ソロアーティストとして活動する岩橋玄樹が、ファンタジーホラー映画『男神』でスクリーンデビューを果たす。映画の出演が決まった時には「ファンも喜んでくれるかなと思いました」と語るように、応援してくれる人たちの存在を胸に邁進している彼。

「僕とファンの関係性は、世界一ステキなもの」と輝くような笑顔を見せた岩橋が、それを実感した瞬間やこれからの夢について明かした。

【動画】優しい笑顔でファンへの思いを語る 岩橋玄樹のインタビュー映像

■新境地に充実感!

 原作『男神』は、2020年に「日本(美濃・飛騨等)から世界へ!映像企画」にて入選。YouTube超人気サイト「怖い話怪談朗読」にて朗読され、「今までで1番怖い話」と一躍注目を浴びた話題作だ。全国各地で母と子の失踪事件が相次ぐ中、新興住宅地の建設現場に正体不明の深い“穴”が発生。そこで働く和田(遠藤雄弥)の息子も忽然(こつぜん)と姿を消してしまう。息子が不思議な森へとつながった穴に迷い込んだことを知った和田は、「決して入ってはいけない」と語り継がれる穴へと進む決意をし、そこで得体の知れない恐怖と狂気に遭遇する。

 初めての映画出演が決まり、「ファンも喜んでくれるかなって。最初に、ファンのことを思いました」と笑顔を見せた岩橋。「もともとホラーやファンタジーも大好きなので、初めての映画がファンタジーホラーになったことも、とてもうれしいです。僕も映画の中で描かれた、違う世界が広がる不思議な“穴”に入ってみたい」と好奇心をのぞかせる。

 岩橋が演じた山下裕斗は、巨大な重機を操る建設会社の職人で、困った人がいたら我先にと駆けつける、主人公の和田にとっても頼もしい存在だ。岩橋は、「ここまで男っぽい役柄を演じるのは初めて」とニッコリ。


 「裕斗くんは、タンクトップでヘルメットを被っていて、ずっと泥だらけです。ヘルメットを被っているので前髪を上げているのですが、これまで演じた役を考えてもこんなに前髪を上げることがなかったなって。でも自分で見ても、意外とヘルメット姿が似合っているなと思いました」と目尻を下げつつ、「新しい世界に足を踏み入れた感覚があります。すごく新鮮でした」と新境地を楽しんだ様子。「とはいえ、普段の僕は意外と男らしい性格で大雑把なところもあるので、裕斗くんと似ているところもたくさんあります」と自己分析する。

 裕斗には“ニューヨークに留学していた”というキャラクター設定もあるため、英語での演技にも挑戦している。現在、日本とロサンゼルスの二拠点生活を送っている岩橋だが、劇中ではアーサー考古学教授を演じたチャールズ・グラバーを相手に、見事な英語を披露した。

 「事前に英語のセリフや発音の確認をしたり、自分で練習をして撮影に臨んだのですが、本番ではそれがすべて変わってしまって」と回想。それはチャールズ・グラバーの要望だったそうで、「チャールズさんには、その場で自分の思ったことや感じたことをセリフの中に入れた方がいい作品になるという考えがありました。僕もチャールズさんからいろいろなことを教えていただきながら、アドリブのセリフに挑戦しています。俳優としても、すごくいい経験になりました」と充実感をにじませる。

■あふれるファンへの感謝と明かした大きな夢

 英語の勉強方法について尋ねてみると、岩橋は「僕はヒップホップカルチャーやラップ、アメリカの映画も大好きで。
そういった、自分の好きなカルチャーにフォーカスしながら学ぶことが大切だったと思います」と吐露。

 「いろんな思いを持ってアメリカに行き、さまざまな刺激やカルチャーショックを受けて今に至ります。アメリカに行った時は、英語だけで生活をする。日本語をなるべく話さないということを心がけています。会話の中で分からないことがあっても、ノリとテンションで突き進む!」と上達するために欠かせなかったのは、どっぷりその環境に浸かることだった様子。

 日本とアメリカを行き来する二拠点生活を始めたことで、「度胸がついた」とも。「1人でドライブをするのも大好きで。住んでいるロサンゼルスから車を南に走らせて、メキシコとのボーダーラインまで行ってタコスを食べて帰ってきたり。そういう冒険を楽しんでいます。日本では、1人でご飯屋さんにも行けないくらいだったのに」と自身の変化を楽しんでいる。

 ソロ初コンサートを開催した際には、ファンの支えを強く実感したという。「この世界からいなくなろうと思った時、ファンの方々の存在の大きさを感じました。
2021年の12月に中野サンプラザでライブをさせていただいたのですが、休養期間も長く、久々にファンの前で歌った1曲は忘れられません。みんなが『キャー!』という感じではなく、泣きながらオープニングを迎えて。そういった経験は僕も初めてでした。それから4年、こうして芸能生活を送ることができているので、ずっと感謝をしないといけないなと思っています」と心を込め、その出来事は今の自分を作る“原点”になったと話す。

 さらに、「いろいろなアイドルグループやアーティストの方がいて、それぞれいろいろなファンとの関係性があると思いますが、僕と僕のファンの関係性は、世界一ステキな関係性。ライブをやるたびに、そう感じます」と胸を張った。「今回のように映画に出たり、テレビに出たり、ステージをやり続ける。そういった姿勢を、これからもファンの皆さんに示していきたいです」と真っ直ぐな瞳で未来を見つめる。

 今年は本作でスクリーンデビューを成し遂げただけではなく、7年ぶりの地上派ドラマ主演となる『恋愛ルビの正しいふりかた』(TOKYO MX)で不器用な恋を体現するなど、俳優業にも精力的に打ち込んでいる。

 「『男神』の裕斗役のように新しい一面を見せられることも、俳優業の醍醐味」と切り出した岩橋は、「ソロとして活動をしていると、1人で解決したりしなければいけないことも多い。でも映画やドラマの撮影現場では、誰かが一緒にいてくれるという安心感があります。それは懐かしい感じもしますし、とても心強いです」と、みんなで一致団結しながら作品を完成させていくという過程も大好きなのだとか。
続けて、「僕、クリストファー・ノーラン監督が大好きで。『インターステラー』は、人生を変えられたと感じている作品です。好きなセリフをタトゥーに入れるくらい大好き。2億回は見ているかも! …嘘ですけど」と茶目っ気たっぷりに笑いながら、「いつか彼の作品に出てみたい。それが僕の1番の大きな夢です。もし出られなくても、現場に行ってみたい。聖地巡礼したい」と俳優としての夢も限りない。

 柔らかな笑顔も魅力的な岩橋にとって、「笑顔を忘れないこと」もモットーにしていることだ。「これからも、感謝と笑顔を忘れずに。そして生まれ育った日本が、自分のベースにあるということを忘れずに。日本のよさを広めていくということをモットーに世界に向けてチャレンジしていきたいです」と力強く語っていた。
 
(取材・文=成田おり枝 写真=上野留加)

 映画『男神』は9月19日より全国公開。

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