映画『東京無国籍少女』では銃片手に向かい来る敵を殺戮する少女を演じた清野菜名。背筋がピンと張った美しい立ち姿から繰り広げられる華麗なアクションで観る人を魅了した彼女が、10月から放送中の産婦人科医療を描いたドラマ『コウノドリ』では命の誕生に立ち会う助産師を演じている。
その振れ幅の大きさに「ですよね~」と笑顔を見せた清野に、本作への意気込みや、誕生する命への想いを聞いた。

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 清野演じる角田真弓は、吉田羊演じる助産師長の小松の右腕として出産の現場を切り盛りする助産師という役柄だ。「助産師は、妊婦さんを安心させる役割もあるので、さまざまなシーンでどういった声を掛けてあげるといいのか……などを意識していますね」と役作りを語る。

 21歳の清野にとって、これまで妊娠や出産は身近な存在ではなかったというが「実は姉が妊娠していて、もうすぐ出産なんですね。だからこの話をいただいたときは、何かの縁を感じたし、今やる役なんだろうなって思いました」と不思議な巡り合わせに突き動かされたことを告白。

 とは言いつつも、全く経験のない役柄。撮影前には大きな不安があったという。そんな中「出産シュミレーターというロボットで赤ちゃんの出産を疑似体験する機会があったんです」とクランクイン前に行ったリハーサルが、今回の撮影に大きな影響を与えたこと振り返る。

 「陣痛もあり、(ロボットの)お母さんが声を出して、出血とかもするんですよ。それまではどこか実感を持てなかったのですが、実際自分がやってみると『無事出産させたい、助けたい』って気持ちが芽生えて……。赤ちゃんを取り上げたときは、母性みたいなものを感じました」。この経験によって「陣痛のシーンや出産のシーンで、自分の演技に自信が持てるようになりました」と貴重な出来事だったこと強調する。
 新しい感情や表現を発見できる一方、これまでの経験が足かせになることも。「私は走り方が恰好いいみたいで」と照れ笑いを浮かべると「緊急で走るシーンとかがあるのですが、どうも颯爽としているみたいで……。それが嫌で、(産婦人科医・下屋加江役の松岡)茉優ちゃんに相談したりして、機敏じゃなくダサく走ろうとするのですが、ぬるく走っているように見えたり……」とアクションで鍛えた機敏な動きが、演技を難しくしていることを明かした。

 また課題も見つかった。「『TOKYO TRIBE』や『ウロボロス~この愛こそ、正義。』など、これまでの作品は、シーンの中で一人芝居することが多かったのですが、このドラマは群像劇で、会話するシーンが多いんです。間とか返しがなかなかうまくいかず苦戦しています。毎回緊張するし、一つ一つすごく勉強になっています」。

 この経験は清野にとって刺激的なようで「私がアクションを始めたのは『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチを見てからなんです。夢はハリウッドでアクション映画に出ること。だから今回のように課題を見つけられる現場は楽しいし、常に吸収しようという気持ちで臨みたい」と意気込みを語る。

 「この作品に入るまで、妊娠や出産に関して知らないことだらけでした」とつぶやいた清野。
「原作や台本を読んで、妊婦さんの大変さや、生まれるまで様々なリスクがあることを知りました。もちろん気をつけていても防げないこともありますが、知ることによって気づけることもあります」と本作に込められたメッセージを伝えると「生まれてくる命の奇跡、素晴らしさを感じてもらえれば」と見どころをアピールした。(取材・文・写真:磯部正和)

 連続ドラマ『コウノドリ』は、TBSにて毎週金曜日22時より放送中。
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