誰もが知っている名探偵、シャーロック・ホームズ。『エレメンタリー ホームズ&ワトソンin NY』は、その名探偵を大胆にアレンジしたアメリカ発の人気ドラマだ。
ホームズ&ワトソンの吹替えを担当した三木眞一郎と田中敦子を直撃すると、「似た者同士」と言う2人から、たゆまぬ向上心が溢れ出した。

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 「現代ニューヨークにホームズが現れたら」、「ワトソンが女性だったら」というアイディアを盛り込み、全米で大ヒットとなった本作。三木も田中も、斬新な設定に「これは面白いぞ」とワクワクしたそう。

 三木が担当するのは、薬物依存でリハビリ中という、超変人だけど天才のホームズ役。三木は「何か調べるという時に、普通は、部屋の中で手の届くもので調べようとするけど、このホームズは、隣の家のドアまで開けられちゃう人」と語る。田中が担当するジョーン・ワトソンは、元一流外科医で常識的な女性だ。
田中は「最初は、ジョーンもそんなホームズに戸惑っていて。彼は男性としてお付き合いしたいかと言ったら、振り回されちゃうから大変だけど、人間としてはすごく面白い人」とニッコリ。

 三木も「エキセントリックなホームズだから。ジョーンはよく耐えているよね!」と笑うが、田中は、その強さを「彼女のキャラクターは、ワトソンの職業がお医者さんという面を崩していなくて。医者だから忍耐強いし、女性だから母性も強い。戸惑いつつもホームズのことを理解していく」と分析。
「相棒になっていく、関係性の変化も面白い」と教えてくれた。

 ものすごい勢いで思考を巡らせるホームズだけに、セリフ量は膨大だ。気力と体力が必要な役のようで、「アフレコはスポーツです」と訴える。

 ストイックに役に向き合う三木だが、田中は「三木君はこだわりを持ったことを突き詰めていくタイプ。そういうところは、本当にホームズみたい」と感心しきり。三木は「自分がやりたいことに、なりふり構わないところはあるかもしれない」とうなずく。
続けて、「あっちゃんは、ジョーンと同じく見守り系だよね。スタジオの癒しだよ!」と三木。 田中は、「癒しかどうかはわからないけど、天然なところが皆を和ませてられていたらいいな(笑)。ジョーンは、医者として失敗してしまった過去があって、自信を失っている女性なんだけれど、私は常に、自分に自信がなくて。そういうところは似ているかもしれない」と告白。三木も「俺だって、自信ないよ」と顔を見合わせる。


 ベテラン声優の2人から、「自信がない」という言葉が飛び出したのは意外だが、三木は「年をとったら楽できるのかなと思っていたんだけど、全然、楽にならなくて」と言う。「25年くらい声優をやっていて、45歳でこのホームズの声を任せていただいて。それは、『この役をできるでしょう?』と言われているということ。だったら、任せてくれた方の予想を超えるところまでいきたいから」。

 田中も「私たち、性格的に似ているのよね。積み重ねてきたものがあるからこそ、常に年相応の進化をし続けていかなければいけないと思っている。
若い時はがむしゃらさやひたむきさがあって、ある程度年齢を重ねたら、技術的なことはもちろん、今度は味が必要になってくる。『これでいいや、こんなもんだ』と思ったらおしまいだと思っています」と熱意がこぼれる。

 仕事に向かう時は「呼んでくれた人を裏切らない。そして、役に嫌われたくないという思いでいる」と三木。「役は自分の思いを叫べないから。常に役の思いを立体的にしていく必要があるので、『俺の声帯でいいですか?』という気持ちを忘れないようにしています」と力を込めると、田中は「このこだわり、ホームズみたいでしょう?」と微笑んだ。
このホームズ&ワトソン、相性抜群だ。(取材・文・写真:成田おり枝)

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