『スタンド・バイ・ミー』『スプリング・ブレイカーズ』『リンダリンダリンダ』『私たちのハァハァ』など、洋画・邦画問わず青春映画では4人組のメインキャストが目立つ。現在公開中のザック・エフロン主演『WE ARE YOUR FRIENDS/ウィー・アー・ユア・フレンズ』も、EDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)シーンを題材に、DJとしての成功を目指す若者4人の成長や葛藤を描く、典型的な青春映画だ。
しかし、なぜこうも4人組の青春映画が多いのだろうか。

【関連】映画『WE ARE YOUR FRIENDS/ウィー・アー・ユア・フレンズ』場面写真

 『WE ARE YOUR FRIENDS』の宣伝も手がける、宣伝プロデューサーによると「4人組だと、仲間のキャラクターを上手く描きわけることができるのでしょう。主人公、イケメン、ケンカっぱやい奴、そしてダメな奴ですね。これは“黄金のカルテット”だと思います。例えば、メインキャラクターが3人だと深みが出ず、5人以上だと多すぎて観ているほうが顔を覚えられないんじゃないでしょうか」と口にする。

 確かに、野球やサッカーなどチームで戦うスポーツ系青春映画でも、主人公とその他のメンバー2~3人くらいは詳細に描かれるが、それ以外のキャストは、その他大勢となることが多い。もちろん、その他大勢が記憶に残るのは…正直、厳しい。

 「いけないことだとは思うのですが、2時間という限られた尺のなかで、それぞれのキャラクターをしっかり立たせて、見ている人に感情移入してもらうには、4人より多くなると難しいでしょう。例えば、メインキャストが増えていけばいくほど、単純計算で1人あたりの時間も少なくなる。つまり、必然的に描き方が浅くなってしまうわけです。また、青春映画に登場する仲間たちは、幼馴染であることが多いですが、大人になってもまだつるんでいるということは、ある程度限られた人数のほうが現実的だと思いますね」。 また、別の関係者は「4人は扱いやすい」ときっぱり。
「キャラクター的な面もそうですが、例えば、飲食店に入ると4人掛けのテーブルが多いように、4人だと多彩なカメラアングルが可能となり、画にもなりやすい。それで会話劇となると、テンポよく進められ、観客も理解しやすい。これが、6人や8人になってくると、入れ代わり立ち代わりで、見ているほうが大変。舞台だったら可能なんでしょうけどね」と説明する。

 そして、前述のプロデューサーは「元祖4人組青春映画『スタンド・バイ・ミー』の影響も大きい」と話す。「あの作品が世代を超えて愛される不朽の名作となったからこそ、4人組の青春映画が増えていったわけです。だからこそ、個人的な話で恐縮ですが、私の世代は『トレインスポッティング』が鉄板の4人組青春映画で、どの世代にも、これ!という4人組青春映画があるはずです。それほど(たくさん)作られているのはもちろんですが、懐かしい気持ちになったり、ほろ苦いけど爽快な気分を味わったりできるのは、4人組青春映画ならではでしょう」。

 名作から見るか、最新作から見るか。“懐かしいけど、古くはない”そんな4人組青春映画をたっぷり楽しんでもらいたい。(文:安保有希子)
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