現在放送中の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)で、福原遥演じる主人公・岩倉舞の幼なじみ、望月久留美を演じる乃木坂46の山下美月。アイドルグループに所属しながらも、映画・ドラマで精力的に女優業を行っている山下にとって“演じる”ことにはどんな思いが込められているのだろうか。
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■これまでもヒロインオーディションに挑戦
――本作にはオーディションから参加したというお話ですが、出演までの経緯を教えてください。
山下:自分の中で「いつか朝ドラに出たい」という思いがあったので、これまでも何度かヒロインオーディションを受けさせてもらっていました。これまでは書類で落選してしまい、今回初めて面接や動画審査まで進むことができました。結果、ヒロインにはご縁がなかったのですが、その後連絡を頂き、ヒロインの幼なじみである久留美ちゃんという役のお話を頂きました。
自分自身、ヒロインを演じられる自信があったわけではなく、朝ドラチームの皆さんに自分の名前と顔を知っていただけたら…という気持ちだったんです。「乃木坂46というアイドルをやっていますが、お芝居もやりたいんです」という気持ちを伝えたいという思いがありました。ほかの女優さんに比べたらきっとお芝居もうまくないとは思っていたので、こういった形で作品に関わることができたことが、とてもうれしかったです。
――連続テレビ小説という注目度の高い作品に出演が決まって、反響は大きかったですか?
山下:すごかったです。反響の大きさに「やっぱり朝ドラってすごいな」とちょっと怖かったくらい(笑)。身内のスタッフさんはもちろん、ほかの作品でお世話になったスタッフさんからもお祝いをしていただくなど、とてもありがたかったです。
――それだけ大きな作品に参加するということで、プレッシャーはありませんでしたか?
山下:私にとってはあまりにも大きすぎる作品だったので、「本当に私がこの役をやらせていただいていいのだろうか」という思いがあって、うれしさ半分、怖さ半分というのが正直な気持ちでした。
――それだけ思いが強かったのですね。
山下:オーディションのときも、お芝居に対する思いは一生懸命伝えたつもりです。ヒロインとしては落選してしまったのですが、そのとき朝ドラチームの方からお手紙を頂きました。その中で「本当にお芝居を楽しそうにやられていたのが印象的でした」という言葉があって…。
自信もなかったし緊張もしていたんですけど、台本を読んでいるとき「こういう場に挑戦できるんだ」と思って自然と涙が出てしまうくらいうれしかったし、楽しかったんです。アイドルだからお芝居が下手だろうと思われるのは仕方がないことですし、力不足でうまくいかないこともあるとは思いますが、『舞いあがれ!』という作品を少しでも盛り上げることができたらという気持ちはすごく強かったです。
――久留美という女の子と山下さんの共通点は?
山下:私とは全く逆な女の子だなと思っています。久留美ちゃんは明るくてちゃきちゃきしている。私はあまり明るくないというか、乃木坂46でもあまり自分からしゃべったりするタイプではないので…。でも自分で言うのもおこがましいですが、久留美ちゃんはお母さんが看護師をしていたことで、自分もその道を進むんだとまっすぐ一生懸命勉強しているんですけど、私も乃木坂46の活動や女優業、モデル業を本当に一生懸命頑張ろうとまっすぐ進んでいるので、その部分は似ているのかなと思います。
■「お芝居が好き」という気持ちをずっと強く持っている
――女優業への熱い思いをお話いただきましたが、以前『じゃない方の彼女』(テレビ東京系)の出演時にお話を伺った際、「自分の演技に納得できたことが一度もない」と話されていました。
山下:正直ずっとないですね。やっぱり「女優が本職です」と言えるわけではないですし、全然うまくいかないことばかりなので。周囲の方に「良かったよ」と声を掛けていただくと、うれしいなと思うのですが、自分ではまだまだ未熟だなと感じることばかりです。
――『じゃない方の彼女』はとても素晴らしい演技だと思いましたが。
山下:ありがとうございます。でもお芝居って正解がないし、同じ役柄でも、演じる人によっては全然違う人物になると思うんです。100人いれば100通りの演じ方があるので、手応えというものは感じられません。自分で納得できればそれがゴールなのかと言えば、そうではないと思うので。きっと何十年お芝居をしていたとしても、納得することはないんじゃないかなと思います。唯一進んでいるなと感じられるとしたら、いろいろな役との出会いだと思うんです。なので、今はとにかくいろいろな作品に出合って、たくさんの方からさまざまな影響を受けられたらいいなと思っています。
――お芝居の仕事が増えていますが、アイドルとは違うなと感じる部分はありますか?
山下:アイドルって自分のアピールポイントがないと成立しないし、アイドルに向いている人って割と自分を素直に認められる人だと思うんです。
お芝居って普通の人を演じることが多いですよね。例えば女子大生の役とか普通のOLさんとか。久留美ちゃんも、あまり恵まれない環境で育った女の子という役で。もちろん、アイドルのキラキラ感を出す役柄もあるとは思いますが、基本的はきらびやかな感じを消す作業の方が多い。そこは違うなと思います。
アイドルと女優、大変さは全然違いますけど、単純に“お芝居が好き”という気持ちをずっと強く持っていて。もちろんアイドルのお仕事も好き。私は両方経験させてもらえる立場にいるので、どちらも頑張ろうという気持ちで臨んでいます。
――キラキラのアイドルといえば、大阪で行われた「乃木坂46 30thSGアンダーライブ」を弾丸で観に行かれたそうですね。
山下:観に行ける時間があまりなかったので、一人で新幹線に飛び乗って、次の日に仕事があったので終電で東京に帰ってきました。
■ドラマ出演の賀喜遥香に「何かあったら言ってね」
――同じクールのドラマ『最初はパー』(テレビ朝日系/毎週金曜23時15分)に山下さんのことを“推しメン”と公言する4期生の賀喜遥香さんが出演しています。先日、賀喜さんにお話を伺ったときに、山下さんのことを「自信がないとおっしゃるけれど、堂々としていてカッコイイ」と話されていたのですが、そんな賀喜さんに激励のコメントを頂ければ。
山下:私はかっきー(賀喜の愛称)のことはずっと心配していて、「ドラマとか本読みとか全然付き合うよ」とか、「もし分からないことが現場であったらすぐ連絡してね」って話しているんですけど、私のことを“推しメン”って言ってくれているだけに、向こうからは相談しづらいのかな、と思っているんです。
題材的にも結構大変な役柄だと思うので、くれぐれも無理せずに頑張ってほしいし「何かあったら言ってね」と伝えたいです。
(写真:上野留加)
連続テレビ小説『舞いあがれ!』はNHK総合にて毎週月曜~土曜8時ほか放送(土曜は1週間を振り返り)。