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スティーヴン・キングの同名小説を映画化した『シャイニング』は作家のジャックと妻ウェンディ、超能力を持つ息子ダニーが、コロラド州のロッキー山脈にあるオーバールック・ホテルを訪れるところから始まる。冬の間、ホテルの管理人として滞在するのだが、先住民の墓の上に建てられたホテルの邪悪な力に魅入られたジャックは、斧を手にウェンディとダニーに襲いかかる…。
ホラーという商業的なジャンルに初挑戦したキューブリックは、ステディカムの開発者ギャレット・ブラウンを招聘し、流麗なカメラワークとシンメトリーの構図にこだわった恐ろしくも美しいヴィジュアル・ワールドを構築。オープニングの胸騒ぎを誘う空撮シーン、雪山のホテルに出没する双子姉妹の幽霊、エレベーターから溢れ出る大量の鮮血、無数にタイプされた「all work and no play makes jack a dull boy」(仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う)の文字など、一度観たら忘れられない悪夢的イメージの数々を創出。当初100日間だった撮影スケジュールは250日間に及んだという完璧主義者ぶりは、今なお語り草になっている。
この傑出した独創性と完成度の高さゆえ、『シャイニング』はホラーの枠を超えて多くのアーティストに影響を与えたが、本作には数多くの謎が残されている。新進映像作家ロドニー・アッシャーが手がけた『ROOM237』は、まさに『シャイニング』のあちこちにこびりついた奇怪なミステリーの解明に挑んだ異色作。キューブリックの長編デビュー作『恐怖と欲望』から遺作『アイズ ワイド シャット』までの全作品の場面映像を引用し、不世出の天才監督の脳内を分析する驚くべきドキュメンタリーを完成させた。
ホテルを呪われた迷宮に見立てた『シャイニング』を多角的に解明する本作は、筋金入りのキューブリック研究家たちのコメンタリーとともに進行する。ビル・ブレイクモア(ジャーナリスト)、ジェフリー・コックス(歴史学者)、ジュリ・カーンズ(作家)、ジョン・フェル・ライアン(ミュージシャン)、ジェイ・ウェイドナー(作家、映画製作者、神秘学者)ら識者5人が斬新かつユーモラスな極私的『シャイニング』論を披露。目から鱗の“真実”からマニアも唖然の“珍説”まで飛び出し、あらゆる映画ファンの知的好奇心を刺激してやまない。あなたも恐る恐る、そしてワクワクと新たな発見に満ちた“237号室”の扉を開いてみては…?
『ROOM237』は2014年1月25日より、全国公開。
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