堺雅人が主演を務め、阿部寛二階堂ふみ松坂桃李役所広司ら日本を代表する実力派俳優が顔をそろえる日曜劇場『VIVANT』(TBS系/毎週日曜21時)。出演キャストと、キャッチコピー、作品の世界観が垣間見える予告映像以外に、あらすじや役どころなど作品に関わる事前情報を徹底してクローズしてきた本作がいよいよ明日スタートする。

108分の拡大版となる第1話の放送を前に、本作の飯田和孝プロデューサーが取材に応じ、本作に込めた思いを明かした。

【写真】阿部寛&二階堂ふみのこの格好は一体? 『VIVANT』場面写真先行解禁

◆今まで見たことのないものを新鮮に受け取ってもらいたい

 2月に、堺、阿部ら5人が競演する本作の制作が発表されると、ネットではその豪華すぎる顔ぶれに話題騒然。その後、続報のないまま放送開始となる7月を迎え、共演キャストとして、林遣都小日向文世濱田岳檀れいといった人気も実力も兼ね備えた俳優陣、さらにはハリウッド俳優の参戦までが明らかになると、これまでにないスケールの大きさに驚きの声や、限られた情報から内容を考察する投稿などで盛り上がりを見せている。

 そうしたネットでの期待の高まりに飯田Pは、「周囲のスタッフから、“『VIVANT』の意味についてこう言ってる人がいました”“相関図で発表されていない1人はあの人だといった投稿がありました”など、いろいろな声があることは聞いています」と語る。そのうえで、「観る人が一番新鮮に楽しんでもらえる形で108分を提供したいと考えた時に、やはり事前の情報はあまり発信せずに、今まで見たことのないものを新鮮に受け取ってもらいたい」ということから情報をクローズしたまま放送を迎えるという戦略を初志貫徹した。「考察が当たっていようが当たってなかろうが、盛り上がっていただくのは非常にありがたいです」とも。


 特報映像に収められた、どこまでも果てしなく続く砂漠と上空に広がる青空のコントラストも印象的だったが、本作はモンゴルで長期間のロケを行った。「1日の中で、太陽が出てるところから、雨が降って、雹が降って、雪が降ってまた晴れるみたいな気候」の中でのハードな撮影が続いたというが、「モンゴル人スタッフも200~300人という人が一緒に砂漠に行って、普段エンターテインメントの仕事をしていない人も通訳として参加してくれるなど、いろんな人が関わってくれた。モンゴル国民300万~350万人しかいない中で、日本のこのプロジェクトに参加して成功させたい、やったことのないことをやってみようという、そんな思いを感じながら撮影できたことが一番印象的だったかなと思います」と感謝する。

◆日本のドラマを世界の人に楽しんでもらいたい

 壮大な世界観の作品を、これまでにないスケールで描く『VIVANT』。その原点には本作の原作・演出を務める福澤克雄氏の『日本のドラマというものをなんとか海外の人にも楽しんでもらいたい。アジア圏からも世界で評価されるドラマが出てきている中で、日本のテレビドラマ、連続ドラマというものが、力があるということを海外の人にも知ってもらって楽しんでもらいたい』という使命にも似た思いがある。
「日本のいろんな場所の映像や世界の映像を駆使しながら、世界水準を目指したことでこのようなスケール感になった。ただでかいことをというよりは、この題材を表現するためにはこのスケール感が必要だったということが、分かっていただけるのではないかと思います」と、海外での大規模ロケを実施した『VIVANT』のスケール感を説明する。

 また、「砂漠などインフラが整っていない中で、どうやったら皆がパフォーマンスを発揮できるか、世界観をしっかりと視聴者に届けられる映像を作れるか。そうした厳しい環境での撮影は初めてだったスタッフがほとんどだったと思いますが、その中でいかに工夫をして頭を使って、力を合わせて乗り切って、いい映像を作るということに特化できた2ヵ月間というのはちゃんと映像に表れてくるんじゃないかと思います」と自信を見せる。

 さらに「この作品のためにというのはもちろんそうなんですけど、日本人のスタッフがこの経験をしたということは今後にも繋がっていくんじゃないかと思います。福澤監督の“日本のドラマが世界でもどんどん観られるようになってほしい”という思いを受けて、1人でも多くのスタッフが今回のような撮影を経験することは、このドラマだけじゃなく、これがまたTBSの他の作品にも散らばって波及させていくという、そうした願いも込めてのこのスケール。
この経験を皆で共有できているということは、今後に向けて非常に大きいのではないかと思っております」と本作に込めた願いを明かした。

 こうした飯田Pをはじめとするスタッフ、キャストの思いが詰まった本作。先行して視聴した第1話は、これまで見たことのないドラマという言葉に偽りなし。場面写真を元にあれこれ展開していた考察が恥ずかしくなるほどの怒涛の展開を見せた。事前情報が一切ないため世界観への没入感がより増し、映画のような迫力と映像美に圧倒される108分。“日曜の夜にこんな堺雅人、観たことない!”という驚きや、思わずクスッと笑ってしまうようなシーン、あっと驚くサプライズなども盛り込まれ、娯楽大作としても完璧な仕上がり。
日本の暑い夏をさらに熱くしてくれることは間違いないだろう。

 「一番は108分楽しんで、ワクワクドキドキしてほしい。それぞれ感じ方は違うと思うので、教訓めいたものというよりは、楽しい2時間があっという間に過ぎ去っていく、そんな108分になってくれたらいいかなと思います」と語る飯田P。『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』と数々のヒット作を世に生み出してきた福澤監督と、『マイファミリー』でファンを考察の渦に巻き込んだ飯田プロデューサーが仕掛ける注目作。明日の初回はぜひリアルタイムで体感してほしい。

 日曜劇場『VIVANT』は、TBS系にて7月16日より毎週日曜21時放送(初回108分スペシャル)。