな」と気になったんです。男性陣が席についているところに女性陣が到着したのですが、妻が後ろを向いて脱いだコートをハンガーにかけたときに“おしり”がすごかったんです! そこで男性陣が一斉にザワついて、僕もひかれてしまいました(笑)
ーーおしり!(笑) そこからSATOYUさんを支えてくれる存在に。
モフモフを着たNPCキャラでTikTok LIVEをやったとき、出始めのころは“同接(同時接続者、リアルタイムで動画を見ている人数)”が2万人もいたんですけど、日が経つにつれて減っていき、100人をきってしまったんです。しかもそのときが、東京に出てきてクリエイターとして生きていこうと思っていたときだったので、「終わったな」って。
でも、僕が諦めようと思った時も、彼女のほうが肝が据わっていて、励ましてくれました。僕についてきて、やりたいことをやらせてくれたことにとても感謝しています。妻は元々動画編集の仕事をやっていたこともあり、TikTokのスタート時から動画の編集をしてくれていますし、最近はカメラもうまくなって撮影までしてくれています。これからも2人で動画を作っていきたいです。
ーーすてきです! ちなみに、そのピンチって、どうやって乗り越えたのでしょう。
低迷した6ヵ月間ずっと新たなキャラを作り続けました。10種類以上あって、そのうちの1つが、スーツのキャラクターでした。そこから“月歩”がバズって、妻から「ライブ配信でやってみたら?」と言われて、正直「バズんないでしょ、無理無理!」って思ってたんですけど、やったら一発目からバーンと1万人集まって、最大で4万人になって、やっと自分の納得できるコンテンツができました。働くことも考えたのですが、東京に出てきたのにやめたらカッコ悪いし、男ってカッコつけたいので、諦められなかったです。
ーー4万人はすごいですね。ライブ配信といえば、視聴者からギフトが投げられますが、最高額のギフト「TikTokUniverse」(約6万円)が投げられた時はどう思いましたか?
もう衝撃でしたね。「ウソだろう」って信じられなかったです。普段はギフトごとのイラストに合わせたリアクションを返していますが「TikTokUniverse」のときは、どう表現していいのかわからずに黙っちゃいました。
ーー皆さんから投げられたギフトの売り上げは、何に使っているのですか?
インフルエンサーとしての活動を底上げしていくために使っています。例えば、撮影時に強い風を起こすための業務用の扇風機とか、撮影機材とか。それこそキャラクターの衣装も20着以上ありますし、動画のための音楽も作ってもらっています。だからギフトを投げてくれる皆さんには感謝していますし「クオリティーが上がっていくよ、ありがとう!」と伝えています。
ーーファンの皆さんと一緒に作り上げていっているんですね。それでは最後にSATOYUさんの夢を教えてください。
マイケル・ジャクソンみたいになりたいです。MrBeastさん(登録者数が1億4000人を超えるアメリカのYouTuber)みたいな活動も楽しそうですね。未来のことまではわかりませんが、今を楽しんでいれば何かできるんじゃないかな。声マネ動画からナレーターの仕事もいただけましたし、TikTokからいろいろと広がっていけばいいなと思います!