9月21日、バラエティ番組『ゴッドタン』(テレビ東京系)の人気企画「マジ歌選手権」のライブ「ゴッドタン マジ歌ライブ2023」がさいたまスーパーアリーナ(以下「SSA」)にて開催された。3年半ぶりにSSAに戻ってきたマジ歌シンガーたちの元に15200人が詰めかけ、芸人たちの“マジ”なパフォーマンスに熱狂した。



【写真】マジ歌オールスターズ、3年半ぶりに全力パフォーマンス! 現場ショット

 MC陣には、番組レギュラーのおぎやはぎ松丸友紀アナウンサー朝日奈央に加え、「マジ歌」審査員としておなじみのバナナマン設楽統と、「アルファルファ」こと東京03飯塚悟志・豊本明長が登場。「マジ歌」オールスターズといえる豪華な面々のパフォーマンスを見届ける。

 開演前に流れ始めたのは、番組プロデューサー・佐久間宣行による“前説ナイトニッポン”。軽快に3年ぶりのライブ開催への思いや裏話を披露した。続いて、前説VTRに登場したのはカカロニ栗谷とセクシー女優のつばさ舞。番組でもおなじみの、女性慣れしていない栗谷の大きすぎるリアクションに会場は笑いに包まれる。
マジ歌シンガー達も絡めた注意事項を必死に読み上げる栗谷によって、SSAの期待度はMAXに。

 そしてついに開演時間を迎え、スタートしたオープニングVTRでは、おぎやはぎや劇団ひとり、マジ歌シンガーたちによるコロナ禍の振り返りと今日への思いを語る。ウルフルズの「笑えれば」とクロマニヨンズの「エイトビート」にのせて、芸人たちの熱い思いが語られる。

 トップバッターは、ポップなイエローの衣装に身を包んだ“ヒム子”ことバナナマン・日村勇紀。元気一杯に登場するも、ステージに落ちたバナナの皮でいきなりの転倒。「ヒム子の新時代」にのせ、ベタすぎる笑いと51歳とは思えないキレキレのダンスでSSAを一気に沸かせる。


 続けて会場にはリズミカルなピアノソロが響く。弾いているのはASH&Dコーポレーション社長となった大竹マネージャーだ。そしてスーツ姿にアコギが似合う東京03・角田晃広が登場。披露した曲「帳消しだ」では、カンヌ国際映画祭でも話題を集めた映画『怪物』や人気ドラマ半沢直樹』(TBS系)へ出演した栄光を歌い上げる。曲中で壇上へ上がるよううながされた相方の豊本が“マジ転倒”しざわつく一幕も。

 続けて登場したハライチが披露した「テレビの化物」では、時代やコンプライアンスなどに順応しまくっている「本物の化物」としてMCの朝日奈央が指名される。
3人は、漫才形式でバラエティの裏側を切っていった。

 ロバート秋山竜次率いるL.Aコブラの3人はブラウンの衣装で登場。「うんこ」をテーマにした様々な楽曲を大量に歌い上げると、最後には奇しくも会場はなんとなく感動の雰囲気に。ちなみに、秋山のこの日の新タトゥーはBIGモーターの看板と“除草剤”だった。

■企画開始から15年…マジ歌シンガーたちの悩みは“老い”?

 続いて登場したのは、2011年の登場以来視聴者の頭を離れることのないキャラクター、トシムリンにふんした劇団ひとり。この日はいつもの田原俊彦風の赤ジャケットではなく、金髪にワイルドなブラックコーデのK‐POPアイドル風で登場。
「抱きしめてイムハタ」を韓国語で披露し、MC陣を少々困惑させていた。

 “ユウ子”こと森三中黒沢かずこは、野呂佳代と「新生サービスブランド」として登場するはずが、老いた親や自身の将来への不安から“闇堕ち”。血に塗れたゴスロリ服で客席から登場し、観客に絡みながら暗くリアルすぎる悩みを叫ぶ。そこへ野呂が駆け寄り、美しい歌声でユウ子を説得。最後には2人で可愛らしく「JUST NO SIDE GIRL」を歌い上げた。これには、野呂と親交の深いバナナマン設楽も「やっぱりうまい」と舌を巻いた。


 雰囲気は一変し、スクリーンには体の痛みを訴える錦鯉・渡辺隆が登場。ビジネスマンを思わせる真面目なVTRに続けて、会場に登場した本人は、ど派手なスパンコールジャケット姿。しかし、その曲のテーマはやっぱり体の不調。相方の長谷川雅紀による必死の呼びかけにも渡辺の精気は戻らない。そこにサプライズ登場したのは、渡辺の“推し”Vtuber、兎田ぺこら。渡辺もバーチャルの世界に飛び、華麗にダンスを披露した。
最後は長谷川の「ライフ、イズ、ビューティフル!」という『M‐1』優勝ネタと同じ言葉でステージは締められた。

 続いて、スクリーンには女優の夏帆が。ドキュメンタリー風の映像に載せ、ステージにはCHAGE&ASKAを思わせる風ぼうのバカリズムが登場。この世で最も美しい所作こと「小首振る女優の謙遜」について讃えた「秋桜」を歌い上げると、続けてトロッコに乗り込み「恋のパステルカラー」をポップに歌いながらアリーナをぐるりと1周。そんな中、アリーナ中央に設置された花道にはスチャダラパーのBoseがサプライズ登場。見事なラップや、スチャダラパーと小沢健二による名曲「今夜はブギー・バック」を入れ込み、観客を盛り上げる。歌唱後、BOSEは「これなんなんですか? 出演者も観客もどうかしてますよ!」と改めて「マジ歌ライブ」の企画と規模にツッコミを入れた。

 代わってステージにはラジオブースが出現。ダイノジ大谷ノブ彦がパーソナリティを務める番組がスタートすると、相方の大地洋輔もキレキレのラップで登場。ミュージカル風の演出から、吉幾三を思わせるメロディ、最後はEDMへと変化する怒涛の展開を見せ、ダイノジの2人に煽られた観客によって、SSAは大きく揺れていた。

■角田バンドには日本トップのドラマーが“たまたま”降臨!

 続いては、2度目の登場となるハライチ。「グッバイ」で、“腐り芸人”だった過去の自分と決別した岩井勇気は、ついに自分だけの笑い=“インラインスケート”に出会う。往年のアイドルさながらに、デニムのベストとショートパンツ姿にインラインスケートを履き、SSAを爽やかに駆け回ると、最後には相方の澤部佑もデニムに変身。「俺たちが、ハライチだ!」と高らかに宣言してみせた。

 その後、竹内涼真の妹・たけうちほのかと、番組で人気を集めたキャラクター・大田原源蔵の物販紹介コーナーを挟み、ロバート秋山が再び登場。実は「オメガ」という怪しげな思想に染まっていることを明かし、そのトップである淡邦人先生に感謝の歌を捧げる。さらに、新たな「オメガ」会員としてTKO木下隆行が穏やかな笑顔で登場し、色々あった過去について歌い上げると会場は爆笑に包まれる。

 続いて、登場VTRの時点でMC陣から「ダサっ」と一蹴されつつ派手に登場したのはGOTOことフットボールアワー後藤輝基。独特なコールアンドレスポンスをたっぷり堪能して、「ジェッタシー」「GOTOタイムトラベル」を続けて披露。大いに盛り上がったが、矢作からは「SSAで1番ダサいんじゃない?」と辛らつな感想がこぼれていた。

 ロックテイストから打って変わって美しいハモリを聴かせるのは角田&大竹マネ。激しいラップパートからバンド演奏に移行しようとするも、ドラム担当としておなじみの風間カメラマンはなぜか負傷…そこに“たまたま”居合わせたのは、凛として時雨のドラマー、ピエール中野。日本トップクラスのドラムサウンドが加わりフルパワーで「ココロのハコ」を歌い上げた角田バンドだった。

■トリはやっぱり劇団ひとり 「なんでこれやりたかったんだよ!」総ツッコミの衝撃パフォーマンス

 ここで、松丸アナからの「緊急情報」が差し込まれる。SSAに野生動物が侵入したという速報に続いて登場したのは再びのヒム子。豹柄のレオタードで花道中央に仁王立ちする姿はさながらマイケル・ジャクソンのようだった。日村がなぜか動物に好かれるリアルエピソードから生まれた「TAZ」、玉屋2060%から楽曲提供されたアイドルチューン「PPP」を続けて披露した。ここでヒム子のもとにやってきたのは、ヒム子もお気に入りの「ウンチョコチョコチョコピー」のギャグでおなじみのGO皆川。SSA全員で「ウンチョコ」を成功させるという偉業も達成した。

 いよいよトリを飾るのは、やはり特殊メイクを施した劇団ひとり。番組でも物議を醸した「カッパ」の姿で登場し、東京03の飯塚に相撲対決を要求。カッパの“尻子玉”が肛門から抜かれるという衝撃のシーンを15200人が目撃して、くだらなさいっぱいの空気の中で本編が幕を閉じた。

 アンコールでは、花道にGOTOのトレードマークの四角いギターが登場。続いて、口笛を吹きながら本人も颯爽と現れ、「ヘブリカン」がスタート。MC陣によるコールアンドレスポンスや、GOTOの「ギター回し」もさく裂しふたたびSSAは熱狂の渦に。

 そして最後には本日の出演者がステージに集合。「マジ歌」リーダーであるヒム子による初期の名曲「さくら」を大合唱し、暖かい空気とたくさんの笑顔の中3年半ぶりの祭りは幕を閉じた。齢50を過ぎたメンバーも多い「マジ歌」シンガー達だが、その熱とバカさ加減は企画が始まった2007年からまったく衰えていない。それどころか、コロナ禍を経てよりパワーアップした感もあった。コロナもコンプラも時代も乗り越えていく「マジ歌」。これから先の進化からも目が離せない。

 この日の熱狂の様子は、アーカイブ映像にてチェックすることができる。ライブ配信チケットは3300円(税込み)、配信期間は10月10日23時59分まで。