大人気アニメ『TIGER & BUNNY』が帰ってくる! 2月8日より公開される劇場版第2弾『劇場版 TIGER & BUNNY ‐The Rising‐』は、テレビシリーズの“その後”を描く、待望の完全新作だ。シリーズを通してバーナビー役を演じる声優森田成一を直撃すると、「今回は、新『TIGER & BUNNY』と言うのが、一番しっくりくる。
新番組が始まったのか! と思うくらい」と気になる一言。その真意、バーナビー役への思いを語ってもらった。

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 『TIGER & BUNNY』は、2011年に放送されたTVアニメシリーズ。スポンサーロゴを背負って街の平和を守る異色のヒーローを人間味豊かに描き、瞬く間に大ヒット。2012年9月には劇場版第1弾『劇場版 TIGER & BUNNY ‐The Beginning‐』が公開された。 『The Beginning』が、TVシリーズの1、2話を基に新規エピソードを加えたものであった一方、『The Rising』は、TVシリーズ後の完全新作としていよいよヒーローたちの“その後”が明らかになる。「僕自身も一ファンとして、"その後"が気になっていたんです」と森田。アフレコに挑んでみて、「また新たに始まったなという印象をすごく受けました。色合い的にもこれまで以上にカラフルだし、ガラッと変わったものになる」と、彼自身も完全新作にワクワクとしている様子だ。

 本シリーズ最大の魅力は、各ヒーローそれぞれが葛藤し、オンリーワンの輝きを放っていることだ。「『The Rising』では、各キャラクターの受け答えから、それぞれが成長したり、変わってきているのを感じとれると思います」と森田。演じるバーナビーも、もちろん大きな変化を遂げている。
「バーナビーは、これまで過去に生きてきた人物。そういったものに一旦区切りがついたので、今回のバーナビーは、現実にリアルタイムに反応するわけです。つまり、現実社会にちゃんと生きている。やっと、普通の青年になったバーナビーがそこにいます。そういう意味では、バーナビーはとても大人になった。(鏑木・T・)虎徹さんよりも、大人なんじゃないかな」。

 「成長の度合いを演じるのが、難しかった」と振り返る。TVシリーズだけを考えても、バーナビーはクールな外見に、心の揺れ動きを秘めた難しい役どころだ。森田は「色々な役を演じさせてもらいましたが、バーナビーは一番困った」と笑う。「バーナビーほど苦労した役はないですね。TVシリーズの最初の頃は、とにかく嫌なヤツで。TVシリーズだけでも、バーナビーには基本の人格が4つあるんですよ」と、バーナビーの多面性を告白。


 「虎徹さんに対する態度、他のヒーローに対する態度、オーディエンスに対する態度、そして自分ひとりでいる時の態度。この4つを使い分けなければいけないわけで。虎徹さんと触れ合うことだったり、物語が進むなかで、だんだんとこれがミックスしていく。1つめの人格と2つめを混ぜ合わせるとか、それぞれを何%ずつとか、とにかく細かく、役を積み上げていきました。『TIGER & BUNNY』は、本当に繊細な作業を強いられた現場です。神経が磨り減る思いでした」。 『The Rising』では、キャラクターの内面の変化だけでなく、ストーリー展開にも大きな局面が見てとれる。その最たるものが、ワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹とバーナビーのコンビ解消だ。しかし「僕は、2人のコンビ解消には、まったく驚かなかった」と打ち明ける。「あくまで、役者を20年近くやってきた者としての脚本の読み方としてですが、これからの『TIGER & BUNNY』を作るためには、必要なファクターだったと思う」。

 さらにファンを驚かせたのが、新たなバーナビーの相棒となるキャラクター、ゴールデンライアンの存在。森田は「見た目も行動もオラオラ系。
ヒーロースーツも、今まで以上にメカメカしい」とライアンの印象を吐露。声を演じる中村悠一には、「『TIGER & BUNNY』らしい、見事な演技をしてくれた」と賛辞を惜しまない。「『TIGER & BUNNY』って、伏線に対してものすごく神経を尖らせているシリーズで。中村くんは、その伏線ののりしろの部分もしっかりと感じとって演じていたと思います」。

 大きな局面を迎えて感じるのは、“今後”への期待感だ。「これからが、すごく楽しみ。バーナビーの虎徹さんへの気持ちも、今すごくフラットなものになっている気がするんです。『TIGER & BUNNY』が今後どうなるのか、僕はまったく聞かされていませんが、これからどうなるのかがすごく気になります。そう、『これから』という気がしているんです」。

 言葉の一つひとつから、演じるキャラクターへの愛情、そしてプロとしての誇りがあふれ出す。最後に、森田にとっての憧れのヒーローを聞いてみた。「アニメキャラクターなら、『あしたのジョー』の矢吹丈。
声優さんなら、古谷徹さん。俳優さんなら、真田広之さん。3人とも僕の原点であり、憧れです」。真っ直ぐな男たちの名前が並んだが、「仕事をするうえでは、とにかく一つひとつに一生懸命、真面目に努力することが一番。そうやって進んで行きたい」と力をこめる。『TIGER & BUNNY』を見た時に必ず感じる“熱”が、森田成一からも確かに立ち上っていた。(取材・文・写真:成田おり枝)

 『劇場版 TIGER & BUNNY ‐The Rising‐』は2月8日より全国公開。
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