2015年、芸能活動30周年を迎えた
斉藤由貴。3月11日にはメモリアルアルバム「ETERNITY」を発売し、3月13・14・15日の3日間、東京・シアタークリエにて「天使のララ Presents 斉藤由貴 30TH ANNIVERSARY CONCERT」を開催。
節目を迎えた斉藤に、これまでの芸能生活を振り返ってもらった。
【関連】「斉藤由貴30周年コンサート」フォトギャラリー シングル「卒業」で歌手デビューを果たした斉藤。つぶらな瞳で笑顔を浮かべるジャケットと、透明感ある歌声は話題となり30万枚を超える大ヒットとなった。「デビュー曲ということもあり、私の中では思い出深い曲ですね。あの曲によって全く知らなかった世界へ飛び込み、多くのことが経験ができたわけですからね」。
その後もさまざまなヒット曲を飛ばし、1986年には第37回
NHK紅白歌合戦に出場。紅組の司会を務めるなど順調な歌手活動を行っていくが"アイドル"という立場には常に違和感があったという。「アイドルから喚起されるザ・芸能界という場所にいるときは、いつも居心地が悪かったです。なんで私がここにいるんだろうってね(笑)」。
一方、女優業も精力的に行っていた斉藤。"撮影の現場"はとても心地良い場所だったと振り返るが、『
スケバン刑事』は少し様相が違った作品だった。「当時の私にとってすごく反発心の強い作品でした。
正直、撮影中は辛かったですね」。その理由を「劇画が原作ですし、スケバンの役ですから(笑)。共感できるとっかかりが一切なかったんです」と語ると「だからと言って嘘くさくなるのは、私の中ですごく抵抗があった。お話をいただいたときは、自分には無理なんじゃないかって思っていたんです」と当時の苦しい胸の内を明かす。 しかし、そんな自身の葛藤が良い効果をもたらしたのではないかと分析。「やり慣れないストーリーや言い回し、アクションを相手に、私自身が戦っていたのが、見ている人にも伝わったから共感してもらえたのかもしれません。毎日『辛いな、嫌だな』って思いながらも、自分なりに一生懸命やろうって格闘していたのは間違いなかったです」。真摯に向き合った結果、30年たった現在でも語り継がれるような代表的な作品になった。「『スケバン刑事』がヒットしたおかげで、出会えた仕事もたくさんありました。その意味では本当に大切な作品ですね」。
「無理かも……」と思いながらも出演した作品が思わぬ好結果をもたらす……。彼女の30年は常にそういう巡り合わせなのだそうだ。
「基本的にお話をいただいた仕事は断らないです。だから色々なことをやりました(笑)」。周囲との信頼関係があるからこそ、決断に迷いはない。デビュー以来、同じ事務所(東宝芸能)に在籍していることも信頼を裏付ける。「周りに恵まれていることは間違いないですね。今回のアルバムも『卒業』当時のスタッフが関わってくれたり……。30年間ほとんど同じ人たちに囲まれているって幸せなことですよね」。
メモリアルイヤーが幕をあけた。強い意気込みが聞かれるかと思いきや「好きな言葉が『ゆるくぬるく』なんです(笑)。できるだけニュートラルでいたい。いつも鍵が開いていて、素地は白くて、何を置いてもその色がきれいに見えるような存在でいたい」。そんな斉藤に、年末紅白歌合戦で歌っている姿が見たいことを伝えると、「ねー(笑)。
お声が掛かれば、喜んで行きますよー」と『ゆるくぬるい』答えが……。ウィスパーボイスに包まれたアルバム「ETERNITY」、そして3daysのコンサート。どちらも自然体の魅力で包み込んでくれることは間違いなさそうだ。(取材・文・写真:磯部正和)