今年は、昔から映画やテレビを通してなじみ深かった有名人が病気、不慮の事故でこの世を去った。本稿では、今年亡くなった芸能人・有名アスリート、クリエイターを季節ごとに振り返りたい。



【写真】「エンタメ界・2022年に亡くなった方々」写真特集<18枚>

【1~3月】世界的な映画監督の早すぎる死去

 今年3月、多くの映画ファンが悲しみにくれたのが、映画監督の青山真治さんの死去だった。3月21日、頸部食道がんのため、57歳の若さでこの世を去った。2000年の監督作品『EUREKA ユリイカ』がカンヌ国際映画祭に出品されるなど、世界的な評価を集めた青山さん。そのほかにも『サッド ヴァケイション』、『東京公園』などの作品で知られる。

 そのちょうど1週間前には、俳優の宝田明さんが亡くなっていたことも伝えられた。87歳だった。
「東宝ニューフェイス」として1953年に俳優生活をスタートさせた宝田さんは、映画『ゴジラ』シリーズとの縁が深く、第1作『ゴジラ』に主演したほか、2014年にはハリウッド版となる『GODZILLA ゴジラ』に出演して旧来のファンを喜ばせた。晩年は入退院を繰り返し、最期は誤嚥性肺炎のため東京都内の病院で死去した。

 3月には、ドラマや映画のほか、晩年はバラエティ番組で活躍した俳優・志垣太郎さん(70歳没)が遠征先の佐賀県にて、急な体調不良による心不全で亡くなっていたことが分かった。年末、かつてタレント活動をしていた長男がツイッターで公表した。

【4~6月】突然の別れに後輩芸人らが相次いで哀悼

 5月には衝撃的な訃報が相次いだ。「ファイトー!」「イッパーツ!」というCMのキャッチフレーズでおなじみの俳優・渡辺裕之さんの訃報が飛び込んできたのは5月3日だった。
享年66歳。自宅で亡くなっていたのを家族に発見された。インスタグラムなどでは、たびたび妻で女優の原日出子との2ショットをアップするなど、おしどり夫婦として知られた渡辺さん。原がコメントを発表した際には多くのお悔やみ、励ましの声が寄せられていた。

 続く5月11日には、お笑いトリオ・ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんの死去も伝えられた。61歳だった。
「ヤー!」「聞いてないよォ」「ムッシュムラムラ」など多くのギャグと「リアクション芸」で親しまれた。上島さんといえば、同じ所属事務所の後輩である有吉弘行、劇団ひとり、土田晃之らを連れて開いていた飲み会、通称「竜兵会」が有名。今や人気芸人の有吉らが、それぞれの番組で上島さんへの思いを語り、ファンの涙を誘った。ダチョウ倶楽部の肥後克広は追悼文でトリオを解散しないことを明言。寺門ジモンと2人で活動を継続している。

 そのほか5月には、日本テレビアナウンサーで同局のスポーツ中継や『ウッチャンナンチャンのウリナリ!』などのバラエティ番組で親しまれた河村亮さんが脳出血のため、搬送先の病院で急逝。
まだ54歳の若さだった。海外では映画『グッドフェローズ』『ハンニバル』などで知られる俳優レイ・リオッタさんが新作映画の撮影中のドミニカで亡くなった。67歳だった。

【7~9月】『金田一耕助』『金妻』で知られる名優が死去

 長らくテレビアニメ・映画『ルパン三世』シリーズの次元大介役の声優として親しまれ、渋い声でナレーターとしても活躍した小林清志さんは7月31日、肺炎のため死去。89歳だった。次元の声優は前年、高齢を理由に勇退し、大塚明夫にバトンタッチしていた。


 8月には、俳優の古谷一行さんが78歳で死去。古谷さんはドラマ『横溝正史シリーズ・名探偵金田一耕助』シリーズなどでの主人公・金田一耕助役のほか、80年代の代表的ドラマの一つ『金曜日の妻たちへ』(TBS系)に主演。長男はDragon Ashのボーカル・降谷建志で、古谷さんの死去が伝えられた際には、インスタグラム上に古谷さん、自身、息子と3世代で撮影した写真を公開し、「親父の息子にしてくれてありがとう 生まれ変わってもイカした俳優とイカしたバンドマンの親子になろぜ 愛してるよ」と感謝をつづっていた。

 海外に目を向けると、映画『グリース』でジョン・トラボルタと共演したことでも有名な歌手オリビア・ニュートン=ジョンさんが8月、長いがん闘病の末に亡くなった。73歳だった。

【10~12月】「元気ですか?」「ダー!」でおなじみ プロレス界のレジェンド旅立つ

 日本中、いや世界中に激震が走ったのは10月1日、元プロレスラー、元国会議員のアントニオ猪木さんの訃報だった。
享年79歳。晩年は難病「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」で闘病中だった。「ストロングスタイル」を標榜し、日本のプロレス界の礎を築いた猪木さん。「元気ですか?」「1、2、3、ダー!」などのフレーズでお茶の間にも親しまれ、その影響はプロレス界にとどまらず、広くポップカルチャーに伝播した。死去の際にはアメリカの人気プロレス団体「WWE」は同日の放送中、速報として伝えた。日本では雑誌やテレビ番組で、追悼特集が多数組まれた。

 俳優の渡辺徹さんは、敗血症のため11月28日に亡くなった。61歳だった。ドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)の“ラガー”役で知られ、バラエティ番組での軽快なトークでも人気だった。ゲームファンの間では『スーパーマリオクラブ』(テレビ東京系)などゲームのバラエティ番組の司会で知られる。お笑い好きで、好きな芸人を呼ぶライブ『徹座』を主催。亡くなった際の弔問には、中川家、ナイツ、サンドウィッチマンら人気お笑い芸人がかけつけた。

 そのほか、11月にはドリフターズのメンバー、仲本工事さんが交通事故にあい、帰らぬ人に。2020年の志村けんさんに続くドリフメンバーの死に、往年のファンは悲しみにくれた。映画『月はどっちに出ている』『血と骨』などの監督で知られ、テレビ番組で快活なコメンテーターとしても親しまれた崔洋一さんは、膀胱がんのため11月27日に死去。73歳だった。

 12月には、晩年はバラエティ番組を中心に活躍した女優のあき竹城さん(75歳没)、映画『男はつらいよ』シリーズでおなじみの俳優の佐藤蛾次郎さん(78歳没)の死去が伝えられた。“アニソンの帝王”こと水木一郎さん(74歳没)が亡くなったのも12月だった。水木さんは7月に肺がんのステージ4であることを公表。再起を誓って闘病しながらもステージに立ち続け、11月には『第49回歌謡祭』に車椅子姿で登場してファンに歌声を届けた矢先だった。