女優の木村文乃が主演を務める深田晃司監督の最新作『LOVE LIFE』に、永山絢斗、山崎紘菜、砂田アトム、神野三鈴、田口トモロヲが出演することが発表された。併せて、場面写真も解禁された。



【写真】木村文乃主演 映画『LOVE LIFE』場面写真

 深田監督の9本目の長編映画となる本作は、矢野顕子の同名楽曲が物語の着想のきっかけとなり、構想期間20年を経てついに完成させた人間ドラマ。同曲は1991年に矢野がニューヨーク移住後に発表した初のアルバム『LOVE LIFE』に収録。静ひつなピアノ音と透き通った歌声で「ひとつとして、同じ形をした愛は無い」ことを歌うこの曲を元に、監督は「愛」と「人生」に向き合う一組の夫婦の物語を描いた。すでにフランスでも公開されることが決定している。

 劇中では、愛する夫と息子に囲まれ幸せな人生を手にしたはずの主人公・妙子(木村)に、ある日突然悲しい出来事が降りかかり、そこから明らかになる本当の気持ち、彼女が選ぶ人生が描かれる。木村が妙子の、嵐の前の静けさをはらむ落ち着いた佇まいと爆発しそうな激情を、全身全霊で表現し新境地を見せる。

 今回解禁されたのは、木村の脇を固める共演キャスト。妙子の夫・二郎を演じるのは、映画やドラマで活躍する永山絢斗。永山は「久しぶりの映画の撮影なので、自分自身ほくほくしている部分もありましたし、朝起きて、ワクワクしている自分が少しいるというか、幸せな現場に携わることが出来たと感じています」と撮影期間を述懐。

 妙子の元夫・パクを演じるのは、ろう者の俳優・手話表現モデルとして活躍する砂田アトム。「内容は『愛とは何か』そして日本人と韓国人の関係、さらに聞こえる人と聞こえない人との絡みなど、さまざまなものが盛り込まれた映画になっています」と自身の立場から見た本作の魅力を語っている。

 二郎の元恋人・山崎を演じるのは、昨年『モンスターハンター』でハリウッドデビューし、『ウェンディ&ピーターパン』で舞台に初挑戦するなど活躍目覚ましい山崎紘菜。
「無意識の領域をお芝居で見つけようと模索した経験は、私にとってとてもかけがえのない財産となりました。今作に、そして監督との出会いにとても感謝しています」と初参加となった深田組への想いを明かした。

 また、二郎の母・明恵には『37セカンズ』の神野三鈴、父・誠には『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』の田口トモロヲ。神野は「脚本を読み終えた時、不思議な『救い』を感じました」、田口は「現代社会が生み出して、隠れがちな歪なものであったり、闇であったりというのを、本当に静かにあぶり出す。その毒素もひっくるめて『LOVE LIFE』であると」と、それぞれ語っている。

 場面写真には、ひとり息子を囲む妙子(木村)と二郎(永山)の幸せそうな家族写真がある一方、妙子の思い詰めた表情や、夫婦それぞれに近づく別の異性の姿も。山崎(山崎)が二郎を引き留めているかのように張り詰めた表情を見せる姿、妙子がパク(砂田)に全てを委ねたように寄り添う姿が切り取られている。さらに、明恵(神野)と誠(田口)の不幸の前触れを感じさせるショットの数々も。どこか不穏な空気が漂う、ドラマティックな展開を予感させる場面写真となっている。

 映画『LOVE LIFE』は、今秋全国公開。

※共演キャストコメント全文は以下の通り

<共演キャストコメント全文>

■永山絢斗(二郎役)
 
 深田監督の作品は「淵に立つ」を拝見していたのですが、このお話をいただいた時は、とても嬉しかったです。監督の作品は、一言ではまとめられない監督の色が、どこかしらすごく出ていて、俳優としてもっと早くいろんな作品を見ておけば良かったなと思いました。


 監督は天使なのか悪魔なのか。まぁ、両方持っているんでしょうけど。宇宙人みたいな人ですよね。探り探り、撮影していました。最近はテレパシーも受け取れるようになってきました。
 
 久しぶりの映画の撮影なので、自分自身ほくほくしている部分もありましたし、朝起きて、ワクワクしている自分が少しいるというか、幸せな現場に携わることが出来たと感じています。

 二郎という役を貫いて、完成した本編に「LOVE LIFE」の音が流れるのを聞くのを楽しみにとっておきたいと思います。

■砂田アトム(パク役)

 映画『LOVE LIFE』に出演させていただいてすごく嬉しく思っています。

 共演した木村文乃さんは本当に素晴らしい方です。木村さんの“目”の表情というのはものすごく伝えてくるものがあって、目の奥から言葉が伝わってくる、そんなことを感じました。

 内容は「愛とは何か」そして日本人と韓国人の関係、さらに聞こえる人と聞こえない人との絡みなど、さまざまなものが盛り込まれた映画になっています。

 非常に魅力ある作品ですので、是非皆さまもご覧ください。
そして聞こえない人たちの文化、聞こえない人の生活様式、さまざまなものが盛り込まれておりますので、聞こえる人も聞こえない人も、一緒に観ていただけたら非常に嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

■山崎紘菜(山崎役)

 役名が自分の名前と同じ「山崎」で、役柄の設定に自分と重なる部分も多かったので、オーディションの時から山崎理佐という人物にとても親近感を抱いていました。なので出演が決まった時はとても嬉しかったですし、今作との出会いに何か運命的な物を感じました。

 深田監督は「観客に向けて何かを伝えようとするのではなく、目の前にいる相手に、共演者に伝える事に集中してほしい」とおっしゃられていたので、撮影中はただただその事だけを全うしようと努めていました。「なんでこんな事を言ってしまったのかわからないけど口走ってしまった」というような無意識の領域をお芝居で見つけようと模索した経験は、私にとってとてもかけがえのない財産となりました。今作に、そして監督との出会いにとても感謝しています。

 私自身、この映画を見終わった後にどんな感情が湧き出てくるのか、全然予想がつきません。全く新しい、自分でも出会ったことのない感情に出会えそうな予感がして、とても楽しみにしています。見てくださった方がどんな感想をお持ちになるのかぜひ知りたいです。

■神野三鈴(明恵役)

 初めての深田監督は映画をつくること、みんなが尊重し合える状況で映画をつくること。純粋にそれのみに魂が熱く青く燃えているようで、私はとても幸せでした。


 脚本を読み終えた時不思議な「救い」を感じました。罪を抱え、どうしようもない真っ暗な世界の中で生きる時初めて覗く何かの存在、人生詰んだ、、ではなく、その人生そのものがもしかしたらその人の「人生の個性」なんじゃないか、、そこからが真に与えられた宿題のような、、そんな感覚になりました。

 何かの存在に名前はつける勇気がまだないけど、空を見上げた時にふっと感じました。皆さんと繋がる同じ空に。皆さん、それぞれのLOVE LIFEを感じてくださったら嬉しいです。

■田口トモロヲ(誠役)

 現代社会が生み出して、隠れがちな歪なものであったり、闇であったりというのを、本当に静かにあぶり出す。その毒素もひっくるめて「LOVE LIFE」であると。一見静かですけど、生きる人間たちにとっては、ハードコアな気持ちが存在しているんだっていうところの面白さを感じて頂けたら、興味深く、見て頂けるのではないかと思います。

 映画「LOVE LIFE」見て、感じて、そして考える映画になると思います。

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