電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」にて国内累計PVが6.5億回超を記録するハイスピードアクションファンタジー『俺だけレベルアップな件』がテレビアニメ化。1月6日(土)24時00分から、TOKYO MXほか各局にて放送がスタートする。

今回クランクイン!トレンドは、主人公・水篠旬役の坂泰斗と向坂雫役の上田麗奈にインタビュー。本作の魅力や役者としてレベルアップしたと感じた瞬間について聞いた。(取材・文=M.TOKU/写真=上野留加)

■シビアな世界で輝く旬の“負の感情”

 物語の舞台は、異次元と現世界を結ぶ通路“ゲート”発生から十数年が経ち、“ハンター”と呼ばれる超人的な力に覚醒した人間たちが存在する世界。人類最弱兵器と呼ばれる最低ランクのハンターの水篠旬は、とあることをきっかけに自分だけがレベルアップする力を手に入れる。そんな彼が、最弱から最強へと駆けあがっていく姿が本作では描かれていく。

――原作を読んだときの感想を教えてください。

坂:主人公が成長していく物語はたくさんあると思いますが、本作は劣等感やねたみ・つらみ・怒りを真正面から逃げずに描いています。そんな負の感情が前面に出ていても、キャラクターに不快感を抱かないんですよね。それが本作の魅力だと感じています。

上田:旬くんの負の感情は、本作の世界観がシビアだからこそ輝くと思っていて。トラウマになってもおかしくないほど残酷で恐ろしい戦闘が続きますが、旬くんは負の感情をベースにしつつ、踏ん張ってレベルアップしていくんですよ。そんな姿にグッとくるし、目が離せなくて、気になってついつい先を読みたくなる中毒性のある作品だと思いました。


――それぞれが演じるキャラクターの紹介をお願いします。

坂:旬はハンターの中でも最低ランクで、一般人よりは強いけれど、最弱のゴブリンにさえ苦戦することから“人類最弱兵器”と呼ばれています。彼自身はそれに対して「何でこんなに自分はできないんだ」と憤りを感じているんですよ。表向きはその感情を抑え込んでいますが、芯の部分はすごく強くて。どれだけ虐げられても諦めない、最弱と呼ばれてもあらがい続ける強さを持っている人物だと思います。

上田:雫は旬くんとは真逆で、最強のS級ハンターとして活躍しています。強く格好よく美しく。ミューズ感があるけども果てしなく強いため、現実味あふれる世界観の本作において、ちょっとファンタジックな要素さえ感じるキャラクターです。ただ、人間味あふれる部分もありますし、旬くんと同じく心の強さも持ち合わせていると感じています。ハンターとして生きていく覚悟や一生懸命さ、真面目さに心の強さが表れていると私は思いました。

■「できない」悔しさが声優活動の原動力に

――お互いのお芝居の印象についても教えてください。

上田:坂さんはよく「旬は僕です」とおっしゃるのですが、それが納得できるくらい、お芝居の情報量が多いんです。
セリフの一つ一つに旬くんの一面が含まれていて、それが作りものじゃなくて、ホンモノ感がある。説得力のあるお芝居によって、旬くんの人柄がより伝わる気がしました。

坂:雫は感情を表に出すのがそれほど得意ではないのか、言葉を多く発するタイプじゃないんです。ですが、上田さんの声によって少ないセリフながらも、ただ凛(りん)としているだけでなく、無理している弱さや繊細さを内包していると感じられる一方、使命感や責任感の強さが、これでもかというくらい伝わってきました。

上田:お互いの印象を言い合うのは、恥ずかしいものですね(笑)。

坂:確かに(笑)。

――お二人とも、役者としてSランクに到達している?

坂:いや、まだまだですよ! ここでSランクなら止まってしまいますからね。伸びしろはまだまだあるはずです。

上田:レベルアップしていかないとね。

――ではデビュー当時と比べて、役者としてレベルアップしたと感じる瞬間はありますか?

坂:もう毎日毎日「なんでこんなにできないんだろう」と思う連続です。先輩方のお芝居を見て、「うわー、その発想はなかった。それを表現する技術が僕にはなかった」と思うばかり。
だからこそ、どの現場に行っても、レベルアップする機会をいただけていると思っています。それをちゃんと拾っていかないといけない。落としていただいている経験値を拾っていかないといけないんです。

上田:私も「うまくできない」「なんでだろう」と思うことの連続で。「うわーっ」って思うことが年々増えていくんです。自信なんて全然つかない。

坂:経験をするなかで視野が広がる分、見えてきちゃうものがあるんでしょうね。

上田:でも視野が広がって、こういうアプローチもあるんだと思ったり、いろいろな人のお芝居を認められるようになったりするということは、レベルアップしているということでもあると思っていて。

坂:自分にできないのが悔しいけれど、経験すればするほど人のお芝居を否定しなくなりますよね。そのお芝居もありなんだなと思えるようになってくるというか。それがレベルアップしているということなのかもしれません。

――本作のアフレコでもレベルアップしたなと思う場面があった?

坂:旬のレベルが毎週上がっていくので、こちらも表現が一定だと彼に追いつけないんです。
なので、毎回「もう明日は声が出なくてもいいや」くらいの熱量を込めてやろうというスタンスで臨んでいました。人間は不思議なもので、限界に挑んでいると自然と限界値が上がっていくんですよね。結果、喉が強くなりました。

上田:雫を演じる上で、正直はじめはやりづらさを感じていました。というのも、今まであまり向き合ったことがないキャラクターで。特にどういう立ち振る舞いをするかというアウトプットの部分が、私と雫では全然違って。第1話で旬くんがみんなの前で「すみません」って、笑っているようで笑えていない笑顔を見せるシーンがあるんです。私もきっと同じように振る舞う気がして。

坂:その場が丸く収まるようにするというか。

上田:そう。でもきっと雫なら、凛(りん)として立って強がる気がする。理解はできるけれど私はそのアウトプットができていなかったんです。
だから、どうやって表現すればいいんだろうと、苦労するんですよね。ただ、そのいっぱいいっぱい感が雫の一生懸命さとリンクしているのかも。不安定とまではいかないけれど、どこかはかなげな感じを出せているのかもしれないです。本作の収録で、また一つ経験を積むことができました。

――最後に、本作の見どころを教えてください。

坂:まずは旬の成長と変化を見てほしいです。そして、アニメーションだからこそできる戦闘描写にも注目してください。アニメーターの方々が命を削って完成した作品です。そんな作品にさらなる彩りを加える音楽も素晴らしい。原作をまだ読まれていない方も楽しめるアニメですし、原作ファンの方は待望であろうあのセリフももちろん出てきます。ぜひそのシーンを楽しみに待っていただければと思います。

上田:声優陣だけじゃなく映像を作る皆さま、音楽を作る皆さま、全員の熱量がフィルムに込められています。
アニメならではの点では、「一方その頃、このチームはこういうことをやっていた」というエピソードがあるので、原作ファンの方も楽しんでいただけるんじゃないかな。旬くんが何を得て、どんなものを失っていくのか。レベルアップしていく旬くんを最後まで見守っていただければと思います。

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