北野武監督作『首』が、現地時間23日に行われた「カンヌ・プレミア」部門として世界最速上映され、北野武監督、西島秀俊加瀬亮中村獅童浅野忠信大森南朋が登壇。約5分にも及ぶスタンディングオベーションが続き、北野監督は「今度はもっと良い作品作ってまた来ます」とコメントした。



【写真】約5分のスタンディングオベーション! 北野武監督『首』「カンヌ・プレミア」公式上映の様子

 北野監督が初期の代表作『ソナチネ』と同時期に構想し、30年もの長きに渡って温めていた本作は、巨匠・黒澤明が生前「北野くんがこれを撮れば、『七人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と期待していた念願の企画の映画化。“本能寺の変”が、戦国武将や忍、芸人や百姓といった多彩な人物の野望や裏切り、運命とともに描かれ、キレ味抜群のバイオレンスと笑いをはじめとした北野のワールドのエッセンスが全開する。北野武自らが“本能寺の変”を策略する羽柴秀吉を飄々と演じ、織田信長に複雑な感情を抱く明智光秀を西島秀俊が演じる。その他、加瀬亮、浅野忠信、大森南朋、中村獅童、木村祐一遠藤憲一桐谷健太、小林薫、岸部一徳らが歴史上の重要人物に独自のキャラでなりきっている。

 現地時間23日、ドビュッシー劇場にて、日本実写作品として初の選出となる「カンヌ・プレミア」部門としての公式上映、世界最速上映となるワールドプレミアがついに開催された。公式上映のチケットは発売されるやいなや即完売し、場内には1068席を埋め尽くす超満員が駆けつけ、改めて本作への期待の高さがうかがえる。そして、北野監督とキャストたちが姿を現すと、会場は総立ちとなり割れんばかりの拍手で迎え入れた。

 約141分にも及ぶ本作も終盤、エンドロールに北野監督の名前がスクリーンに映し出されると、早くも場内からは惜しみない拍手と歓声が巻き起こり、上映が終了すると、ドビュッシー劇場を埋め尽くした観客による約5分にも及ぶスタンディングオベーションが贈られた。異様な熱気に包まれた会場と、観客の熱量に感謝しながら、北野監督は「今度はもっと良い作品作ってまた来ます」と照れくさそうにコメント。そして、『首』を激賞した観客からも「とても面白かった。笑えました。こういう北野武のユーモアはとても好きです。
本当に映画、最高でした」、「サンキューソーマッチ、北野武!」といった興奮を隠しきれない様子の熱いコメントも届いていた。

 その後場所を移し、ヴィラ デ ミニストルにて、改めて作品が世界に羽ばたいた感想を聞かれた北野監督は「編集やりながらずっと見てたので、寝ちゃうかな。と思っていたけど…久々に大画面で見てまぁまぁかなって感じ(笑)」と照れ笑いで答えつつ「ここに居る役者さん達には本当によくぞやって頂きました。ありがとうございました」と改めて感謝を述べると一同恐縮する場面も。

 西島は「何度か映画祭で上映に立ち会っていますが、本当に素晴らしい上映で感動しています。観客の皆様が集中して笑いながら観て下さって胸がいっぱいです」と、観客から贈られたスタンディングオベーションの感動を振り返った。加瀬も「映画が始まる前から、監督が物凄い熱気で迎えられているのも本当に素晴らしくて、上映中のリアクションも良くて、上映後の拍手にも熱気がこもっていたので楽しんで頂けたんだと実感しました」と手応えを話した。

 北野組初参加となった中村は「フランスの方々が、役者がアドリブで演じたシーンにも思った以上の笑いが起きて、びっくりと同時に嬉しかったです」と安堵した様子でコメントすると、大森も「この熱気に凄く感動した。アドリブの所はウケなかったどうしよう。と心配でしたが、しっかりウケていてホッとしながら見ていました」と安堵の様子でコメント。

 また浅野は「(鑑賞は)2度目でしたが、新たな発見と楽しめるポイントも沢山あって、途中からはお客さんと一緒に笑って見ていて、なんだか家族と一緒に見ているような気持ちになりました」と改めて本作の魅力を感じながら特別な想いに浸っていた。最後に北野は「映画は兎に角お客様あっての話し。
実際カンヌで暖かく受け止めてもらえたので、日本のお客さんも同じように受け止めてくれたら幸い」と、日本のファンに向けてメッセージを残した。

 映画『首』は11月23日より全国公開。

編集部おすすめ