日夜、全身全霊でステージに力を込めるグループアイドル。儚(はかな)くも輝き続ける彼女たちは、2023年もファンに活力を与え続けた。
【写真】2023年にアイドルを卒業&卒業発表したメンバーたち
■アイドル界の一大勢力“坂道グループ”3組は新フェーズに
11~12月にかけて、東京・東急歌舞伎町タワーにある劇場・THEATER MILANO-Zで行われた「新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za」で、新世代のメンバーが可憐(かれん)なステージを展開した坂道グループ。メンバーの卒業があった一方で、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46の3グループは、新たな可能性を示してくれた。
乃木坂46は、2月に神奈川県・横浜アリーナで行われたデビュー11周年記念公演「乃木坂46 11th YEAR BIRTHDAY LIVE」で、1期生で2代目キャプテンを務めた秋元真夏が卒業し、3期生の梅澤美波が3代目キャプテンに就任。3月に2期生の鈴木絢音が卒業し、3~5期生のみの新体制となった。年内リリースのシングル3作では各期から表題曲センターを輩出し、新体制の意気込みを感じさせた。
櫻坂46からは二期生の関有美子、一期生の土生瑞穂が卒業。メンバーの旅立ちもありながら、1月加入のフレッシュな三期生たちがグループに新たな力をもたらした。海外展開も特筆すべきで、7月に出演したフランス・パリでの「Japan Expo Paris 2023」を皮切りに、マレーシア・クアラルンプール、フィリピン・マニラでもステージを展開。フィリピンの「2023 Asia Artist Awards」ではファン投票1位獲得による「人気賞」、「ベストミュージシャン賞」の2冠を達成し、日本以外でも存在感を発揮した。
日向坂46からは一期生の影山優佳が卒業し、12月には年内に卒業を発表した一期生の潮紗理菜の「卒業セレモニー」が行われた。
■過渡期を迎えたAKB48、ハロー!プロジェクト勢
坂道グループの一角、乃木坂46は“AKB48の公式ライバル”として誕生した経緯を持つ。その礎となったAKB48はグループの劇場公演デビューかから18周年を数えた今年、過渡期を迎えた。
48グループは各拠点に劇場をかまえ、グループ内を複数のチームに分けて劇場での定期公演を展開している。しかし、その筆頭であるAKB48は、4月にチーム制休止を発表。メンバーやファンに動揺が走った。
また、年内はメンバーの卒業や卒業発表が相次いだ。パフォーマンスをけん引した岡田奈々、本田仁美らと共に、広く話題を集めたのは、10月に卒業を発表した柏木由紀。7月で32歳となり、歴代最長の在籍記録を更新する柏木は、2024年3月に神奈川県・ぴあアリーナMMで「卒業コンサート」を開催、翌4月中の卒業を予定している。
一方、メジャー勢ではハロー!プロジェクトも、大きな節目を感じさせる動きが目立った。
年内では、つばきファクトリーのリーダーの山岸理子や、アンジュルムのリーダーを務めていた竹内朱莉がグループを卒業。両グループとも新リーダーが率いる新体制となり、Juice=Juiceのリーダーを務める植村あかりも、2024年春の「コンサート・ツアー」での卒業を発表している。
さらに、11月にはモーニング娘。’23で歴代最長9年間のリーダー在任記録を持つ譜久村聖が卒業した。ハロプロ加入から15年を締めくくるラストステージでは、グループに新たな風を吹かせた5月加入の17期メンバーらと共に、自身のデビューシングル曲などを披露。譜久村と同期で現時点の歴代最長在籍日数を日々更新する生田衣梨奈を新リーダーに据えた体制で、走り続けている。
■FRUITS ZIPPER、ME:I…令和のアイドルシーンに新たな可能性
平成から令和にかけてのアイドル史を築いてきたグループに、大きな変化が訪れた2023年。かつて、“アイドル戦国時代”と称された時代から一翼を担ってきたBiSHが、6月の東京ドーム公演をもって解散したのは、強くインパクトを与えた。
しかし、グループアイドル界では、新たな可能性を秘めたグループの躍進も目立った。結成わずか2年目で「日本レコード大賞」の新人賞を獲得したFRUITS ZIPPERは、自身の1stシングル「わたしの一番かわいいところ」などのTikTok動画を契機に一躍スターダムへ。
6月には“乃木坂46の公式ライバル”である、僕が見たかった青空の結成も話題に。“国民プロデューサー”と称されるファンなどの投票でグループデビューするメンバーを選出、その過程を追うドキュメンタリー番組にも熱視線が送られた「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」発の11人組ガールズグループであるME:Iの誕生など、新たな動きには期待も募る。
2023年を振り返ると、新型コロナウイルスが5類に移行した5月を境に、グループアイドルのステージが従来の活気を取り戻してきたのも大きなトピックとなった。ライブの勢いがさらに加速すると見込まれる2024年、各グループのメンバーはより力強いパフォーマンスで、ファンを魅了してくれるはずだ。(文:カネコシュウヘイ)