ポン・ジュノ、パク・チャヌク、山下敦弘、是枝裕和、ウォシャウスキー姉妹と世界の名だたる映画監督の作品に出演し続けているペ・ドゥナが、次に挑むのは、ザック・スナイダー監督が2部作で贈る、Netflix映画『REBEL MOON — パート1: 炎の子』(22日配信)。本作でペ・ドゥナは、顔色ひとつ変えずに剣と復讐心を燃やす二刀流使いネメシスを演じ、主人公コラ(ソフィア・ブテラ)と共にアウトロー集団〈チーム・レベルズ〉として、全てを支配する銀河の帝国“マザーワールド”に挑んでいく。
【写真】思わずキュンとくる 笑顔のペ・ドゥナ
■「演じられる役しか引き受けません」
ーー演じるネメシスは「敵の死を悼む」という、ある種の矛盾とも言える行動を取るキャラクターです。敵にも命があることを再確認させるのは、ドゥナさんの説得力ある演技のたまものだと思うのですが、どうキャラクターを解釈したのでしょうか?
ドゥナ:クモの形をしたエイリアンのハルマダが「人間のせいで子どもを産めなくなった」と伝えるシーンですね。『REBEL MOON — パート1: 炎の子』を視聴者の皆さんが見たときに、どうしてネメシスがこういう行動を取るのかが分からないんじゃないかとわたしも考えました。今言えるのはネメシスも母であるということ。自分が殺したにもかかわらずネメシスがハルマダに同情を覚えたのは、彼女の中に共感できるポイントがあるからなんです。『REBEL MOON パート2 傷跡を刻む者』では、ハルマダとの共通点でもある正義と復讐で動いているネメシスの内面を表現する機会があります。
ーー楽しみです!ネメシスは衣装も印象的でした。
ドゥナ:撮影初日に衣装部屋に入ったときに、韓国でソンビと表現される、学識のある人たちがかぶる帽子が用意されていました。韓国ドラマ『キングダム』(Netflix)では、ワンセジャ(王世子)がかぶっていましたが、当時の女性はあの素晴らしい帽子を身に着けることができませんでした。なので今回の役で、あの帽子を女性のわたしがかぶるということは、すごく超越した気分で、気持ちよくもありました。
また、衣装デザインのステファニー・ポーターは、わたしがキャスティングされたことで、衣装に韓国的なポイントを入れようと思ってくださったみたいで、チマチョゴリの襟を改めたデザインを施してくれました。
ーーなるほど。今年日本では『あしたの少女』が公開され、『REBEL MOON』と見比べると、ジャンルが全く違うように思うのですが、どのように撮影に挑まれているのでしょうか?
ドゥナ:わたしは基本的に好みや趣向が1つというわけではありません。小さい作品でも人間の内面をきちっと映すような作品にひかれますし、その一方で、頭の中で想像できても、一度も見たことないようなものを具現化するのも映画の醍醐味で、これを美徳と感じます。今回の『REBEL MOON』では、企画や作品規模、歴史あるハリウッドのVFXに対する好奇心がありました。「この人たちがどうやって作るんだろう」「その技術を見たい」と、制作の様子をのぞき見したい欲望を感じたんです。
わたしの思考は多種多様で、憂うつな暗い映画に出演した次には、活動的で楽しくて、新しいような雰囲気の作品にひかれるかもしれません。こんな風にいろいろチャレンジしていきたいんです。また、わたしは基本的に演じられる役しか引き受けません。それは「心」が伝えられる演技ができる役です。
(取材・文・写真:阿部桜子)
Netflix映画『REBEL MOON — パート 1: 炎の子』はNetflixにて12月22日世界独占配信、『REBEL MOON — パート 2: 傷跡を刻む者』はNetflixにて2024年4月19日世界独占配信。