昨年、大反響を呼んだドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS、TBS)。個性豊かな“彼女”たちの中でも、齊藤なぎさ演じる、ホスト沼から抜け出せない“ゆあてゃ”こと、ゆあは多くの人の記憶に残ったように思えます。
■ゆあと似ているところは「愛が重たいところ」
――昨年放送されたドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』でのゆあ役、非常に反響が大きかったように思えます。
原作のファンの方からも「ゆあてゃっぽかった」とたくさん言っていただきました。ドラマに出るまでは「キラキラしてそう」というイメージを持たれることが多かったのですが「そういう面だけではないんだね」と言われることも増えました。
ーーそもそもゆあ役を演じることが決まったときは、どう思いましたか?
ゆあ役はオーディションで決まりました。もともと原作のファンでしたし、仲の良い友達や家族から「なぎさはゆあてゃに似ているよね」って言われていたので、ぜひ演じたいなと思ってオーディションに挑んだのを覚えています。ただ、いざゆあ役に決まったときは、うれしかった一方、「原作ファンの方に受け入れていただけるかな」と不安な気持ちもありました。
――周囲の方からは、どんなところが「ゆあと似ている」と言われたのでしょう?
私、人に依存しちゃうタイプなんです。自分が好きって思った人に対する愛が重たくて、相手からも同じくらい愛されないと嫌で。そういうところが似ているって言われました(笑)。自分的には喜怒哀楽がはっきりしているところも似ているなと思います。
――シーズン1のゆあと言えば、ゆあが指名しているホストのハルヒ(藤原樹)とのやりとりも印象的でした。
ハルヒとはイチャイチャするシーンもあったのですが、それまでお父さん以外の男の人とそんな距離になったことがなかったので、クランクインする前は「どうしよう、なにを話したらいいんだろう」と内心戸惑っていました。それこそ男の人に怒鳴られた経験もありませんでしたし…。
――たしかにケンカシーンは、お二人とも迫真の演技でしたよね。
ハルヒに怒られたときは一瞬「うわぁ」ってなりかけました(笑)。でも、ハルヒ役の藤原さんが普段はとても温厚な方だったので「大丈夫、これは役だ!」と思い込んで、顔に出さないように頑張りました。
――ハルヒはもちろん、怒るゆあも相当怖かったです。どんなことを意識して演じましたか?
たしかに普段人に対して怒らないタイプなので、実質“人生初の怒鳴り”だった気もします。ただ、お姉ちゃんとケンカするときは、あんな感じになることもあったので、そのことを思い出しながら演じました(笑)。それから、ただ怒ればいいと言うわけではなく、一つひとつのセリフが流れちゃいけないということにも気を配らなくちゃいけなかったので、そこも気をつけました。
ただ、感情の起伏が激しいゆあを演じることができたのは、当時の私の精神状態も良い意味で影響していたのかもしれないなとも思います。
ーーどういうことでしょう?
■実はハードスケジュールだった撮影当時
実は撮影当時、全国ツアーを回っていて、体力的にも精神的にもきつかったんですよね。
ーーかなりハードだったんですね! そんな中で、ゆあモードとアイドルモードの切り替えはどのようにされていたんでしょうか?
カラコンを入れて、赤いアイラインを引いて…ゆあちゃんのメイクが完成されるにつれて、気持ちが切り替わっていたんです。忙しすぎて記憶がないのですが、アイドルとゆあてゃの両立はできていたように思えます。
■演じるたびにゆあへの愛が深くなっていった
――「特別編」では高校生時代のゆあを演じる齊藤さん。どんなところにこだわりましたか?
監督とお話したときに「ゆあがゆあてゃになる、その過程を描いている部分だから、高校生のゆあは前回よりも人間味があってほしい」と言われました。だから、普段の私に近い素の状態で演じました。
――齊藤さんから見た高校生のゆあの印象を教えてください。
高校生ではあるんですけど、普通の高校生じゃないんですよね。人間全員に対して冷めた目をしていて、その一方で心の中では「愛してほしい」と思っていて。
愛を求めちゃうし、愛してくれる人に期待しちゃうけど、なかなか本物の愛を見つけられないすごく切ない子だなと改めて思いました。
ーー大変だったシーンはありますか?
ゆあがゆあてゃになるまでの過程を描いているので、混同しないように表現するのが難しかったです。あと、泣き叫ぶシーンやステリックになるシーンが多くて、結構しんどかったです。
ーーシーズン1では再現度の高いビジュアルも話題になりました。シーズン2のゆあのビジュアル面でのこだわりはありますか?
ゆあのメイクって3パターンあるんです。第1形態は、スクールメイク、ほぼなにもしないぐらいの感じで、第2形態はちょっとメイクを覚え始めた感じ。第3形態はゆあてゃなのですが、その3つが全然違う顔になっていると思います。ぜひ注目してもらいたいです!
――アイドルを卒業されてから、幅広く活躍されている印象です。ここ1年でのご自身の仕事ぶりを振り返って、どう感じていますか?
■やってみたいのは「サイコパス役」
え~どうなんだろう…。でも、頑張ってると思います。もともとアイドル時代からライブや握手会、お話し会を一度も休んだことがないのですが、そういう責任感は今も変わらずあると思っています。体調を崩してでも、仕事はちゃんとやるのが強みかなと。
――すごい。オンとオフのバランスはどう取っているのでしょう?
正直バランスがうまく取れなくて、病むことは多いです。ここは私のよくないところかもしれませんが、自分の限界を知らないんですよ。キャパオーバーになっても頑張ってしまうタイプ(笑)。自分のために動いてくれている人たちや、応援してくれてる方のためにも頑張りたいんですよね。
――そんな多忙な中、何をしているときが癒されますか?
寝る、食べる、カラオケのどれかですかね。でも、今は寝れるなら寝ていたいです(笑)。
――今後やってみたいお仕事を教えてください。
引き続き演技のお仕事をやらせていただきたいとは思っているのですが、最近はヒロインのお友達役が多いのでヒロイン役をやってみたいです。それから戦隊ものにも興味がありますし、ジャンル問わずいろんなお仕事を、どんどんやっていきたいです。
――今回演じたゆあてゃは、まさにハマり役だったと思うのですが、齊藤さん自身「こんな役もハマると思う」というものはありますか?
殺人鬼とか? 人のこと殺しても、なんとも思わないサイコパスみたいなのを演じたら、おもしろそうじゃないですか? そういう二面性のある役とかもやってみたいです。
【『明日、私は誰かのカノジョ シーズン2』概要】
放送日時:MBSにて毎週火曜24時59分、TBSにて同25時28分