波瑠を主演、木村佳乃を共演に迎え、松本清張の社会派ミステリー小説『ガラスの城』がドラマ化されることが決定した。テレビ朝日系にて2024年新春に放送される。



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 社員旅行中に起きた不穏な殺人事件を糸口に、一流企業にはびこるさまざまな欲望と犯罪の構図を鮮烈に描いた松本清張の傑作社会派ミステリー「ガラスの城」(講談社文庫)。不朽の名作が2024年新春、舞台を大手商社に移した令和版としてスペシャルドラマ化されることが決定した。時代を超えてもなお色褪せない重厚なテーマはそのままに、令和ならではの企業体制や捜査方法、登場人物を加えながら、胸を貫く新たな刺激と見応えに満ちた『ガラスの城』が再構築される。

 主演を務めるのは、今という時代を象徴する女優で、清張作品への出演は今回が初となる波瑠。さらに、『夜光の階段』『球形の荒野』『霧の旗』で清張作品に取り組み、類まれなる存在感を放った木村佳乃。NHK連続テレビ小説『あさが来た』以来、約8年ぶりの共演となる実力派トップ女優2人が全身全霊で対峙しながら、松本清張の世界にかつてない新風を吹き込む。

 国内有数の大手商社「實友商事」に勤めるエリート社員たちが風情あふれる修善寺で社員旅行に興じる中、期せずして発生した殺人事件。部長が何者かに殺されるという驚がくの事件を機に、同社は図らずも、これまで徹底的に隠蔽されてきた社内の膿を露呈していくことになる。

 社内の誰もが怪しい──そんな闇深き本事件の独自捜査に乗り出すのが、波瑠演じる主人公・的場郁子。とにかく地味で暗く、愛想がないが、仕事は早くて正確。しかしながら、出世とは無縁の一般職として地道に働く的場。ところが、彼女には“とんでもない秘密”があった。
あろうことか、やがて警察からもマークされてしまい…。地味な眼鏡、何とも言えないミステリアスな空気をまといながら、波瑠が立体化する不透明な主人公。その一挙手一投足から目が離せない。

 一方、木村演じる出世頭のバリキャリ課長・三上田鶴子にも要注目。総合職として入社し、仕事一辺倒で華やかなキャリアを積み上げてきた三上。そんな彼女は社員旅行先で部長の社内不倫現場を目撃。さらにその直後、部長が殺される事件が発生したため、SNSの非公開ダイアリーで独自推理を展開するが…。当然のごとく、三上も“誰にも言えない秘密”を抱えていた。しかも、事件の推理を始めたことで、まったく想定外だった震撼の事件も誘発されてしまい…。

 だからあなたは殺された──主人公・郁子の衝撃的なモノローグを合図に、それぞれ同じ事件を追う一見対照的な女性=的場と三上に容赦なく襲いかかる“激動の波”、そして、“ガラスの城に巣食う猛烈な欲望の数々”とともにあぶり出される“事件の真相”。決して他人事ではない、どこかで自分の仕事場の人間模様にも通じる欲望の数々が、松本清張の作品らしく複雑に絡み合うミステリーに期待したい。

 主演の波瑠、そして木村をはじめ、近日発表予定の実力派キャストたちが織りなす本作。
今回は令和版の社会派ミステリーとしてさらなる高みを目指すべく、前述の『あさが来た』や『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK系)、『シッコウ!!~犬と私と執行官~』(テレビ朝日系)など数々の話題作を手掛け、波瑠&木村とも親交の深い人気脚本家・大森美香が、脚本を担当。『未解決の女』(テレビ朝日系)などで波瑠と、『名前をなくした女神』(フジテレビ系)などで木村とタッグを組んだ監督・樹下直美がメガホンを取る。

 ドラマ『ガラスの城』は、テレビ朝日系にて2024年新春放送。

※波瑠、木村佳乃のコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■波瑠(的場郁子・役)

──今回は松本清張作品に初挑戦されますが、主演オファーを受けた時のお気持ちは?

 松本清張作品は時代を象徴した小説というイメージが強かった中、今回は時代を超えて新たな形で描くとお聞きして、「すごく難しいお話になるんじゃないかな…。私よりももっと適した方がいらっしゃるんじゃないか」と、最初はドギマギしました。でも、これまで何作品もご一緒させていただいた大森美香さんが脚本を手掛けてくださると聞き、「じゃ、大丈夫です!」と(笑)。実際、大森さんが書かれた脚本を読み込んだところ、素晴らしくて! 私が演じる的場郁子はちょっと不思議で、あまりハツラツとはしていない女性なんですけど、木村佳乃さんが演じられる会社の先輩・三上さんとのコントラストが鮮明かつ、物語の中で起こる事件にもちゃんと絡んでいて、感銘を受けました。

──的場郁子という役の印象、演じられるうえで心掛けていることを教えてください。

 演じるうえで面白さを感じる半面、初日の撮影が終わった直後は開口一番「難しい!」と口走っちゃいました(笑)。今回の物語は前半が三上さん、後半は的場郁子…と、目線が変わるのですが、三上さん目線で映る的場郁子は何を考えているか分からず、怪しい女性なんです。でも、後半では表現される人間性がまた変わってくるので、実は今もまだ結構手探りなんですよ。
さらに、周りに親しい人もいないという、ネガティブな部分もあるキャラクターを演じるのも久しぶり。実は、こういう不思議な役柄はキャラとして変に演じようと思えばいくらでもできるんですけど、今回はあくまで地に足をつけて演じたかったんです。そのバランスの落としどころが難しいなと思いました。ただ、そのぶん挑戦し甲斐もありますし、樹下直美監督やプロデューサー陣に相談に乗ってもらいながら追求していきたいです。

──木村佳乃さんの印象についてもお聞かせください。

 前回は『あさが来た』で1日もないくらいの短時間、ご一緒させていただいたんですけど、当時は方言のあるセリフを覚えるのにいっぱいいっぱいで、あまりお話もできなくて…。だから、今回またご一緒できてうれしいです! 佳乃さんは太陽みたいな方で、現場に入られると、空気がパーッと明るくなるんです。今回こそはゆっくりお話したいなと思っていますし、お芝居もチームプレーで頑張りたいです。

──今後の撮影に向けて、楽しみにしていらっしゃることを教えてください。

 原作が書かれた昭和から令和へと時代が変わっても、人間関係や会社のしがらみなど“時代を超えた問題”が鮮明に描かれています。今回はお若いキャストの方が多いこともあり、『ガラスの城』がどんな色に変化していくのかが楽しみです。そんな中、撮影では「誰もが犯人に見える」ということを目指して頑張っております。
各キャラクターがどんな見え方になるのかも楽しみでなりません!

■木村佳乃(三上田鶴子・役)

──松本清張作品への出演は4回目ですが、出演オファーを受けた時のお気持ちは?

 松本清張作品は昔からたくさん映像化されていましたので、小さい頃からとても身近な存在でしたし、無条件に大好きだったんです。『夜光の階段』で初めて清張作品に出演させていただいた時も、「ついに来た!」と大変うれしかったのですが、実は今回の『ガラスの城』は読んだことがなく…。初めて出会う作品ということも相まって、とても興奮いたしました。さらに今回、脚本を手掛けられるのは、私が19歳くらいの頃からお世話になっている大森美香さん。私は大森さんの大ファンなのですが、そんな大森さんが初めて清張作品を手掛けられるという点でも、すごく楽しみにしておりました。原作とはまた違い、現代風に生まれ変わった『ガラスの城』を、三上田鶴子として忠実に表現したいなと思っております。また、樹下直美監督も23歳の頃から存じ上げておりますので、これまた楽しみです!

──三上田鶴子という役の印象、演じられるうえで心掛けていることを教えてください。

 表向きは仕事をバリバリやって生活も充実している、すごく強い女性ですが、実は“表には一切出せない自分だけの顔”もある。非常に複雑で、なんとも哀しい女性です。演じるうえではこの二面性をハッキリ表現したいなと思っております。実は今回、心の声を発するモノローグが多いんですけど、そこで彼女は周囲に対してすごく毒づくんですよ(笑)。そういった非常に人間らしい本音と建前も、魅力的に表現できたらいいなと思っております。
演じ甲斐がある役で、撮影していてもすごく楽しいです!

──波瑠さんの印象についてもお聞かせください。

 波瑠さんとご一緒するのは2回目ですが、今回は今まで見てきた波瑠さんとはガラッと雰囲気が変わっていて、まさに的場さんそのものでした! 絶対に気軽には話しかけられないような、どこかミステリアスで掴みどころのない不思議な雰囲気をまとわれていて…。あれほど華のある方なのに、完全に存在を消していらっしゃって、すごいなと思いました。

──今後の撮影に向けて、楽しみにしていらっしゃることを教えてください。

 波瑠さんとは印象的なシーンがいくつかあるんですけど、中でも2人の心が通い合う瞬間という重要なシーンの撮影が楽しみです。あと、社員旅行で訪れる修禅寺でのロケも、すごく楽しみ! 私は修禅寺が大好きなのですが、実は長らく訪れていなかったんです。劇中ではそこでいろんな事件が起こりますけど(笑)、撮影の合間は気持ちをリセットし、修禅寺の魅力を堪能したいです。

■横地郁英(テレビ朝日ゼネラルプロデューサー)

 波瑠さん×木村佳乃さんという、新春にふさわしい華やかなお2人が、松本清張ドラマに挑みます。『ガラスの城』は、東京のど真ん中の、ガラスに囲まれたきらびやかな一流商社と、事件の起きる伊豆修善寺を行き来し、旅情もたっぷり楽しめるミステリーです。波瑠さん、木村佳乃さん、お二方と縁の深い大森美香さんによる脚本は、原作の魅力を生かしつつ、令和の女性社員たちのリアルなドラマに見事にアレンジされています。部長の突然の死、社内に殺人犯がいるかもしれないという衝撃的な謎に加え、途中でさらに驚きの展開が待っています。正月の夜、是非お楽しみください。

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