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主演映画『悪党に粛清を』以来、1年半ぶり2度目の来日となったマッツ。人気のすさまじさは顕著で、来日の速報が流れるやいなや、SNSのホットワードには「マッツ」の言葉が入り、登壇予定の初日舞台挨拶は秒速で完売、当日は一目見ようと押し寄せるファンであふれた。見たくても見られないという思いが募り、その名をもじって、「マッツ・ミレマセン(見られません)」と悲しみをユーモアに昇華させた日本のファンの熱狂っぷりを伝えると、マッツは笑いながら、「申し訳ない。また戻ってきますとお伝えしてください!『ハンニバル』で日本のファンの方が爆発的に増えてくれて、自らを”ファンニバル”と呼んでくれているみたいですね?大好きです」と、「ミレマセン」ファンにメッセージを寄せてくれた。
そんなマッツがマーベル・スタジオに満を持して参加となった最新作『ドクター・ストレンジ』は、事故により両手が不能になった天才外科医ストレンジが、魔術の師エンシェント・ワンに出会い、復活を遂げていく物語。お気に入りは「ファースト『スパイダーマン』!」と嬉々として話すほど、子供の時分からマーベル好きだというマッツだが、本作では主人公と対決する悪の魔術師カエシリウスに扮した。
自国デンマークとハリウッドとの撮影の違いについて聞くと、マッツは「デンマークの映画の場合は監督がボス、ハリウッド映画ではスタジオがボス」と即答。「ただ、『ドクター・ストレンジ』の場合は、大きな映画だということを忘れてしまうくらい親密さがあったんだ。一緒に作ってアイデアを出せる空気感があったので、またちょっと特殊だったよ」と、アットホームな雰囲気を伝えてくれた。 エンシェント・ワンのかつての弟子でありながらも、師の行動に疑問と強い憤りを感じ、反逆者として闇の魔術師になっていくカエシリウスだが、悲しみを心の奥深くに宿しているような、エモーショナルな印象さえ与える。
役への向き合いについて、マッツは「彼の悲しさは映画の中でももちろん描かれている。
こうしたダークサイド気味な役にも深みを与えるような演技こそ、マッツに様々な役のオファーがくる所以だと推察する。本人に聞けば、「はっきり言うけど、僕は世界中のオファーをもらうわけではないよ!」と肩をすくめるそぶりを見せつつ、「作品に出演するにあたって大切なのは、惹かれるストーリーであること。もうひとつは、監督。その人の中に炎があるのか、映画にすることはその人の夢なのか。もしただの仕事として捉えている人ならば、(一緒には)組めない。監督の夢であれば、それは僕の夢でもあるんだ」と、理知的な口調で夢という言葉を使いながら、作品に対する思いを語った。マッツが歩む豊かな役者人生、スクリーンでの姿を拝み続けたい。
『ドクター・ストレンジ』は全国公開中。(取材・文・写真:赤山恭子)
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