今、幅広い層から注目を集めている俳優・赤楚衛二。赤楚といえば、2020年10月期のドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京ほか)で、さえない30歳のサラリーマン安達清役を演じ大ブレイク。

その後も、ドラマや映画でさまざまな役に挑戦している。今回は、そんな赤楚のキャリアを振り返りつつ、現在放送中のドラマ『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系/毎週火曜21時)で改めて気付かされた彼の魅力を解説していきたい。(文=於ありさ)

■作品にすっとなじんでいく俳優に

 1994年、愛知県に生まれた赤楚の役者デビューは、21歳の時。19歳だった2013年に「サマンサタバサ」のメンズモデルオーディションでグランプリを獲得したことがきっかけで、小栗旬や綾野剛が所属する現在の事務所トライストーン・エンタテイメントへの所属を決めた。ここから赤楚は本格的に映像作品での芝居を始めることになる。

 『仮面ライダービルド』(テレビ朝日系)では仮面ライダークローズに変身する肉体派の万丈龍我を演じた赤楚。同役で少しやんちゃな一面を見せたかと思えば、ドラマ『ねぇ先生、知らないの?』(MBS)では見ている人をキュンキュンさせるカリスマ美容師を演じ、北村匠海らとともに主演を務めた映画『思い、思われ、ふり、ふられ』ではどこかつかみどころのない純粋で爽やかな高校生を演じた。

 たった数作品並べただけでも、彼の演じたキャラクターは幅広い。どんな年齢、性格のキャラクターであれ、作品にすっとなじんでいくのが赤楚の魅力の1つだろう。

■『チェリまほ』安達役で大ブレイク

 そんな赤楚が、多くの人に知られたのは、連続ドラマ単独初主演作『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』通称『チェリまほ』だ。『チェリまほ』は、赤楚演じる主人公・安達が、“触れた人の心が読める魔法”を手に入れたことで、イケてる同性の同期・黒沢優一(町田啓太)から好意を寄せられていることに気付いてしまうというラブコメディ。

 この二人の恋模様にハマる視聴者が続出し、Twitterでは「チェリまほ」関連の言葉が放送中幾度となくトレンド入りするなど、話題となっていた。


 また、つぶやきの内容を見てみると、ストーリーそのものだけでなく、自己肯定感の低い安達が、徐々に変わっていこうとする姿を応援することで盛り上がっている人も見受けられた。実際、回を重ねるごとに、うつむきがちだった安達が真っ直ぐと前を向いて、相手と向き合おうとする姿は印象的だった。そんな姿に、視聴者は熱狂し、共感させたられたのだろう。

■爽やかイケメン役の『彼女はキレイだった』

 少々頼りない安達から一転、現在放送中のドラマ『彼女はキレイだった』では、主人公・佐藤愛(小芝風花)を支える編集部の頼れる先輩・樋口拓也を演じている。樋口は、キラキラしていて、爽やかで“憧れの先輩”を絵に描いたような人だ。その一方で、副編集長・長谷部宗介(中島健人)に好意を寄せる愛を好きでいつつも、愛にはまったく振り向かれない苦しい一面もある。この苦しさと、人前では明るく振る舞う姿の演じわけに、ぐっと惹(ひ)きつけられている人もいるのではないだろうか。

■目で場を作る赤楚衛二の魅力

 例えば、第3話で思いを寄せる愛に「今のジャクソンまでとられたくな~い」とすねた子供のように告げるも、愛から「どういう意味ですか」とはぐらかされたことで、きちんと向き合い、じっと愛を見つめた後でひざまずき「結婚しよう」と告げたシーン。笑顔なしで真剣な瞳で向き直った姿は、言葉にせずとも軽い気持ちではなく、本気だということが伝わってきた。

 第5話で副編集長相手に「手短に言うと…俺、彼女のこと好きなんで」と宣戦布告するシーンもそうだ。ふわっとした表情から、副編集長から目をそらさないまま切り替えた表情に、視聴者からは「ドキドキした…」「かっこよすぎる」と絶賛の声が上がっていた。

 また、直接的なやりとりだけではない。
宗介と愛が話している姿を遠くから見つけた場面や、愛のふりをする親友・桐山梨沙(佐久間由衣)の気持ちに気づいてしまった時に、少しだけ目を泳がせたり、まばたきを多めにする表情。この細かな目の動きで、一気に場を作り出すのが赤楚衛二という役者のすごい点なのだ。

 いよいよクライマックスに向かい、ストーリーが展開している同作。今後、赤楚演じる樋口がどうなっていくのか、そしてその表情を赤楚はどう演じるのか、ぜひ注目してみてほしい。

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