欅坂46の改名を経て、結成から約7年3ヵ月が経過した櫻坂46。9日開催の東京ドーム公演で、2017年1月からキャプテンを務めてきた菅井友香がグループを卒業する。

順風満帆な出来事だけでなく、苦難もあった活動を通して「あのとき乗り越えられたから、きっと大丈夫」と思えるほどに成長した菅井は、自身の卒業に何を思うのか。卒業写真集『大切なもの』(集英社)の話とともに聞いた。

【写真】“ゆっかー”菅井友香の卒業直前撮り下ろしグラビア 卒業写真集『大切なもの』先行カットも

■歴代衣装の撮影で実感「私も欅坂46だったんだな」

 菅井の卒業写真集『大切なもの』は、欅坂46から櫻坂46への改名を経て、約7年3ヵ月にわたりグループで活動してきた彼女の集大成となる作品。本人が「自然な表情を撮ってくださる」と信頼するカメラマン・細居幸次郎氏によるメモリアルフォトの数々は、沖縄、与論島、北海道の3ヵ所でロケを敢行。水着姿やランジェリー姿も披露し、グループの卒業生・渡邉理佐の全面プロデュースによるグラビアや、メンバーの土生瑞穂、松田里奈との対談など、菅井とゆかりある人々による特別企画も多数収録している。

――菅井さんの1st写真集『フィアンセ』(講談社)発売から約4年5ヵ月が経過。
当時と現在の自分を比べて、変化は感じますか?


菅井:前作はグループの活動開始から2年目ぐらいの頃にフランスで撮影していただいて、そのときにしかない良さ、幼さがあったと思います。今回は7年間の活動の集大成として、カメラの存在を忘れてしまうくらいに自然体で撮影に臨み、素の自分をたくさん出せました。前作の頃よりも挑戦的なカットもありますし、そうした面での成長も感じていただけたらうれしいです。

――水着撮影もあった沖縄、与論島のロケに備えてトレーニングに励んだと「SHOWROOM」の個人配信で報告。お母さんも、協力してくれたそうですね。

菅井:適度に食べつつ、運動しながらのボディメイクを意識しました。
自分が思う理想的な体型になれるよう、自宅で筋トレをして。食べるのが大好きですし、食べている方がいい表情が出ると思ったので、良質なタンパク質、エネルギーに変えられるものを取り、食べる時間帯には気を使って夜遅くは食べないようにと決めていました。母は私の活動の間、ずっと協力してくれていて、足のリンパマッサージや小顔矯正をしてくれました。実は今日もやってもらったんです(笑)。

――歴代衣装で楽曲ごとのポーズを決めるカットを特集した企画も収録。櫻坂46のルーツとなった欅坂46の衣装に、久々に袖を通した感想は?

菅井:欅坂46の衣装は本当に久しぶりで、袖を通したのは改名前最後のライブ「THE LAST LIVE」(2020年10月)以来でした。
衣装選びの時点で「今までこんなにたくさんの衣装を着させていただいたんだ」と実感して、袖を通したときは「ああ、私も欅坂46だったんだな」と改めて感じました。特に思い出深かったのは、デビューシングル「サイレントマジョリティー」で『NHK紅白歌合戦』へ初出場したときの衣装です。私たちの円陣のかけ声「謙虚」「優しさ」「絆」が英語で衣装に刻まれていて、緊張しながらもみんなで協力しながら前へ進んでいた“青春の日々”を思い出しました。

――そんな思い出も詰まった今回の写真集で、最も卒業を象徴していると思うカットを教えてください。

菅井:写真集の後半に収録されている、白いドレスを着て馬に乗っているカットです。当初はドレスを着ると決めていなかったんですけど、衣装を用意してくださったスタイリストさんに「白は映えそうだね。
象徴的になるかな」とおっしゃっていただいたので、選びました。馬術が得意なので、今までも馬との撮影は経験があったんです。でも、ドレス姿で花飾りを付けての撮影はなかったから貴重でしたし、次のステップに「清々しい気持ちで進んでいくんだ」と思えました。

■7年間の活動で得た強さ「あのとき乗り越えられたから、きっと大丈夫」

――写真集のテーマ「卒業」の背景を、グループのウェブラジオ「さくみみ」の齋藤冬優花さんとの共演回で語っていました。欅坂46からの改名決定時には卒業を考えながらも、あと「2年」と踏みとどまったそうですね。

菅井:スタッフさんが「まずは2年やってみたらどうかな? グループの形も見えてくるだろうから、それを目標に頑張ってみよう」とおっしゃってくださったんです。
私も「2年かぁ」とその数字がしっくり来て、絶対と決めたわけではないですけど、頑張ってみようと思いました。それに2年後というと27歳になる年。年齢にとらわれているわけではないですけど、人生で考えたら「27歳は大きな数字だな」とも思いました。

――その後、改名から「1年後」に「卒業を確信」したとも語っていました。

菅井:全国ツアー「1st TOUR 2021」(2021年9~10月)を控える時期でした。櫻坂46になってから、後輩の二期生へグループを担うために引き継ぐこと、任せていくことが増えるにつれて、後輩メンバーへの期待が膨らんでいって。
キャプテンの役割を実感しながらも「そろそろ自分自身でどう生きていくかを、考えなければいけない時期だな」と思ったんです。大きかったのは、ラジオ番組『レコメン!』(文化放送/毎週月曜~木曜22時)のパーソナリティーを、二期生のまつり(松田里奈)ちゃんに引き継いだことです。4年以上続けさせていただいたものが終わりになることに、転機を感じていました。

――元々、菅井さんは「うじうじした性格を変えたい」と欅坂46のオーディションを受けたそうですね。グループ加入から約7年3ヵ月、自分自身では何が一番変わったと思いますか?

菅井:一番変わったこと、何でしょう…。私、変わらないと言っていただくことが多くて(笑)。秋元(康)先生に考えていただいた卒業写真集のタイトル候補でも、最終的に決まった「大切なもの」のほかに「変わらないもの」がありました。「そのままでいいんだよ」と言っていただける機会もありますけど、自分では変化も感じています。いろいろな出来事があったのでへこたれなくなったし、「あのとき乗り越えられたから、きっと大丈夫」と思える濃い経験をたくさんさせていただいたおかげで、メンタル面で成長できたと思います。

――成長を実感した場面もあったのかと思います。

菅井:節目ごとに「絶対無理。私にできるわけない」と思っていたことを1つ1つ、何とか形にできた瞬間はありました。例えば、欅坂46時代の「2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」(2018年4月)での「不協和音」の代理センター(※)や、グループ改名時のスピーチはそうでした。ここで失敗できない、皆さんに受け入れていただけるかと考える大事なタイミングで、メンバーの力も借りながら物事へ取り組み、ファンの皆さんから「よかった」と反響を頂いた瞬間を経験するたび、1歩前へ進めた気がしました。(※当時のメンバーで、本来のセンターを務めていた平手友梨奈の欠席を受けて「不協和音」でセンターを担当)

――責任やプレッシャーの強さは想像にたやすく、世間からのさまざまな声も受け止めたであろう、キャプテンの役割を全うできることに何を思いますか?

菅井:キャプテンとして有能だったかと言われたら、自分自身、優秀だったと実感を持てるようなものではなかったです。でも、キャプテンの役割と向き合うことができたのは今後も生かせる経験になりましたし、ありがたい時間だったなと思っています。

――11月8日、9日に東京ドームで開催される櫻坂46の全国ツアー「2nd TOUR 2022“As you know?”」の最終公演でいよいよ卒業。ラストステージでは、ファンの皆さんにどんな姿を見せたいですか?

菅井:欅坂46から櫻坂46まで、ずっと信じて付いてきてくださったファンの皆さんに喜んでいただける形にしたいと思っています。グループにとっても大事な全国ツアーのファイナルなので、卒業とのバランスは難しいんですけど、欅坂46としての“5年間”と櫻坂46としての“2年間”は大切な時間でしたし、かつての欅坂46ファンの方にも見ていただけたらうれしいです。

――最後に、菅井さんといえば、馬を模したポーズの「がんばりき!」も象徴。卒業写真集公式ツイッターのハッシュタグは「#ラストがんばりき」となっていますが、本当にこれでラストですか?

菅井:(笑)。「がんばりき!」は自分のモットーであり“生きざま”だったので、気持ちは「がんばりきフォーエバー」で(笑)。皆さんも自由に、必要な方がいらっしゃるなら使っていただけたらうれしいです。アイドルではなくなるのでやる回数は減ってしまうかもしれないけど、これからも気持ちはそのままでいたいです。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)

 櫻坂46 菅井友香卒業写真集『大切なもの』は集英社より11月8日発売。価格は2200円(税込)。