新横綱・日馬富士の誕生で、16場所ぶり(2010年初場所以来)に東西横綱がそろう大相撲・九州場所が、11月11日より福岡国際センターで開幕する。そんな相撲の“コスチューム”といえば、他のスポーツでは例を見ない「まわし」。
海外では「相撲ベルト」とも呼ばれるまわしの、知れば相撲に興味が沸くうんちくを集めてみた。

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 世界各地に存在するレスリング系格技の一つである相撲は、中でも裸身にまわし以外を身につけず行う点に特色がある。古くは「日本書紀」(720年完成)にも、裸に褌(ふんどし)という相撲に関した記述があり、最近も5世紀半ばの古墳からまわし状のものを締めた力士埴輪が出土しており、「裸にまわし」は長く変わらぬ、相撲の基本的スタイルであるようだ。

 相撲は古来、五穀豊穣や天下泰平を祈って行われた神事であり、まわし一丁のスタイルは武器を持たず正々堂々素手で戦うことを示すとともに、神事・作法の一環であるからとされている(塩をまくのは土俵を清めるためであり、四股を踏むのは地中の邪気を払うためなど、相撲の所作にはそれぞれ意味がある)。

 相撲にとって唯一の用具であるまわしは、腹部や腰部の保護はもちろん、これを掴むことで力を発揮し、様々な技が可能となる。大相撲では素肌の上に直接まわしを締め(負傷時のテーピングや包帯は認められている)、色についても十両以上の関取は紺・紫色系統を着用と「力士規定」に定められているが、これは中継を見れば明らかなように現実には色とりどりのまわしが使用されており、黙認された形となっている。

 また、まわしは洗うと生地が弱まるため、さらにゲン担ぎで「水に流さない」ためにも、基本的に洗濯はしない。しかし使用後は泥を落として天日干しをし、場合によってはアルコールで清拭することもあるという。

 なお、かつて相撲を題材にしたファミコン・ソフト「つっぱり大相撲」では、相手のまわしを外してしまう「もろだし」なる荒技が存在したが、実際にはこの技は存在しない。もし取組中にまわしが取れてしまった場合は、「不浄負け」といい反則負けの扱いとなる。

 不浄負けはこれまで、1917年5月場所と2000年5月場所でそれぞれ発生。特に2000年の一件は海外にも配信されニュースになるなど話題となった。
83年ぶりの事件であったが、どちらも5月13日に起きており、不浄負けならではのチン事件といったところだろうか。(文:しべ超二)
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