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17歳、高校3年生のとき、映画『旅の重さ』(72)のオーディションに臨み、スクリーンデビューを果たした秋吉。「夏休みの間だけで、あとは普通に学生に戻ればいいと思っていたんです。わたし一人だけアマチュアで現役女子高生じゃないですか。おじさんたちは喜んで喜んで。ペットみたいな感覚だったと思いますよ(笑)」。
軽い気持ちで“女優”という職業の扉を叩いた秋吉。そのスタンスのまま現在まで来たという。「『女優でやっていく』なんて決心はなかったです。だから『いつか上に登ってやろう!』という気持ちもなかった。撮影中も、空き時間なると、フラッと横須賀に行ったり、神社の境内で寝ちゃったり……好き勝手していました」。
この自然体と奔放さが、多くの監督やスタッフから愛される要因なのだろう。「NHKのヘアメイクさんに『精神的な脱毛症にならないのは久美ちゃんだけだよ』って言われたことがあるんです。芸能界に入ると、人間関係などのストレスでみんな脱毛症になるらしいんですけど、わたしは全くならなかった」とあっけらかんと語る。
「先輩女優さんに『わたしのこといじめないでくださいね。他の人はいじめられても黙っているかもしれませんが、わたしは言い返しますから』って言ったこともありました。すると『もうあなたとは口をきかないから』って言われるんです。でもそのうち話しかけてくるんですよね」。気の強い一面を持ちつつも、人懐こさ、正直さで多くの人を魅了する秋吉の魅力を物語るエピソードだ。 そんな中で臨んだ『昭和枯れすすき』。監督は『砂の器』などの野村芳太郎。「野村さんはとにかく器が大きかった。何かの記事で監督が『秋吉久美子は、セットに住んでいる』って語っているのを見たのですが、本当にそんな感じ。
「昭和の監督は、女性のような細やかさを持ちつつ、強い方が多かった。骨太でしたね。監督って作家なので、やっぱり強くないといけないって思うんです」と語った秋吉。現状の日本映画については「わたしたちの若い時代は、娯楽も少なかったので、家族みんなで映画を観に行くことが楽しみでしたが、いまは何でもありますからね。そんな中で、何十億もかけるハリウッド映画みたいなのもある。なかなか難しい時代ですよね」と寂しげな表情。
インタビュー中、「女優という仕事が好きということでもないんですよね」とつぶやいていたが、40年以上に渡り一線級で活躍してきているのも事実だ。「要するにコンプリートさせたいんですよ。経験を積んで良い女優になりたいとか、好きだから頑張るというのではなく、携わったものを最大限の効果として終わらせたいという想いだけなんです」。
秋吉のモットーは“適当に真剣に”。「こういうと『秋吉は適当にやってんだろう』って思うだろうけれど、適当と真剣のバランス感覚が結構大事なんですよ」と笑顔をみせる。
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