日活ロマンポルノ50周年記念プロジェクトの新企画「ROMAN PORNO NOW」より、松居大悟監督『手』、白石晃士監督『愛してる!』、金子修介監督『百合の雨音』の3作が、9月以降順次公開されることが決まった。

【写真】2016年に行定勲、園子温らが手掛けた『ロマンポルノリブート』

 「ROMAN PORNO NOW」は、50周年記念プロジェクトの一環として、現代のさまざまな生き方や個性を認め応援する、時代の「今」を切り取った新企画。

ロマンポルノ誕生50年を迎えた昨年11月20日に、松居、白石、金子の3監督による新作3本の製作が発表されていた。

 第1弾は、山崎ナオコーラの同名小説が原作となる松居大悟監督作品『手』が9月16日に公開。昨年の東京国際映画祭にて『ちょっと思い出しただけ』(2022)で観客賞とスペシャルメンションをダブル受賞した松居がロマンポルノに参加。20代のリアルな男女の姿を巧みに映し出す。年上男性ばかりと付き合ってきた主人公・さわ子の機微を福永朱梨が豊かな感性で演じる。

 福永は「『手』に出会った時、他人事とは思えない繋がりを感じました。俳優と一緒にとことん悩んでくれる松居監督と心強い先輩方の胸をお借りし思いっきり飛び込ませて頂きました。私にとって、宝物のような作品です」とコメント。

 第2弾には、白石晃士監督作品『愛してる!』が、9月30日に公開。自主映画から大作まで幅広い作品を手掛けるホラー・サスペンスの名手であると同時に、フェイク・ドキュメンタリーを得意とする白石がSM作品に初挑戦。SMプレイで身も心もあらがえないほど知らなかった快感に目覚めていく主人公・ミサを川瀬知佐子が熱演する。ミサをSMの世界に導いていく女王様・カノン役に鳥之海凪紗、ミサのライバルでもあるユメカ役に乙葉あいが抜てきされた。
SMを通して知られざる自分の本性があらわになり、解放されていくアイドルをポップに描く。

 川瀬は「記念すべき日活ロマンポルノ50周年作品に携われたことを誇りに思います!私自身と、演じたミサという役は共に不器用な人間ですが、その不器用な奴が発する、特別な熱量をこの作品に込められたんじゃないかなと勝手に思っています」と話す。

 第3弾には、金子修介監督作品『百合の雨音』が、10月14日に公開。ロマンポルノ作品『宇能鴻一郎の濡れて打つ』(1984)で監督デビュー後、平成『ガメラ』シリーズ(1995~99)や『デスノート』(06)など大ヒットエンタメ作品を生み出した巨匠が原点に立ち返る。過去のトラウマから恋愛に臆病になっている主人公・葉月には小宮一葉、憧れの上司・栞を花澄が演じる。ロマンポルノ作品では、女性同士の恋愛模様を『OL百合族 19歳』(1984)以来、38年ぶりに金子があでやかに描いた。

 小宮は「1人の俳優として、そして女性として、この作品を広く観ていただける女性の映画にしたいと思い、金子監督の胸をお借りして、その為に力を尽くさせて頂きました。演じている最中は役として悲しみや辛さの中にも居ましたが、出来上がった作品は、温かみやおかしみのある、金子監督らしい人間讃歌になっていると感じました」としている。

 映画『手』は9月16日より公開。『愛してる!』は9月30日より公開。『百合の雨音』は10月14日より公開。

※監督&キャストコメント全文は以下の通り

『手』
▼松居大悟監督コメント
敬愛する相米慎二監督などが手がけた邦画の歴史あるレーベルに参加できること、光栄に思います。
「今までとは違う、新しいロマンポルノを作りたい」という結城未来プロデューサーの熱意と、繊細に紡がれた山崎ナオコーラ先生の原作に胸を打たれ、シンプルにいいチームでいい作品を作ろう、と心掛けました。オーディションで出会った福永朱梨さんの佇まいがとにかく素晴らしく、福永さん演じる“さわ子”の感性を追いかけながら連れていってもらいました。誤解を恐れずにいうと、これは、福永朱梨の映画なのでは、と思ってます。楽しみにしてくれたら嬉しいです!

▼主人公・さわ子役:福永朱梨コメント
「手」に出会った時、他人事とは思えない繋がりを感じました。俳優と一緒にとことん悩んでくれる松居監督と心強い先輩方の胸をお借りし思いっきり飛び込ませて頂きました。私にとって、宝物のような作品です。ご覧いただいた方にも、大切な一本になればと願っています。年齢も性別も関係なく、沢山の方にこの映画に出会って欲しいです。

『愛してる!』
▼白石晃士監督コメント
私のロマンポルノは、未来を見ている映画です。オーディションで出会った川瀬知佐子さん、鳥之海凪紗さん、乙葉あいさんの3人が、それぞれの人生の未来に向けて、大切なものをさらけ出して全力で演技してくれたことに感謝し、この映画を3人に捧げます。ロマンという言葉にある希望のニュアンスに沿い、歴代ロマンポルノ幸福度ナンバーワンを目指してこの映画を作りました。どうぞお楽しみに。


▼主人公・ミサ役:川瀬知佐子コメント
記念すべき日活ロマンポルノ50周年作品に携われたことを誇りに思います!私自身と、演じたミサという役は共に不器用な人間ですが、その不器用な奴が発する、特別な熱量をこの作品に込められたんじゃないかなと勝手に思っています。この作品を通してミサと出会えてよかったです。劇場で是非お会いしましょう!

▼カノン役:鳥之海凪紗コメント
役作りが難しいキャラクターでしたが監督やスタッフさんと話し合ったり、監修の方にたくさんアドバイスをもらって挑みました。同年代のキャストさんたちと一緒に撮影出来て楽しかったです。皆の思いが詰まった素敵な青春映画に仕上がったと思います。

▼ユメカ役:乙葉あいコメント
オーディションから撮影までの間、不安で押し潰されそうになりながらも、なんとか周りの方々に支えられて撮り切ることができました。私にとって、初めての挑戦が詰まった作品です。とても貴重な経験をさせて頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。たくさんのお客様に届けて、スクリーンで楽しんでもらいたいです。

『百合の雨音』
▼金子修介監督コメント
33年ぶりのロマンポルノで考えたのは「愛の行為で女性は如何に輝くのか?」という観点で、美しくも切ない愛する時の姿を「心の解放」として撮りたかった。小宮一葉さんは自分自身に驚きながらもデリケートに、花澄さんは全てを思い切りさらけだしてスリリングに演じた。大人の女性同士の熟したエロティシズムを描く親密シーンでは、インティマシーコーディネーターを交えて演技環境を整え、歓び華開いた女優さんたちに感謝感激!

▼主人公・葉月役:小宮一葉コメント
1人の俳優として、そして女性として、この作品を広く観ていただける女性の映画にしたいと思い、金子監督の胸をお借りして、その為に力を尽くさせて頂きました。
演じている最中は役として悲しみや辛さの中にも居ましたが、出来上がった作品は、温かみやおかしみのある、金子監督らしい人間讃歌になっていると感じました。

▼栞役:花澄コメント
この令和に生きていて、ロマンポルノという舟が自分の前に現れるとは想像もしていませんでした。心技体、今のわたしが持っているものは全てこの作品に込めたつもりです。金子監督をはじめ、すべてのステキな巡り合わせに感謝し、この作品が、消費とは別の、新しい女性の姿として受け入れられることを願っています。

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