ドラマ『大奥』Season2(NHK総合/毎週火曜22時)の「医療編」で11代将軍・徳川家斉の母・治済を演じる仲間由紀恵がインタビューに答え、「今まで演じたことのない、狂気的な役でした」と振り返りつつ、「子どもに、見られちゃいけない役だなと思いますけれど…私の意思ではなく、脚本と監督の演出通り演じることができたということをきちんと伝えたいなと思います(笑)」と強調した。

【写真】“治済”仲間由紀恵、息子“家斉”中村蒼の人痘開発の動きを知る 第15回場面カット

 本作は、3代将軍・家光の時代から幕末・大政奉還に至るまで、男女が逆転した江戸パラレルワールドを描いたよしながふみの漫画『大奥』を実写化。

Season2では、吉宗(冨永愛)の遺志を継ぎ、若き医師たちが“赤面疱瘡(あかづらほうそう)”撲滅に向けて立ち上がるその後の物語から、女将軍をはじめとした幕府の人々が、江戸城無血開城のために奔走する幕末・大政奉還までの物語を映像化する。

 出演発表時には「冷淡で非道な権力の亡者」という役柄説明もあった治済。仲間は「幼い子どもを平気で殺めていく役だという情報は聞いていましたが、実際何を思っていて、どんな役なのかという細かいところまでは、オファーをいただいた時点ではわかりませんでした」と話す。「それでも台本を読み進めるうちに、思っていたより“ファンタジーな人”だなあと思えてきました。そもそも人の命を奪うこと自体がどうなんだというのは勿論ありますが、仕方なく人の命を奪うにしても、普通は理由があると思います。でも彼女が人を殺める時に、理由はなくて。
権力を手に入れる上で邪魔な者は排除するというただそれだけで、淡々と人を殺せてしまうし、楽しみすら感じることもある…。狂気的な面を持っていて、世の常識が通じない、とんでもない人だなと思いました」と語った。

 さらに「彼女の言動に関しては人として理解できない部分だらけではあるので、理解しようというよりも、どんな楽しみを先においてこの人は取りかかっているのかな…みたいな事を想像しながら演じました」と続ける仲間。「あくまで作り物の世界ですし、ここまで振り切れた人物だと、監督陣もとても楽しそうに演出されるんです。それに、そもそも時代劇というのは、誰も実際には見たことのない世界。ある程度自由に作れるものだと思っています。
とんでもなく変わり者で狂気な治済なので、不謹慎ではありますが、ある意味わくわくしながら演じさせてもらいました」と明かした。

 登場時は美しく穏やかな雰囲気だった治済は、徐々に不気味で恐ろしい存在に変わっていく。その変化については「役の魅せ方は、監督方ともお話をしました。前半は、本性が見えない、裏ではものすごい事をしているけれど、表面的には何を考えているか分からない雰囲気。でも実権を握った途端、タガが外れたように贅沢三昧をし、この力がどこまで及ぶんだろうと楽しんでいるかのような空気もあります。監督との間で、力を握るあたりから治済の本音を少しずつ足していこうというお話もありましたので、それまでは大人しく見えるように意識して演じました」と語る。


 治済の息子・家斉への思いについては「“権力を握るのは自分である”という思いが、幼い頃から彼女の中にずっとあって。実権を握っていない時から、どうすれば自分が一番上に立てるのかを考えていましたし、そのためなら息子ですら利用するという…。何とも恐ろしい人です。家斉は息子なので、もちろんある種の愛情もあると思います。ただ、『そうそう、私の言う事をずっと聞いてなさい』というように、従順な子に育ててきていますので、家斉はとてもかわいそうではありますよね」と話した。

 思い出深いシーンについては「力を持ってからの、御台(茂姫/蓮佛美沙子)や定信(安達祐実)とのやり取りが印象に残っています。
“自分”をしっかり持っていて、政をまっすぐやっていきたいという熱い思いを持っている人達でしたが、そんな人達ですらも治済の狂気にはかなわないんだ…と。治済はそれくらい頭のおかしい人なんだというのを再認識させられました。治済は、まぁ人の話を聞かない(笑)。自分のことしか考えていないという面を強く持ち続けるのが大変ではありました」と語る仲間。

 さらに「自分の感情を真っ直ぐストレートに伝えられて、意志も強く、間違っていることは『これはおかしい』と声を上げられるような相手に対して、どう攻めたら崩すことが出来るんだろうというのはよく考えていました。通常は感情と感情のぶつかり合いで芝居が成立していきますが、彼女には感情がない。
相手がぶつけてくれる熱い気持ちに対して熱く返すことがないので…。どうよけるかを考えながら演じるのは面白くもあり、難しくもありました」と振り返った。

 ドラマ10『大奥』Season2は、NHK総合にて毎週火曜22時放送。