女優、のんが本日13日に30歳の誕生日を迎える。のんといえば、2013年のNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』で大ブレイク。
【写真】“あまちゃん”、30歳に! いろいろあった20代を全力で駆け抜けてきたのん<フォトギャラリー>
■19歳で国民的人気者“あまちゃん”に
2006年、13歳でティーン雑誌「ニコラ」(新潮社)のモデルオーディショングランプリを獲得して芸能界デビューしたのん。10代はモデル活動と並行し、映画『告白』で女優デビュー、ドラマ『鍵のかかった部屋』(フジテレビ)など話題作への出演が続いた。そして2013年、朝ドラ『あまちゃん』の主人公・天野アキに抜てき。ドラマ放送中に20歳を迎えた。
『あまちゃん』といえば、今なおヒット作の絶えない脚本家・宮藤官九郎がNHKではじめてドラマ脚本を担当したオリジナルストーリー。岩手県・三陸海岸と東京を舞台に、のん演じるアキが海女、そしてアイドルとして成長していく物語を描く。三陸地方の方言で、驚きの意を示す「じぇじぇじぇ!?」というセリフが同年のユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞となり、劇中歌「潮騒のメモリー」が日本レコード大賞作曲賞を受賞するなど、社会現象を巻き起こす大人気作となった。
のんは『あまちゃん』の勢いそのままに、2014年には同ドラマと映画『グッモ―エビアン!』でエランドール賞を受賞。そして同年8月に公開された『ホットロード』では、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している。
■事務所退所・改名を経て…不遇の20代中盤
しかし、“あまちゃんフィーバー”は長くは続かなかった。アカデミー賞新人俳優賞翌年の2015年は、映画・ドラマともに公開は無し。2012年からパーソナリティーを務めていたラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)内のコーナーも2015年に降板。実質、活動休止しているような状態となったのだ。
この“空白”期間で、彼女は大きな転機を迎えていた。2016年には所属していた事務所を退所。合わせて、それまで本名で活動してきた彼女は“のん”と名を改めることに。さらに、肩書を“創作あーちすと”とした。ここまでに築いたイメージを大きく変えることとなったのんには、SNS上では再出発へのエールに混じり、方向転換に対する戸惑いの声も見られたように記憶する。
とはいえ彼女は改名を経て、沈んでいたわけではない。この時期からさらに女優として羽ばたくため、「のんになってから、ハリウッドのアクティングコーチのワークショップで学んだメソッドを取り入れています。その役の目的、さらに障害や痛みなどを理解するやり方です」(※1)と新しい役作りの方法を取り入れていることをインタビューで明かしている。
■2022年、再び「日本アカデミー賞」に凱旋、そして30代へ
“のん”として復活した2016年。片渕須直監督の熱いオファーにより、アニメ映画『この世界の片隅に』主演声優を務めた彼女は、ここから映画界に徐々に返り咲いていく。2019年には同作の続編・『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開。2020年には、綿矢りさの同名小説を映画化した『私をくいとめて』で主演に。また2021年には映画『Ribbon』で脚本・監督・主演を務め、上海国際映画祭のGALA部門にも選出されるなど、これまで以上にその才能を見せつけている。
そして昨年、主演映画『さかなのこ』が公開。本作は、魚類学者でタレントのさかなクンによる自叙伝『さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~』(講談社)の実写化作品。のんは、性別の枠を超えて主人公のミー坊(さかなクンの幼少期の愛称)を熱演。天真らんまんで好きなことに一直線な少年を演じきった。
『さかなのこ』でのんは、日本映画プロフェッショナル大賞主演女優賞、そして、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。
“怒涛”ともいえるのんの20代。彼女自身はこの10年間について、インタビューで「本当にすごく楽しかったなって思います。結果、楽しかったし、面白かった」(※2)と振り返る。また、30歳を迎えることは「30歳を目前にして、もうどうでもいい、(30歳になることが)あまり関係ないなって感じになってきた」と語った。性別も、年齢にも縛られない30代ののんは、私たちにさらに幅広く、新しい世界を見せてくれるに違いない。30代となった彼女のこれからに期待せずにはいられない。(文・小島萌寧)
※1 のん、29歳は野心のこ GQ
※2 <のん>10年前と比べて「丸くなった」 7月で30歳も「自分は年齢がどうとか関係ない」 今思うこと MANTANWEB