2022年度の配信ドラマ年間ランキング1位を記録した『夢華録(むかろく)』は、北宋を舞台にたくましく生き抜いていくヒロインの姿を鮮やかに描き出したロマンス時代劇。没落した元令嬢の趙フン児(ちょうふんじ)が都に出て商売を成功させていくサクセスストーリーと、彼女が宮廷の秘密警察・顧千帆(こせんはん)と繰り広げる葛藤に満ちたラブストーリーでは、魅力的な脇役たちも重要な役割を果たしていく。

ポジティブに成長していく女性キャラクター、一筋縄ではいかないクセ者な男性キャラクター、楽しい笑いをもたらすユーモラスなキャラクターなど、今回は劇中で笑いと感動、ドキドキとハラハラを届けてくれる脇役たちにフォーカスしていきたい。

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■ポジティブに成長していく女性キャラクターたち

 茶坊や酒楼を切り盛りしていく趙フン児とともに働く女性たちは様々なタイプのキャラクターが登場。肝っ玉母さんの孫三娘(そんさんじょう)は、夫に追い出され子供を奪われて一度は死のうとするものの趙フン児に救われて一念発起。彼女の良き相棒として茶菓子作りと料理で腕をふるい、自信と尊厳を取り戻していく。

 また、趙フン児の妹分である琵琶の名手・宋引章(そういんしょう)は、世間知らずのため悪い男と駆け落ち。しかし、趙フン児と孫三娘によって最悪の結婚生活から助け出され、男性に頼らず自立して生きることの大切さを学んでいく。


 さらに、趙フン児の厚意から店で働き始めた娘・葛招テイ(かつしょうてい)は、貧しく辛い境遇でもそれを言い訳にせずに前向きに強く生き始めることに。そんなふうにどの女性キャラクターもネガティブな状況をポジティブに変えていく姿は、観る者に爽やかな感動と勇気を与えてくれる。

■一筋縄ではいかないクセ者な男性キャラクターたち

 一方で、男性はクセ者キャラクターたちが勢ぞろい。趙フン児の婚約者だった欧陽旭(おうようきょく)は、科挙で優秀な成績を収めて出世の道が開けると、婚約解消を言い出して趙フン児を翻弄。さらには問題に向き合わずに現実逃避して周囲を逆恨みしていくことに。そんな彼が巻き起こしていくトラブルが物語の伏線となっているサスペンスと絡み合うスリリングな展開も見逃せない。


 また、大商家の坊ちゃんで道楽好きな池蟠(ちはん)は何をやっても趙フン児に勝てず、その腹いせで嫌がらせばかりするように。ところが、いつしか彼女の魅力に参ってしまい、しまいには一緒に商売を手がけて彼女を支えるという驚きの変身ぶりを見せるのにキュンとさせられる。

 そのほかにも、宋引章に愛を囁くも本音が見えない名家の御曹司・沈如琢(しんじょたく)など、一筋縄ではいかない男性キャラクターたちに注目だ。

■楽しい笑いをもたらすユーモラスなキャラクターたち

 本作はユーモラスなキャラクターたちが人間ドラマやロマンスを活気づけているのも見どころ。中でも池蟠は憎たらしいのに面白いコミカルなキャラクターとしてストーリーにメリハリを与えている。

 また、忠実な部下として顧千帆に付き従う陳廉(ちんれん)も、とぼけた可愛らしい性格で周囲を和ませる存在に。
そんな彼が顔を合わせれば喧嘩ばかりしていた葛招テイと意外にもいい雰囲気になっていく展開からも目が離せない。

 さらに、欧陽旭の友人の杜長風(とちょうふう)は視力があまりにも悪く、呆れるような古い価値観にとらわれている男性だが、孫三娘による荒療治で生まれ変わっていくことに。根は純粋な彼が孫三娘と微笑ましい恋を育んでいく過程もほのぼのとする笑いが満載だ。このように一人一人の個性がキラリと光る脇役たち。彼らのエピソードまでじっくりと鑑賞すれば、ドラマの世界をより深く味わえるはずだ。

 『夢華録(むかろく)』は、DVDリリース中。
U‐NEXTで独占先行配信中。