綾野剛が主演し、柴咲コウや亀梨和也らが共演する三池崇史監督作『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』の主題歌が、キタニタツヤ書き下ろしの「なくしもの」に決定。主題歌入りの最新予告、新たな場面写真4点が解禁された。



【動画】キタニタツヤ書き下ろし主題歌「なくしもの」入り最新予告

 本作は、第6回新潮ドキュメント賞を受賞した福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫)を、三池崇史監督のメガホンで映画化。

 本作の主題歌が、そんなキタニタツヤ書き下ろしの新曲「なくしもの」に決定。この楽曲は、“何を失くしたのかさえもわからなくて けれど大事にしてたことは憶えていて”という歌詞が表現するように、追い詰められた状況の中にいてもなお、かすかな希望を手繰り寄せようとする想いを丁寧に描き、作品の世界に静かに寄り添っている。

 楽曲について、キタニタツヤは「他者に奪われ壊され摩耗した人間が、全てを取り戻せないことを知っていてなお、再び他者を信じ手をとって立ち上がる。そういう強さは美しいなとこの作品を観て感じ、それを詞とメロディに込めました」と想いを語った。

 また、綾野からは「キタニさんがこの作品にとても誠実に向き合ってくれて、(この楽曲は)“最後の最大の共演者”だなと思いました。歌詞がいい意味で散らばっていて、必至に手繰り寄せている感じがしました。それは、薮下や律子さん、あの世界を生きている人たち全員共通することなのかもしれないと。とても深い部分で音楽を感じられて、本当に感謝しています」とのコメントが到着。

 柴咲も綾野と同意見として、「人間のモヤモヤしている部分を彷彿とさせられました。映画と同化していて、締めくくりに相応しい楽曲だと思いました」と述べた。

 併せて、最新予告映像も解禁。
今回の映像では、教え子・氷室拓翔(三浦綺羅)に“体罰”をしたとして告発された教師・薮下誠一(綾野)が追い詰められていく姿が、より切実に、より濃密に描き出されている。拓翔のランドセルを乱暴に投げつける薮下、涙を溜めながら怪我をした拓翔に寄り添う律子(柴咲)、薮下に謝罪を強制する校長・段田重春(光石研)と教頭・都築敏明(大倉孝二)、薮下の元へ取材に訪れる鳴海三千彦(亀梨和也)…。

 実名報道をきっかけにメディアの過激さが増す中、薮下は自身の無実の主張を続け、律子は薮下の体罰を認めてもらうべく裁判に乗り出す。さらに、両者の弁護士・大和紀夫(北村一輝)と湯上谷年雄(小林薫)も加わり、息つく間もなくストーリーが展開されていく。

 そこに重なるのが、キタニタツヤの力強くも澄んだ歌声。自分を見失うほどの喪失感を抱えながらも、それでも生きる意味を探し続ける歌詞のメッセージが、薮下の“孤独”に肩を寄せる。そして、儚く切ないメロディを背景に、叫ばれるそれぞれの想い…。「私は体罰をしていません」(薮下)、「傷ついている息子が、苦しみから解放されることを切に願っています」(律子)、「私が記事を書かなければ、あの人たちを救うことはできない」(鳴海)―おのおのが信じる真実と揺るぎない想いが複雑に入り混じり、見る者の感情を揺さぶる。

 最後に、“いつか生きててよかったと思えるでしょうか”の歌詞と共に画面は暗転。同時に、「なぜ、それを信じますか?」のメッセージが表示される。映像冒頭にある「これは真実を疑う物語」と繋がり、見る者には、自身が問いかけられているかのように映るだろう。

 また、今回新たに場面写真4点が到着。
教室で拓翔ににじり寄る薮下の表情は冷酷で、教師と児童の関係性ながら、2人の間には溝があるように見える。一方で、夕日を背に涙ぐむカットの薮下は、真摯で人間味のある印象だ。虚ろな目で前を見つめる律子は、息子のために奮闘する母親という世論のイメージとはうって変わって、ミステリアスな雰囲気が漂っている。薮下との初対面を控えた鳴海からは、律子の訴えを受け止めつつも、真実を突き止めようとする記者としての覚悟がうかがえる。

 映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』は、6月27日より全国公開。

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