落合モトキとあのがダブル主演する映画『鯨の骨』が、今秋全国公開されることが決定。本年度第27回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭のコンペティション部門に正式出品されることも決まり、併せて場面写真2点が解禁された。
【写真】新たに解禁! 映画『鯨の骨』場面写真
本作は、濱口竜介監督と共同執筆した映画『ドライブ・マイ・カー』が米アカデミー賞脚色賞にノミネートされ、配信ドラマ『ガンニバル』(ディズニープラス「スター」)の脚本も手がけた大江崇允が、リアルとバーチャルが混濁する現代の寄る辺なさを、ミステリアスな迷宮ファンタジーに昇華させた最新監督作。
結婚間近だった恋人と破局した不眠症の間宮は、マッチングアプリで唯一返信をくれた女子高生と会うが、女子高生は間宮のアパートで自殺してしまう。うろたえて山中に埋めようとするも、気がつけば死体は消えていた。間宮は拡張現実(AR)アプリ「王様の耳はロバの耳(通称ミミ)」の中で、死んだ女子高生とうり二つの少女“明日香”を発見する。“明日香”は「ミミ」を通じて再生できる動画を街中で投稿し、動画目当てのファンたちが街を徘徊(はいかい)するカリスマ的存在だった。 “明日香”の痕跡を追いかけるうちに、現実と幻想の境界が曖昧になっていく間宮。いったい“明日香”とは何者か? 彼女は死んだ少女と同一人物なのか? そして本当に存在するのだろうか?
全くの未知だった拡張現実アプリにはまり込んでいくサラリーマン・間宮を演じたのは落合モトキ。子役からの長いキャリアを持つ実力派が、無気力とナイーブの狭間を漂う主人公を好演する。そして間宮のみならず、孤独なひとびとを引き寄せる“明日香”にはミュージシャンのあのを起用。“あの”という存在が象徴している今の時代の空気がみごとに役に生かされており、とらえどころのないカリスマ性で唯一無二の魅力を放っている。
また、明日香に憧れ、「ミミ」内で新たなカリスマを目指す女性・凛役に横田真悠、間宮の恋人・由香理役に大西礼芳、明日香の熱狂的な信者・しんさん役に宇野祥平がふんし、脇を固めている。
映画『鯨の骨』は今秋全国公開。
監督と主演2人のコメントは以下の通り。
<コメント全文>
■大江崇允監督
「都会の夜は深海に似ている」
このフレーズが映画の発端であり、またその全てです。
深海では、海底に落下した鯨の骨に群がり、その栄養を吸って生きる小さな生物群集が存在しています。それらは鯨の骨の栄養を吸い尽くすと、やがて骨と一緒に消えてしまう儚い生物です。
そんな生物たちですが、どうやら薄っすらと発光しているそうなのです。
僕には深海の点在する光が、まるで空から見た都会の夜の灯りと重なりました。
僕が四角い水中眼鏡をかけて見ている世界、それがこの映画です。
1人でも多くの人にこの眼鏡を楽しんで頂けたら嬉しいです。
■落合モトキ
大江監督とイメージを合わせながら撮影していましたが、完成した作品を観た時自分の中には存在しないジャンルの映画でした。なので皆さんに観て頂いた後の感想が非常に楽しみな作品です。撮影中、印象に残ってるのはあのちゃんを追いかけるシーン。あのちゃんは信じられないくらい足が速くて久々に本気で走りました。
■あの
ただ無性に冷たくて息もうまく吸えないそんな時期に撮影し、撮影しながらまるで深海にいるような、何度も明日香が自分と重なっては濁って消えていく、そんな体験をしました。鯨の骨でしか味わえない何とも奇妙な浮遊感を皆様にも楽しんで頂きたいです。