世界中を熱狂させた映画『ダークナイト』シリーズ。その前日譚を明らかにする海外ドラマ『GOTHAM/ゴッサム』。
人気声優の小野大輔が、主人公ジェームズ・ゴードンの吹き替えを担当しているが、彼を直撃すると「運命的な出会いを感じている」と真摯な眼差し。並々ならぬ思いを抱え、アフレコに臨んでいた。

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 本ドラマは、“闇の騎士(ダークナイト=バットマン)”が生まれた街ゴッサム・シティを舞台に、市警本部長のジェームズが、いかにして若き刑事から立身していったのか。ゴッサムがなぜ、ダークナイトの存在を必要とする街へと変貌を遂げていったのかを綴るクライムサスペンス。ジェームズ役を演じるのは、青春ドラマ『The OC』のライアン役で知られるベン・マッケンジー。小野は、『The OC』でもベンの吹き替えを担当していた。

 「以前に自分が声を当てさせてもらった役者さんに、もう一度声を当てられるというのがすごくうれしかったんです」と小野。「今は昔ほど、“ジャッキー・チェンさんには石丸博也さん”といったように、この役にはこの人となることがなかなかなくて。僕自身、そういったことに憧れがあったので、ベンと一緒に生きることができるというのは、役者冥利に尽きます」。さらには「ベンと僕は、1978年生まれの同い年。そこにもすごく運命的なものを感じていて、ここから先も、出来る限りはベンの声は僕がやりたいなと思っているんです」と熱く意気込む。 『ダークナイト』シリーズでは、故・納谷六朗さんがゲイリー・オールドマン演じるジェームズに声を吹き込んでいた。
小野は「納谷さんは僕にとっての師匠。養成所の頃から演技を習っていた大先輩であり、すごく尊敬する役者さん」と納谷について述懐。「ジムの若い頃を演じるということは、納谷さんの意思を引き継ぐというということ。すごく身が引き締まるし、名誉なことです。納谷さんがジェームズをどのように演じていたのか。その気持ちをちゃんと受け継いでやりたいと、アフレコに臨んでいます」。

 そういった意味でも「運命を感じている」というジェームズ役だが、彼の魅力を聞いてみると「ゴッサムという真っ黒な街の中で、ジェームズは唯一、真っ白な人。自分の正義を貫き通すんです。愚直なまでに真面目なので、そこは好きな部分ですね」と愛情たっぷりに回答。「ゴッサムに住んでいる人はみんな、グレーないしは黒なんです。ジムがなぜ染まらずにいられるのかが不思議なくらいですが、そこは絶対に染まっちゃいけないと思っていて。とても演じがいがあります」と、個性的なヴィラン(悪役)の中で「絶対に染まらないこと」を大事に演じているという。


 バットマン誕生以前を描く本作。「バットマンを知っている人ほど、ニヤニヤすると思います」と小野が話すように、キャットウーマンやペンギンなどお馴染みのキャラクターが続々登場。ヒーロー誕生までの物語もじっくりと楽しむことができるが、小野にとってのヒーロー像はどんなものだろうか?「僕はサッカーをやっていたのですが、高知県でやっていた少年サッカーチームに、奥寺(康彦)さんが教えに来てくださったことがあって。その時にサインをもらってからずっと、奥寺さんは僕にとってのヒーローです。こういう生き方が自分にもできるかもしれないと思わせてくれる。そういう人が僕にとってのヒーローです」。(取材・文・写真:成田おり枝)

 海外ドラマ『GOTHAM/ゴッサム』ファースト・シーズンは、7月22日DVDレンタル開始
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