サンドラ・ブロックアカデミー賞主演女優賞を受賞した2009年の映画『しあわせの隠れ場所』。モデルとなった元NFL選手と彼を引き取った家族との間に訴訟問題が発生した。

対して映画の原作者は一家を擁護している。

【写真】利益の支払い問題勃発 名作『しあわせの隠れ場所』

 『しあわせの隠れ場所』は、マイケル・ルイスによるノンフィクション小説『ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟』を原作に、ストリートチルドレンのような暮らしをしていた少年マイケル・オアーが、ショーンとリー・アン・テューイ夫妻の家庭に引き取られ、アメリカン・フットボールの選手としての才能を開花させていく姿を描いた映画。アカデミー賞では、サンドラの主演女優賞受賞のほか、作品賞にもノミネートされた。

 Varietyによると、この映画のモデルで、後にNFLのスター選手となったオアーが、テューイ夫妻に対し、夫妻が彼を養子縁組したことはなく、代わりに後見制度を受けるよう仕組んだと主張。映画の利益を受けられないようにしたと訴えているそうだ。

 これに対し、原作者のマイケルがThe Washington Postのインタビューでテューイ夫妻を擁護。
彼によると、ノンフィクションの映画化にあたり、20世紀フォックスから25万ドルの支払いを受け、マイケルはテューイ家と50%ずつの割合で分配。テューイ家では取り分をオアーを含む家族で分けるとしていたそうだ。税金と手数料を差し引くと7万ドルになり、これに加え、サンドラらキャストと彼は映画の純利益の一部をロイヤリティとして受け取ることを提案された。結果、税金と手数料を差し引いて、彼とテューイ家はそれぞれ35万ドルを受け取ることとなったという。

 テューイ家はロイヤリティをオアーを含む家族で分配すると言ったが、オアーはロイヤリティの受け取りを拒否。テューイ家では、オアーの取り分をオアーの息子のための信託基金に預けたそうだ。


 マイケルは「全てのやり取りを近くで見ていたのでとても悲しいです。一家は彼に援助と愛情を注いでいました。それなのに彼が一家に疑念を抱いているとは、驚きです。そうさせる心理的状況におかれているのでしょう。彼を思うと悲しいです」と述べているという。

 オアーは、テューイ夫妻と2人の実子がそれぞれ、『しあわせの隠れ場所』の映画化で22万5000ドルと2.5%のロイヤリティを取得したと主張。
自分は一銭ももらっていないと言っている。また2007年には一切の支払いを受けることなく権利を20世紀フォックスに譲渡したというが、そうした契約を結んだ記憶はなく、もししたとしても、誰も彼にその影響を忠告しなかった、と訴えている。

 なお、20世紀フォックスは最終的に本作を製作せず、アルコン・エンターテイメントが製作、ワーナーブラザースが配給した。