北川景子主演のリーガル&ロースクールドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(毎週月曜21時)がフジテレビ系にて放送中。本作は、裁判官から異例の教師へと転身した柊木雫(北川)がロースクールを舞台に奮闘する物語なのだが、登場人物がなんとも個性的だ。
【写真】「“クセ強”教師」を演じた俳優を一気に見る!
■『GTO』(関西テレビ・フジテレビ系):鬼塚英吉(反町隆史/AKIRA)
1998年に反町隆史主演で連続ドラマが放送され、2012年にはAKIRA(EXILE)主演でリメイク版が制作された『GTO』。本作は、元暴走族のリーダーである鬼塚英吉が、型破りな教師「GTO(Great Teacher Onizuka)」になって生徒たちと向き合い、学園を立て直すべく奮闘する姿が痛快である。ハチャメチャで豪快ながらも、真に生徒のことを考える鬼塚の姿に視聴者は心を打たれた。また、反町がこのドラマをきっかけにヒロイン役の松嶋菜々子と交際、結婚したことも相まって、伝説のドラマとなっている。
反町版『GTO』は、スタイリッシュな風貌でカッコよさが際立った印象だが、一方のAKIRA版は金髪の短い髪にキュッと上がった眉毛がビジュアル面を原作に忠実に寄せており、悪っぷりが板についているところが魅力であった。また、アクションの切れ味の良さは、身体能力の高いEXILEメンバーならでは。2つの作品から、それぞれの個性を見比べるのも面白いかもしれない。
■『ごくせん』(日本テレビ系):山口久美子(仲間由紀恵)
仲間由紀恵主演の「ごくせん」シリーズは、2002年に第1シリーズがスタートし、計3本の連続ドラマや、単発ドラマを放送。
熱血高校教師の山口久美子(仲間)が任侠集団・大江戸一家の組長の孫娘であることを隠し、不良ばかりの高校に赴任するところから物語は始まる。女性教師でありながら、生徒がピンチに陥った時はケンカの強さを生かし、体を張って生徒たちを守り、荒れ果てたクラスを1つにまとめていく熱いストーリーが愛されてきた。生徒たちから呼ばれる「ヤンクミ」という愛称や、トレードマークの赤いジャージと眼鏡、ストレートの黒髪を2つに結んだキャッチーな姿と、「私かい? 私はそいつらの担任の先生だよ」と啖呵(たんか)を切って生徒を助けるヤンクミのきっぷの良さに多くの視聴者が惚(ほ)れ込んだことだろう。
■『ドラゴン桜』(TBS系):桜木建二(阿部寛)
2005年に阿部寛主演で放送された東大受験ドラマ。桜木建二は厳密には教師ではなく、暴走族上がりの貧乏弁護士だが、その受験指導の腕はピカイチで、できの悪い生徒たちを東大受験するように仕向け、数多の受験テクニックで偏差値を上げる。毎週登場する独自の勉強法や、桜木が呼んでくるこれまた個性的な教師たち、熱いものが込み上げる桜木と生徒たちの絆など、印象に残るキャラクターと名シーンが大きな話題を呼んだ。
そして、2021年には平成の人気ドラマ『ドラゴン桜』が、生徒役を一新して令和に復活。16年後を描いた続編として桜木が帰ってくると、当時学生だった世代からも大きな反響を得た。
■『女王の教室』(日本テレビ系):阿久津真矢(天海祐希)
『女王の教室』(2005)は、学園ドラマとしては異例の作品だった。「教師はいかなる時も慈愛に満ち、生徒を守る」という固定観念を打ち破る鬼教師・阿久津真矢(天海)の登場で、視聴者に大きな衝撃が走った。最終的には生徒を思っての行動だったと分かるものの、あまりに冷徹すぎる独裁者ぶりに、当時はドラマを見たPTAから批判の声が殺到したという。
ドラマ内で数々の名言を残した真矢だが、約17年経った今もその言葉は色褪せることがない。「特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでるか知ってる? 今のままずーっと愚かでいてくれればいいの。世の中の仕組みや不公平なんかに気づかず、テレビや漫画でもぼーっと見て何も考えず、会社に入ったら上司の言うことをおとなしく聞いて、戦争が始まったら、真っ先に危険なところへ行って戦ってくれればいいの」という痛烈な社会批判ともとれるセリフは、今もなおSNSを介して語り継がれている。
■『3年A組‐今から皆さんは、人質です‐』(日本テレビ系):柊一颯(菅田将暉)
3年A組担任の柊一颯(菅田)が生徒を人質に学校に立てこもり、生徒たちと向き合いながら1人の女子生徒の自殺の真相を解き明かすという2019年放送のサスペンス・学園ドラマ。これまでの平成ドラマで人気が出やすい傾向にあった“学園もの=熱血教師”の流れとは一味違い、考察要素やSNSを絡めた演出を取り入れた斬新なストーリー展開が注目された。
一颯の「Let’s think!」の掛け声とともに、人質の生徒たちが必死に真実を探そうと考える姿が印象的な本作。SNSが盛んな時代に「色眼鏡を外して本質を見極める」ことを説く一颯の名言の数々にハッとした視聴者も多いだろう。
令和の“クセ強教師”が誕生
これまで5作品を紹介してきたが、令和に放送された学園ドラマにも“クセ強教師”は登場している。冒頭で紹介した『女神の教室~リーガル青春白書~』では、元裁判官の新米ロースクール教師・雫(北川)が、試験勉強に追われ殺伐とした中で奮闘する生徒たちに「法律家たるや」という姿を、豊かな感受性と気さくさで、時に熱く説いていく。さらに同作には、超合理主義者で変わり者の教員・藍井仁(山田)も登場する。異なる2人の教師像が魅力の『女神の教室~リーガル青春白書~』をはじめ、令和にはどんな“クセ強教師“が登場するのか。新たな時代をけん引するニューヒーロー/ヒロインの誕生が楽しみだ。