『ファミリー・タイズ』『フルハウス』『The OC』『One Tree Hill/ワン・トゥリー・ヒル』など、かつての日本では、家族や学園を題材にした海外ドラマが多く放送されていた。だが、最近の傾向を見てみると、アクション、サスペンス、刑事モノ、スリラー、SF、ホラー、ファンタジー等、入ってくる作品ジャンルは多岐にわたる一方、学園・家族ドラマはめっきり少なくなっている。
なぜなのだろうか。

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 あるメーカーの関係者は、「日本の海外ドラマ市場はレンタルが主流で、レンタルのメインユーザー層は30~40代男性。彼らが気軽に手に取りやすく、かつ好きなジャンルということで、アクションやサスペンスがうけている」と、口にする。

 さらに、こうも付け加える。「例えば、グリム一族末裔の宿命を描いたダーク・ファンタジー『GRIMM/グリム』や、英国貴族一族の相続問題を題材にした歴史サスペンス『ダウントン・アビー』、主人公の家族が名物キャラの『キャッスル ~ミステリー作家は事件がお好き』など、“家族”という要素は、既に人気作品に含まれています。一族や兄弟姉妹という設定は、共感を得るポイントとしては大きいものの、それだけにしぼったものを見なくても、ミステリーのなかの家族関係で十分」。

 では、本国アメリカではどうなのだろうか。2014年~2015年シーズンに継続が決定したドラマを見てみると、『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』シーズン12、『グッド・ワイフ 彼女の評決』シーズン6、『ワンス・アポン・ア・タイム』シーズン4、『ハンニバル』シーズン3、『LAW&ORDER:性犯罪特捜班』シーズン16、『ヴァンパイア・ダイアリーズ』シーズン6、『スーパー・ナチュラル』シーズン10といった具合に、様々なジャンルの作品が並ぶ。一方、学園ドラマ『glee/グリー』は2015年のシーズン6でファイナルを迎え、家族ドラマ『ハーパー★ボーイズ』もシーズン13をもってファイナルに。 だが、全米ナンバー1視聴率の学園ドラマ『ビッグ バン☆セオリー』は、次がシーズン8なのに、既にシーズン10まで制作されることが決定済みで、ディズニーチャンネルの学園&家族系シットコムは、終了するものもあるが、どれもおおむね好調。そう、ポイントはシットコム。つまり、シチュエーションコメディだ。
というのも、そもそもアメリカでは、家族や学園ものはシットコム形式で放送されることが多い。ただ、このシットコムを含め、アメリカのコメディは、日本ではウケにくい。わざわざ日本で、とはなりづらいのが現状だ。

 「海外ドラマを日本でソフト化した際、話題になる作品は、日本での展開方法や知名度に拠ってしまうため、情報が少ないシットコムのヒットはなかなか厳しい。それゆえ、今後、日本に上陸するアメリカドラマについては、視聴者&ユーザー層が大きく変わるといったことがなければ、今後もこの流れが続くと予想されます」。(前述関係者)

 そして、こんな話をしてくれた。「最近の全米ドラマ市場の特徴は、英国ドラマや映画作品のドラマ化と、人気作の復活です。例えば、前述の『ダウントン・アビー』や『SHERLOCK/シャーロック』はもちろん、『ゲーム・オブ・スローンズ』も米英合作で、エミー賞でもイギリス人俳優が目立ってきています。そして、2015年には『24‐TWENTY FOUR‐』が日本に上陸し、『HEROES Reborn』の全米放送が予定されている。面白いことになりそうです」

 学園・家族ものは少ないが、それ以外が充実の全米ドラマ。期待して待ちたい。
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