ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。学園ものかつ女の子2人が主人公という、これまでの“ガンダム”からすると異色な設定で放送前から注目が集まり、物語が進むごとに深まっていく謎やキャラクターの魅力、そしてシリアスな展開で大きな話題となった。
【写真】物語はここから始まった…。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』「PROLOGUE」場面写真35点
■「責任、取ってよね」ミオリネとスレッタ、最悪の出会いから婚約まで
まずは、ストーリーのおさらい。数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代。モビルスーツ産業最大手「ベネリットグループ」が運営する「アスティカシア高等専門学園」に、辺境の地・水星から1人の少女が、パイロット科2年として編入してきた。その名は、スレッタ・マーキュリー。彼女は内向的な性格ではあるが、学園生活で「やりたいことリスト」をまとめているなど、期待に胸を膨らませていた。
そんなスレッタが出会ったのは、容姿端麗な少女・ミオリネだ。彼女は「ベネリットグループ」総裁デリング・レンブランの娘で、かつ成績優秀な経営戦略科の2年生。しかし、父親に対して強い反抗心を抱いていた。
学園では、学生同士の「決闘」が伝統で、最も優秀な腕を持つ者は“ホルダー”となる。つまり、ホルダーは学園カースト最上位に君臨する存在だ。そんなホルダーのグエル・ジェタークが、ミオリネに横暴な態度を取っている様子を見たスレッタは、彼をいきなり叱りつけてしまう。グエルの怒りを買った彼女は決闘をすることとなるも、戦いに勝利。ホルダーへ昇格するとともに、グエルから「ミオリネの婚約者」の資格まで奪うこととなってしまい、やはり責任を取ることとなった。
■青春感溢れる学園ドラマから一転、衝撃の「やめな、さい!」
ホルダーとなったスレッタは、諦めないグエルや強化人士のエラン・ケレスなどに次々と決闘を申し込まれるも勝利。エアリアルに好奇心を持ったニカ・ナナウラら地球寮(アーシアン)の面々との交流も深めていくなか、エアリアルが実は人体に負担をかける“ガンダム”であると言及され、廃棄処分命令が下ってしまう。
そんなピンチを救ったのはミオリネの「株式会社ガンダム」設立計画。
ミオリネとスレッタたちが「株式会社ガンダム」の起業準備を進めていく一方、学外ではミオリネの父・「ベネリットグループ」総裁の暗殺計画が密かに進行。巨大開発施設プラント・クエタで業務を遂行していた「株式会社ガンダム」一同は、総裁暗殺のテロに巻き込まれてしまう。
混乱するスレッタに母・プロスペラは、「あなたとエアリアルならみんなを救える」と言葉を投げかける。一方、テロで怪我を追った父と共に逃げるミオリネ。タイムリミットが迫りテロ集団が撤退するなか、集団のひとりがミオリネたちに銃を向ける。そこに突っ込んできたのは、エアリアル。「やめな、さい!」とエアリアルの平手でテロリストを潰し、ミオリネを守ったスレッタは、血まみれのなかで笑う。ミオリネは「なんで、笑っているの?」と、彼女に問いかけるのであった。
■「逃げたら1つ、進めば2つ」ミオリネとスレッタがこれから進む先とは
Season1の終盤にて、ミオリネを助けるために人を殺めたスレッタ。血にまみれた彼女は罪悪感を抱いていない眼で、笑いながらミオリネを見ていた。気持ちが通じていたようで、実は分かり合えていなかった2人。
いずれにせよ筆者が期待しているのは、グエルの存在だ。物語の最序盤でホルダーの地位を奪われ、その後も連敗。それを恥じた親に学園を中退させられ、一時は学園内でテントを張りキャンプ生活を送り、さらには「ボブ」と偽名を使いバイトを開始するも、テロに巻き込まれ今度は捕虜に。終いにはボタンの掛け違いで父親の乗るモビルスーツと対峙(たいじ)して撃破してしまうという、登場時には想像がつかなかったくらい悲惨な人生を送っている。
そんな彼だからこそ、救える命があるのかもしれない。仮面を被って登場しても、「Mr.キャンパー」と名乗って周りから変な目で見られても構わない。彼が逆転していく姿を私は見たい。進むことを選んできた彼は、何かを成せる存在だと信じている。
もちろん、スレッタとミオリネの関係も気になるところ。すぐに解決できる問題ではないだろうが、2人が不幸になるのはできるだけ見たくない。
いよいよスタートするSeason2。果たして、どのように物語が展開していくのか。少しの怖さもあるが、どんな結末になろうと最後まで彼女らの生きるさまを見守りたいと思う。それが、Season1を見た者の責任だ。(文:M.TOKU)
テレビアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2は、MBS・TBS 系にて4月9日より毎週日曜17時放送。