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「かつて私が『G.I.ジョー』に出演したということだけで、『メモリーズ』のアクションチームは、私の刀さばきがかなり上手だと思っていたらしくて…。そのため、足のステップや刀の使いかたなど、私がよちよち歩きの第一歩から学ばなくてはいけない状態だと知るや、周りのスタッフは本当に失望していましたね。最初から教えなくてはいけないんですか…と、肩を落とされた感じで」と、ビョンホンは苦笑する。そこからビョンホンの猛特訓が始まった。
「アクションスクールに一生懸命通い、ワイヤーに吊られて重心をとる練習、刀を振り回す訓練などを何度も何度も行いました。というのも、アクションの相手役となる女優さんの顔も映したいから代役はできる限り使わないという監督の意向を知り、いつも以上に気を付ける必要があったんです。刃の鈍い刀でも、顔を傷つけるには十分ですから」。
今回のソード・アクションもそうだが、とにかくひたむきに、何事にも全力で取り組むイ・ビョンホン。だからこそ、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』『REDリターンズ』『G.I.ジョー パック2リベンジ』など、ハリウッド映画のなかでも、大作と謳われる作品へのオファーが相次いでいるのだろう。しかし、「ハリウッドはそこまで甘いところではない」と、表情を引き締める。
「ハリウッドの仕事に関しては、現地に何十年も住んでいない限り、やはり限界があると思っています。言葉を筆頭に、育ってきた文化や情緒、精神世界も違うわけですから、完全にそこにいる皆さんと同等の演技はできません。ゆえに、ハリウッドでの撮影は、そういった違いを改めて感じさせられる悲しい時間でもあるのですが、あるとき、アメリカの俳優さんの演技を見ていて、悲しみをこういうふうに表現するのかと、最初は違和感を覚えていたのに、心をオープンにすると、そういう演技もあるんだと、だんだん理解ができてきた。人に対する理解の幅が広がってきたんです。それは、とても嬉しいことでした」。 最後に、ハリウッドでの実績を着実に重ねている今、俳優としてのこれからを聞いてみると、「実は、これまで1度も目標を持ったことがないんです。常に自分は現在進行中で、先に行くまでの過程にいるにすぎない。だから、今後はあまり考えていません」と述べたうえで、こう答える。「ただ、韓国で撮影してアメリカへ行って、アメリカで撮影して韓国へ戻ってという、半々の割合で生活をしていると、ハリウッドでどこまでいけるのか、どこまでできるのか、やってみたいという気持ちはあります。でも、自分が得意とするのは、韓国語の演技であり、韓国語の情緒で演じること。やはり、自分のベースは韓国になると思います」。
つまり、イ・ビョンホンのワールドワイドな活躍を、まだまだ楽しめるということ。
『メモリーズ 追憶の剣』は1月23日より全国ロードショー。