現在放送中の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)で飛行機に憧れを抱き大きな夢に向かって突き進む主人公・岩倉舞を演じている女優の福原遥。2011年に放送された連続テレビ小説『おひさま』(NHK総合)を観て、朝ドラのヒロインを夢見たという彼女のこれまでの軌跡を振り返ってみたい。
【写真】“まいんちゃん”から朝ドラヒロインへ! 福原遥の変遷を追う
■芸歴15年・福原遥の“原点”
福原演じる舞は、幼いころから人の気持ちを察するのが得意であるがゆえに、自分の気持ちを抑えてしまうような引っ込み思案な女の子。そんな彼女が、母親の実家である五島列島での祖母との暮らしによって、少しずつ自分の意見を言えるようになり、夢に向かって一歩を踏み出す大人の女性に成長した。
そんな舞を演じるのが福原だ。現在24歳の彼女だが、子役からキャリアをスタートさせているため15年以上の芸歴を誇る。何と言っても福原の名を大きく広めたのは、2009年からNHK Eテレにて放送された子ども向け料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』だろう。福原ふんする明るく元気な「まいんちゃん」は、多くの人を笑顔にするキュートさを持っていた。
■“明るく爽やか”だけじゃない! 広げ続ける演技の幅
すでにこの時から「朝ドラヒロイン」の資質を持ったような輝きを放っていたが、その後のキャリアをひも解くと、持ち前の爽やかさを生かした役はもちろん、意外と幅広いキャラクターを演じる演技派な一面も見えてくる。
自身が「個性がある役は初めてだった」と語ったドラマ『MARS(マース)~ただ、君を愛してる~』(2016年/日本テレビ系)では、嫉妬深い女子を演じ、これまでと違った一面を見せると、『3年A組ー今から皆さんは、人質ですー』(2019年/日本テレビ系)では、フェイクニュースで教師を陥れようとし、担任の柊一颯(菅田将暉)から激しい叱責を受け、涙で顔がぐちゃぐちゃになるほどの迫真の演技を見せ、「ガチ泣きみたい」「泣き顔が演技とは思えない」とSNSで大きな反響を呼んだ。
さらに同年公開された『映画 賭ケグルイ』では笑顔を封印した芯のある強い女性を演じたかと思えば、時は少しさかのぼるが2017年公開の映画『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』では、ブリブリのオタク系アイドルダンスを披露するちょっとドジなチアダンス部員・永井あゆみ役を演じており、かなり幅広いキャラクターをしっかりと演じ切っていた。
■イメージを覆す“殺人鬼”役に「ついに来たか!」
福原自身、パブリックイメージというものはあまり意識していないようで、2019年公開の映画『羊とオオカミの恋と殺人』では、一見清楚な女子大生でありながら、実は頸動脈をひと突きし、人を殺め続ける連続殺人鬼にふんしているが「ついに来たか!」と、こうしたエキセントリックな役柄を心待ちにしていたと話していた。
その後も、長期シリーズとなったドラマ『ゆるキャン△』(2020年~/テレビ東京系)では、主人公となる志摩リンを演じた福原。大原優乃演じる各務原なでしこや、田辺桃子演じる大垣千明ら濃いキャラクターたちのなか、ほぼ無表情でクールに立ち振る舞いながらも、微妙なしぐさや表情、言葉尻で感情の変化を表現する演技力は大いに評価された。
■ついに『舞いあがれ!』本格登場 “多面的”なヒロイン像に期待
そして満を持して臨む連続テレビ小説『舞いあがれ!』。本格的な登場となった24日からの第4週では、大学生になった舞が、人力飛行機サークル「なにわバードマン」に所属し、引っ込み事案なところは多少残しつつも、自分の夢に向かって歩き出す第一歩が描かれた。
自身が連続テレビ小説に出たいと思った作品が、2011年に井上真央主演で放送された『おひさま』だという福原。当時中学生だった福原は、仕事や学校のことで悩んでいたようで、そんなときどんな困難があっても、明るく前向きに進んでいくヒロインの姿に大きな影響を受けたという。
そんなヒロイン像をいつか体現できるように――という福原の強い思いが詰まった『舞いあがれ!』。持ち前の明るい笑顔と一生懸命さで、視聴者が応援したくなるようなキャラクターを演じつつ、幅広い人物を演じてきた経験から、多面的なヒロインを作り上げてくれるだろうという期待は大きい。(文・磯部正和)