現地時間9月8日のエリザベス女王崩御を受け、ウィリアム王子とキャサリン妃が皇太子と皇太子妃に称号を新たにした。夫妻はすでに今月冒頭、ロンドンのケンジントン宮殿から、女王が暮らすウィンザー城敷地内のアデレード・コテージに転居していたが、これからますます存在感が増していくことは明らかだ。

今年は共に40歳を迎え、節目の年。ここでは直近の夫妻の活躍を振り返りたい(※文中の称号はイベント時のもの)。

【写真】キャサリン妃、美しすぎる40歳のポートレート

■女王在位70年を祝うプラチナジュビリー

 エリザベス女王が在位70年を迎えた今年(イギリス君主としても存命の君主としても最長)、6月には国を挙げて、祝賀行事のプラチナジュビリーが盛大に開催された。

 6月2日の初日のメインイベント「トゥルーピング・ザ・カラー」では、ウィリアム王子は軍服姿で馬にまたがり、近衛騎兵隊馬を率いてパレードに参加。キャサリン妃も、当時8歳のジョージ王子、7歳のシャーロット王女、4歳のルイ王子と、チャールズ皇太子妃のカミラ夫人と共に馬車で参列し、祝賀ムードを盛り上げた。

 この日のクライマックスとなるのが、王室メンバーがバッキンガム宮殿のバルコニーに勢揃いし、英空軍の儀礼飛行を謁見する儀式。
女王の公式誕生日に行われるもので、例年は広く王室メンバーが参加するが、今回は弟のヘンリー王子の王室離脱や叔父アンドルー王子のスキャンダルを受け、公務に従事する主要メンバーのみに限定された。ウィリアム王子一家も、女王とチャールズ皇太子夫妻、アン王女ら精鋭メンバーと共に合計18人の中に肩を並べたが、今後の王室のスリム化を予感させるものだった。

 行事参加のために帰国していたヘンリー王子が、最終日を待たずしてアメリカに帰国した後も、夫妻は期間中全ての祝賀イベントに参加。その合間に、街中で開催されたストリートパーティーで市民と共に祝ったり、ウェールズのカーディフ城で開催されたコンサートに参加したりと大活躍。子どもたちのかわいらしい振る舞いにも注目が集まった。

■高齢の女王や離脱したヘンリー王子の代わりを務める

 長い在位中、精力的に公務を行ってきたエリザベス女王も96歳となり、直近は他のメンバーが代理を務める機会が増えていた。
ウィリアム王子夫妻も、3月には女王が欠席したコモンウェルスサービスにチャールズ皇太子夫妻と参加。5月には、毎年恒例の女王主催のガーデンパーティーに、女王の代理でキャサリン妃が出席し、ホストを務めている。またキャサリン妃は今年、ヘンリー王子から引き継ぎ、イギリス・ラグビー協会のパトロンにも就任している。

 他方、3人の子どもを持つ夫妻は、妊娠中を含む幼少期の支援に力を入れており、リサーチや啓蒙活動を行う団体「Royal Foundation Centre for Early Childhood」を立ち上げている。この関係で、キャサリン妃は保健大臣や家族担当大臣らと連携するほか、これまでトム・ハーディエディ・レッドメインなども出演してきたBBCの子供向け番組で絵本の読み聞かせを行うなど、さまざまな角度で活動している。

■王室を代表して外遊、難しい局面に真摯な対応

 コロナ禍を経て世界が動き出した今年、国内での公務がリモートから対面へ戻る一方、国外での活動も動き出した。


 ウィリアム王子は2月、コロナ禍の影響で2年遅れで開催された2020年ドバイ国際博覧会の英国ナショナルデーに参加するため、政府の要請でドバイを初訪問。今年はアラブ首長国連邦の建国50周年とも重なり、2019年の中東ツアー以来の大規模な海外訪問となった。

 続く3月には、プラチナジュビリーを前に、女王の代理でカリブ海諸国を訪問。夫妻揃っての外遊は、新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来初となった。

 夫妻は8日間にわたり、女王を君主とする英連邦のベリーズ、ジャマイカ、バハマを歴訪。晩さん会に出席するなど各国の首脳陣と面会したほか、地元の学校やカカオ農園を訪れるなど、住民らと積極的に交流。
その様子はインスタグラムでも紹介されていた。

 しかし現地では、キャサリン妃の華麗なファッションが注目を集める一方で、過去の奴隷制度への非難や、英連邦離脱を求める抗議行動が起こるなど、難しい局面にも直面した。

 ウィリアム王子はこれを受け、ジャマイカ総督主催の公式晩餐会で「深い悲しみ」を表明。「奴隷制度は忌まわしいものであり、決して起きてはならないことでした」と真摯な姿勢を見せた。また最終日には異例の声明を発表し、「今回の歴訪で、英連邦の皆さんに奉仕をしたい、そして世界中のコミュニティに耳を傾けたいという、我々の強い思いを再認識しました。皆さんが英連邦の将来のリーダーに誰を選ぶかというのは私の気にするところではありません。
重要なのは、英連邦の皆さんがより良い未来を創造すること、そのために、我々ができる限りの奉仕と支援をお約束するということです」とコメント。王室の根幹を揺るがす危機に対応している。

■共に今年40歳に

 今年1月、一足先に迎えたキャサリン妃の誕生日には、イタリアの有名写真家パオロ・ロべルシが手掛けた記念ポートレートがお披露目された。普段公開されるものとはひと味違い、美しいドレスを纏(まと)い、王室秘蔵のジュエリーを身に付け、将来の王妃にふさわしいものといえそう。対して、6月のウィリアム王子の誕生日には、恒例のキャサリン妃撮影のポートレートに代わり、ホームレスの支援活動に取り組む写真を公開。それぞれ40歳という節目の年を、これまでとは違った形で祝っている

 何かと話題の英王室の中でも、明るいトピックで注目を集めてきたウィリアム王子とキャサリン妃。
出会いはセント・アンドルーズ大学在学中まで遡り、映画のようなロマンスを実らせてロイヤルウェディングを挙げた。そんな2人も、今年それぞれ40歳の節目を迎え、王室における役割も、より責任あるものになってきているようだ。

 ウィリアム王子は、女王の崩御を受け、次期国王を意味する皇太子に。キャサリン妃も皇太子妃となった。ウィンザー城敷地内への転居は、子どもたちを自然豊かな環境で育て、できるだけ普通の家庭生活を送らせたい意向からとのことだが、もちろん、女王に近くなることも理由のひとつと見られていた。時代と、王室メンバーの事情が重なり、スリム化が進む英王室において、これからますます、夫妻の存在感が増すことは間違いなさそうだ。(文・寺井多恵)