連続テレビ小説『おむすび』(NHK)での風見先輩役で一躍注目を集め、続く『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS)では江口のりこが演じる礼子の会社の同僚・今井を好演するなど、松本怜生の躍進が止まらない。7月1日にスタートするドラマストリーム『シンデレラ クロゼット』(TBS系)では、尾碕真花とW主演を務め、地上波連続ドラマ初主演という大役に挑む。

デビューから3年、来年には大河ドラマへの出演も控えるなど、着実にステップアップを見せる松本に、本作の見どころやこれまでの俳優活動について話を聞いた。

【写真】美しさあふれる! 松本怜生、インタビュー撮りおろしショット

◆連ドラ初レギュラー出演した「ドラマストリーム」での主演に感慨

 本作は、オシャレなキャンパスライフに憧れて地方から上京してきた尾碕演じる主人公・福永春香が、松本演じる自分なりの美を追求する専門学生の女装男子・神山光と出会い、メイクやファッションを学んで、新しい自分を見つける物語。“自分らしく生きたい”と願う人、頑張っている人にエールを送る新感覚の青春ラブストーリーだ。

 松本が演じる光は、性別も心も男性だが、女装をファッションの1つとして楽しむ女装男子。春香のピンチをメイクやファッションで助けるうちに、その明るさや真っすぐさに惹かれていく。

――地上波連ドラ初主演となる本作のオファーを聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?

松本:とてもうれしかったです! 連続ドラマ初レギュラー出演もドラマストリーム(『パパとムスメの7日間』)だったので、3年くらい経って主演をさせていただくということに月日の流れも感じましたし、成長できているのかなとも思いました。

――原作や台本をご覧になってどんな感想を持ちましたか?

松本:ラブコメをあまり読んだことがなかったのですが、一読者としてすごく素敵だなと思いましたし、「そりゃキュンキュンするよね」というのがよくわかりました。ウハウハで読んでいたんですけど、読み終わって「これを俺がやるんだ…」と思って(笑)。一気に「やばい!やばい!」と焦りました。

原作を読み込めば読み込むほど、それに近づけたくなって、理想のハードルがどんどん高くなっていき、頭を悩ませる毎日でした。ドラマも大事ですけど原作ファンの方も大切だと思うので、ドラマ化によって違う面白さが生まれたらいいなという思いと、原作の美しさは絶対に変えたくないという思いがあって。原作ファンの方々にとっても絶対にいいものであってほしいので、一生懸命頑張ろうという気持ちが強かったです。


――光は、恋愛対象は女性で、女装をファッションとして楽しむ女装男子です。演じるにあたり難しかった点はどこでしょうか。

松本:光は、好きになっている時、好きな時、好きだけど背中を押してあげたい時、と好きの設定が細かくあるんですね。撮影の都合上、どうしても順番通りに撮影が行われないことも多いので、その「好き」の気持ちの変化を演じ分けることが難しくて、台本にたくさん書き込みをして臨んでます。

――光と似ているなと感じる部分はありましたか?

松本:たとえば好きな人が被ったとして、相手がもう1人のほうを好きなら、好きだからこそ相手の思いを応援しないといけないという気持ちになるところとか…。

――それは実体験に基づいた…?

松本:ありました。それってよくないんですよ。綺麗事だって言われたらそうだよねってなりますし…。でも僕は、後からでもいいやというか、自分に自信はちゃんと残しつつ「いつか絶対!」と思う派でしたね。

◆“女装男子”光のビジュアルは「指の先まで女性であるべきと頑張った」

――W主演を務められる尾碕真花さんの印象はいかがでしたか?

松本:共演前はクールで口数の少ない方なのかなと思っていたのですが、イメージと違いました。実は同い年なんですけど、芸歴では先輩ですしリスペクトがあったんです。その気持ちをどこまで表に出したらいいのかな、逆に出したら失礼かなと考えていたら、尾碕さんのほうからタメ口で話そうと言ってくれて。
普段からなんでも言いやすいですし、ちょっと会わない期間があっても、すぐにいつもの感じに戻れるくらい打ち解けました。

あと、役に対するスイッチの入れ方が一緒で、お芝居の呼吸が似ているので、とてもやりやすいです。

――素の光と、女装の光が並んで映し出されたメインビジュアルが解禁されると、SNSでは松本さんの美しさが話題となりました。ビジュアル面でこだわった部分はどこでしょう。

松本:僕がこだわったというよりは、スタッフのみなさんのこだわりがすごいんです。気づかれる方もいらっしゃると思うんですけど、原作にそっくりな衣装を用意してくださって。髪も原作ではもっと金髪なんですけど、実写にした時にあそこまで明るい金髪だと逆に違和感が生まれるということで、ミルクティーっぽい髪色にしたり。ほとんどスタッフのみなさんが仕上げてくださったので、僕は肌感に気をつけたくらいで。

でも光を演じるにあたり、お米を食べないようにして5~6キロ痩せて、筋トレも止めたんですよね。美容脱毛にも行かせていただきましたし、指の先まで女性であるべき!と頑張りました。

――普段のご自身は、美容に対する意識は強いほうですか?

松本:一般的な男性と比べると美容に気を配っているほうだとは思いますが、すごく几帳面というタイプではないので、どうしても気分によってサボったりしちゃうんですよね。ただ顔に関しては敏感になりすぎて、ちょっとでも手に菌がついたなと思う瞬間があったら、毎回ハンドソープで洗ってからティッシュで拭いて、それから顔を触るように心がけています。
そこだけはすごく潔癖になっちゃっています(笑)。

◆俳優デビューから3年 もっともっと芝居の経験を泥臭く積みたい

――俳優デビューから3年が経ちました。これまでの道のりを振り返ると、どんな日々でしたか?

松本:芝居の技量と言いますか、カメラに撮られる上でどう見せるかという技術は昔よりは身に付いたと思うのですが、最初のころのどう見えるかまったく考えていない時期の芝居も大事だなと思うところもあるんです。自分の中で、3年経ってあの時からもっと成長していなきゃいけないところ、あの頃の芝居で大事にしていかなきゃいけないところ、そうしたものが整理整頓されてクリアになってきた感じがあります。

――ここは変わったな、成長したなと思う部分はどこですか?

松本:何が一番成長したんでしょう?(笑) 自分は適応能力がいいのかなとは思いました。芝居の経験がほとんどなく、業界用語を何も知らない状態で連ドラの現場に行って(笑)。一番年上だったので誰にも相談できず、周りをすごく観察して、「これはそういうことか」と勉強していった思い出があります。1年目は周りを見ることを頑張りましたね。

――『おむすび』風見先輩や、『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』を経て、本作、さらに来年は大河ドラマ『豊臣兄弟!』で石田三成役と大役が続きます。順調にキャリアを積まれていますが、今後どのような俳優さんになっていきたいですか?

松本:僕が小さいころに憧れていた俳優さんというのは、平成のあの頃にしか出せない色を持った俳優さんだったんだなと感じています。きっと令和には令和の俳優さんの姿があると思うのですが、その中でも、周りとは違う色の花じゃないですけど、自分にしか出せないものを持った俳優になりたいなと思っています。時代劇にも出させていただいているのですが、今の時代ではなかなか経験のできないすごく貴重でありがたい経験だなと感じています。
もっともっと芝居の経験を泥臭く積んで、見た目ではなく芝居で評価されるようになりたいですね。競争じゃないですけど、同世代のほかの俳優さんが歩まないようなところを歩んでいきたいと思っています。

――最後に、作品を楽しみにしているファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

松本:原作ファンの皆さんには、春香と光の印象が鮮明にあると思います。僕たちも原作のイメージを重要視して作品を作り上げているので、動くとこうなるんだ!と新しい発見をしながら観ていただけたらうれしいです。

原作も面白いですし、ドラマにはドラマの面白さがあって、どちらも面白いが一番うれしい。春香目線で観ていただくとより楽しめると思いますので、ぜひご期待ください!

(取材・文:佐藤鷹飛 写真:高野広美)

 ドラマストリーム『シンデレラ クロゼット』は、TBS系(一部地域を除く)にて毎週火曜24時58分放送(初回7月1日は25時28分スタート)。地上波放送終了後「TVer」「TBS FREE」にて1週間無料見逃し配信。「Netflix」では第1話から最新話まで全話配信。

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