4月より放送がスタートしたドラマ『ミス・ターゲット』(ABCテレビテレビ朝日系/毎週日曜22時)。さまざまな男を手玉に取ってきた百戦錬磨の女性結婚詐欺師が、本気の婚活に乗り出すエンタメラブストーリーで、松本まりかが主演を務めている。

そんな本作には、3月に大人気漫才コンビ「和牛」の解散を経たばかりのお笑い芸人・川西賢志郎も出演。初の連ドラ出演となる川西が、この新たな挑戦についてどう考えているのか、また、劇中で“おしどり夫婦”なキャラクターにふんする川西の結婚観や理想の夫婦像などを話してくれた。

【写真】新たなステージへ! 川西賢志郎、キュートな笑顔の撮り下ろしショット

■川西“賢”志郎、「けん」さん呼びに「無理なく入っていける」も…

 『ミス・ターゲット』は、悪事で儲ける男たちから大金を巻き上げ続けてきた結婚詐欺師・朝倉すみれ(松本)が、彼女と真逆の価値観を持つ和菓子職人の村松宗春(上杉柊平)を“本気の婚活相手”に定めることから始まる物語。川西は、宗春の親友で居酒屋を営む稲垣謙を演じる。マッチングアプリで出会った妻・歩美と共に居酒屋を切り盛りしており、“稲垣夫婦”のコミカルなやりとりも毎度注目だ。

――初めて連続ドラマにレギュラー出演されるにあたり、心境はいかがですか?

川西:このタイミングでこういうお話をいただいたことに対して感謝をしてますね。ただ、もともと脚本があってキャラクターが決まっていて、言葉のところで言うと標準語で、という前提やった。僕がカジュアルな会話を標準語で話すと特に嘘っぽくなるかなと思ったので、そのあたりは相談させていただいたうえでお受けさせていただきましたね。

――川西さん演じる稲垣謙は、明るくて料理上手、常に親友の宗春のことを気にかけている印象です。謙と川西さんで共通する点はありますか?

川西:分かりやすく名前が「けん」さんなんで、ふり向きやすいですよね(笑)。現場で、役名で呼ばれる時に無理なく入っていける。だから良いなと思ってたんですけど、どうやらスタッフにももう1人“けんさん”っていう方がいて。
「けんさんこれ、なになにで」って言われたときに「え、俺がその照明いじらなあかんのかな」とか。そしたらちょっと渋めのおじさんが出てきて。けんさん2人おるんだ……って。その“けんさん”との区別は自分の中でつけるようにしてます。「今のけんさん俺じゃないな」って(笑)。

――とても明るい現場なんですね。現場の雰囲気はここまで撮影していてどうですか?

川西:すごく良いんやと思いますよ。初めての僕が居心地良いくらいですから。すごくみんなコミュニケーションも取ってますし……やっぱり、そういう雰囲気っていうのは松本さんと上杉君、メインのお2人が、気配りをされてるからこそだろうなとは思いますね。

■川西夫婦は「めっちゃ仲良い」その秘けつとは?

――今回演じる稲垣謙には歩美という奥様がいます。川西さんご自身も2022年にご結婚を発表されていますが、謙・歩美夫婦と川西さんご夫婦で、似ているなと思う点はありますか?

川西:自分で言うのも変かもしれんけど、まず「めっちゃ仲良い」ってとこじゃないですか。めっちゃ仲良いですよ、実際も。
それは単純に、うわべで「イチャイチャする」とかそういうことじゃなくて、ちゃんとした話もするし。謙と歩美は、いちゃついたりもするんですよ。冗談めかした感じで。かと思えば、小競り合いしてしょうもないことで喧嘩もする。でも喧嘩したら多分、そんなに尾を引かずにお互いが歩み寄って、ちゃんと話して仲直りするんやろな、という夫婦像がドラマ通して見えてくるんです。そういう部分は実際の僕の夫婦においてもあると思うんで、そこじゃないですかね。似てる部分は。

――お互いにお話することで色々解決していく?

川西:そうです。やっぱり言葉に出して言わないと、分からないことって多いじゃないですか。(妻とは)お付き合いして結婚して数年一緒にいますけど、それでもいまだに、「あ、そうやったんや」っていうこととか、逆に「俺のことそう思ってたんや」とか、いろいろまだ出てくるものがある。だからこそやっぱり一生コミュニケーションを取り続けるっていう大切さはあると思う。それをちゃんとやってる感じがしました、謙も歩美も。


歩美が毎回ここ(頭)にね、食品サンプルのヘアピンをつけてるんですよ。物語の中ではそれを別にいじらないけど、稲垣謙として、歩美をいち女性として見る中で気づくようにはしてます。細かいところに気付けないということがどれだけ減点されるか……っていう怖さはね、男性みんな持ってるから。謙は、口に出す場面はないけどちゃんとしてます。

――結婚観について、川西さんには“理想の夫婦像”はありましたか?

川西:理想の夫婦像っていうのはあんまり持ったことないかもしれないですね。でも、僕はお酒が好きなんですが、プライベートで飲みに行った時に「この居酒屋ってなんか雰囲気良いなあ」と思う時って、お店の人から伝わったりすることってある。ドラマの中でも(謙と歩美は)そういう夫婦になったらいいんだろうなとは思うし、自分の実生活においても、なんとなくそれが理想像やったかもしれません。

――今は、そういったご夫婦になれている実感はありますか?

川西:謙と歩美みたいに2人で飲食店を経営して、というように、夫婦の空気を外側に出すことは自分たちはない。むしろ多分、お互いと一緒に仕事はしたくないなと思ってるんで。多分ぶつかっちゃうところがお互いにあるだろうなって思うからそれはないけど、(そういう夫婦も)なんかいいなって思います。

■“俳優業”は、芸人の「延長線上で」今後の展望とは

――今回、テレビドラマでの演技となりますが、これまでテレビではコントの演技を披露されたことがあります。ドラマとコントの演技の違いは感じますか?

川西:これはちょっと僕も分からないですね。
ただコントは、やっぱりどこまでいってもコント。中心に「お笑い」があるから、「お笑い」から外れなければ割と見せ方の部分は好きにさせてくれたりするんです。ドラマって、中心にそこまで強い「笑いのため」っていう軸があるわけではないから、もともと監督が描いている正解があって、それに僕が準備していったものを合わせに行くってことはしなきゃいけないだろうなとは思いますね。ただそこがなかなかできないし、僕なんかは経験がないから、できてないんだろうなってことは感じたりします。

――今後も、川西さんの演技を拝見することはできそうですか?

川西:もしまた次何かお話がいただけたら、自分がお力になれるか、やりたいなと思ったらやらせてもらうかもしれない。そこは一つ一つ丁寧に向き合って、ご縁があったらやっていこうと思っています。

――俳優としての川西さんとお笑い芸人としての川西さん、仕事に臨むうえで心境に違いがあるなと感じた部分は?

川西:それがねえ、「これは俳優業だから」みたいなことはないんですよね。例えば今までも、ネタをやる時はある程度ストーリーを作ってたり、展開によってリアクションしたり、感情を表現したり……それをどう伝えるかっていう工夫をずっとしてきてはいたんで、その延長線上で(俳優としての)仕事も、やらせていただいてるっていう感じが強いですかね。

――特になにかをはっきり分けているというわけではなく?

川西:それはむしろ逆にできないですね、俳優としての顔を作ろうとしても、1回もやったことのない顔なんか作れないから。ちっぽけでも、何か良い影響をもたらすことができたらなという思いでやってます。

――今回連続ドラマという新しい挑戦をされました。今後の展望はいかがですか?

川西:食わず嫌いはしないでおこうと思って。
ある程度いろいろなことを一通りやらせてもらって、合わへんやろなと思う仕事も1回口にして食べて。何が合わへんかったかを言えないと失礼だと思うから、そのスタンスは守りながら。連続ドラマもそうですが、今までなかったものに出会える可能性は秘めていると思うので、その都度しっかり食べて、確認作業しながらっていうことは、今の状況だからこそやろうと思いますね。

(取材・文:小島萌寧 写真:高野広美)

 ドラマ『ミス・ターゲット』は、ABCテレビ・テレビ朝日系にて毎週日曜22時放送。

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