坂口健太郎が主演を務める映画『盤上の向日葵』の主題歌であるサザンオールスターズ「暮れゆく街のふたり」の口笛バージョンが、桑田佳祐により本作のため新たに録音され、本編の重要なシーンで劇中曲として流れることが決まった。併せて、「主題歌特別映像」が解禁となった。
【動画】桑田佳祐が本作のために新録! 『盤上の向日葵』【主題歌特別映像】
2018年本屋大賞第2位となった柚月裕子による同名小説を実写化する本作は、生きる意味を問いかけるヒューマンミステリー。
とある山中で身元不明の白骨死体が発見された。手掛かりは死体とともに発見された高価な将棋の駒。捜査の末、その駒の持ち主は、将棋界に彗星(すいせい)のごとく現れ時代の寵児となった天才棋士、上条桂介だと判明する。さらに捜査の過程で、桂介の過去を知る重要人物として、<賭け将棋>で圧倒的な実力を持ちながら裏社会に生きた男、東明重慶の存在が浮かび上がるー。
昨年、本作製作陣は「切なさや哀しさ、愚かさも含め、必死に生きていく人間たちへの応援歌がほしい」と、この物語の主題歌をサザンオールスターズに依頼。完成直前の本編を見た桑田佳祐は楽曲提供を快諾し、最新オリジナル・アルバム「THANK YOU SO MUCH」のために制作を進めていた楽曲のひとつ「暮れゆく街のふたり」を「主題歌にしていただくのはどうか?」と提案。人間の情念を支える力強い声と、ドラマ性に満ちた楽曲の世界は、物語のラストシーンからエンドロールに寄り添い、映画の内容と余韻を深める印象的な主題歌として本編の締めにピッタリとはまった。だが、熊澤尚人監督やプロデューサー陣の仕事は、ここで終わりではなかった。
「暮れゆく街のふたり」の作詞・作曲をした桑田佳祐が、楽曲制作に着手した当初、“仮歌”として歌ではなく口笛を吹き込んでいた、という裏話を聞いた製作陣は、主題歌チームと相談しつつ、「口笛を本編に活かすことは出来ないか?」と、完成させたばかりの映画を編集し直すことを決断する。
物語の中盤、生き方を模索していた主人公・桂介が、故郷にも通ずるようなヒマワリ畑で亡くなった母を思い出す。ふと現実に立ち戻ると、そこには別の女性の姿が。
桑田佳祐はかつて、自身が監督した『稲村ジェーン』(1990)で映画の劇伴を手掛けたことがあるが、今回の“口笛バージョン”のように主題歌として提供した楽曲を、映画の劇中曲として特別にアレンジすることは初となる。桑田と映画製作チームの“セッション”ともいうべき異例の展開が、スペシャルな<映画用オリジナルバージョン>を生むこととなった。
桑田佳祐は「仮歌を口笛でやっていて、これがいいという話になりまして、ツアー中に口笛を入れ直しましたんですよ。それが向日葵畑のシーンで使われることになりました」と、自身のラジオ番組で経緯を語りつつ「またあらためて、劇場で観ようと思います」と自らの言葉でリスナーたちに向けて、完成版への大きな期待をにじませた。
熊澤尚人監督は「このように別バージョンの楽曲を特別に作っていただけることは、普通はないとのこと。映画の中でポイントになる、主人公の決断をこの曲で盛り上げることができたのは、大変嬉しいことでした」と感激を隠さない。
劇中曲の発表と共に解禁となったのは「主題歌特別劇映像」。サザンオールスターズによる主題歌はもちろん、実力派の俳優陣が集結した本作。特別映像には初公開となる場面が印象的に盛り込まれている。
さまざまな出会いと別れを経た桂介が、人生を懸けたタイトル戦へと踏み出していく決意のまなざし。桂介をめぐる光と闇の物語を、切なさと温かさに満ちた桑田佳祐の歌声が包み込み、「何があっても生き切るんだ!」というメッセージを力強く伝える2分間の映像となっている。
また、解禁となった「主題歌特別映像」を60秒にカットダウンしたものが、10月3日から10月30日まで、全国のSMT系映画館で全スクリーンの幕間映像として流れることになっている。
映画『盤上の向日葵』は、10月31日より全国公開。
※熊澤監督のコメント全文は以下の通り。
■熊澤尚人監督 コメント全文
「主題歌をサザンオールスターズさんにお願いできるかも?という事になり、映画を観ていただいたところ大変気に入っていただけ、桑田さんが主題歌と、その口笛バージョンを作ってくれました。こんな素晴らしい口笛バージョンがあるなら、映画に生かそうと編集をやり直し、桂介が向日葵畑を通り、昔を懐かしみ、母を思い出す箇所に、口笛バージョンが流れる構成でお見せしたら、桑田さんにも大変喜んでいただけました。