公開後「大人が泣ける映画」として反響を呼んでいるディズニーピクサー最新作『リメンバー・ミー』。4月1日付の週末動員ランキングでは、並み居る春休み映画や封切作を抑えて、公開3週目の同作が1位を獲得した。
「大人が泣ける」という口コミは本当なのか?そこで、俳優の的場浩司に都内の映画館で『リメンバー・ミー』を鑑賞してもらい、インタビューを実施。すると、「これは泣くぜ!」と太鼓判を押し、劇中の親子のやり取りを思いだして、瞳を潤ませる場面もあった。

【写真】『リメンバー・ミー』を鑑賞した的場浩司インタビュー写真

 本作は、ギターを奏で、歌うことが大好きな少年ミゲルが、1年に1度だけ亡くなった家族たちと会える"死者の日"に、彩華やかなテーマパークのような<死者の国>へと迷い込み、ガイコツの相棒へクターと冒険を繰り広げるファンタジーアドベンチャー。

 実は「大のピクサー映画ファン」で、「ほとんどの作品のDVDかブルーレイが自宅にある」という的場。「本当の意味で、家族の大切さというものを感じられますね。それを回りくどくなく、お説教くささなしに、心の中にすっと入り込んで伝えてくれる。あと僕はどうしても父親の立場で観てしまいました。後半の、歌に関するあるくだりとか。ヤバいですよ、本当に」と、鑑賞直後、作品を思い出して"本気で"涙ぐむ。

 「世のお父さんも泣いちゃうと思います。自分の子どもが男の子であれ、女の子であれ、その子が小さかった頃の思い出とかぶる。僕はもともとピクサー映画が大好きで、『トイ・ストーリー』も『モンスターズ・インク』も『カーズ』も、ずっと観てきていますが、間違いなく1番泣いたピクサー作品です。
今思い出しただけで、涙が出てきますからね。ちょっと待ってください」と言うと、両頬をバチッと1発叩き、気合を入れなおした。 また、単純に感動するだけではないとも力説する。「前半戦はたっぷり笑わせてもらいました。だからいいんだと思うんです。しっかりと笑えて、しっかりと泣かせていただいて。出てくるキャラクターもみんないいですしね。気持ちが物語の中に、最初から最後までずっといられた。それが一番ステキなんだと思います」。

 映像の世界で活躍する的場ならではの感想も。「黒の使い方が上手いんですよ。引いたときの画の黒がすごく効いてる。
日本の影絵のような雰囲気もありながら、異国の情緒あふれる感じもある。黒にも深い黒や浅い黒があって。あれは引き込まれますね。"うわー、すごくキレイだ!"となります」。しばしば<死者の国>のカラフルさ、光の美しさといった映像美が語られる本作だが、確かにそれは"黒"が効いてこそだと、的場の言葉に気づかされる。

 ちなみに的場自身が<死者の国>に行けたとしたら、「祖父母に会いたい」とのこと。「孫で男が僕だけだったこともあって、僕のことをすごく心配してたんです。若いころ、僕は人生どう生きていいか悩んでいて、お花屋さんとか運送屋さんとか、いろんな仕事をしていました。どれも真面目にはやっていましたが、生涯続けて行こうという気はなかった。祖父母が亡くなったときは、役者デビューしてからまだ数年でした」と語り、続けて「先月、49歳になったんですけど、役者を始めてちょうど30年なんです。それを報告したいなって。俺、30年、ひとつの仕事をきちんとできたよって。
まあ、『リメンバー・ミー』的に言えば、(見守ってくれているので)知っていると思うんですけどね(笑)」。

 自らの話も交えて、感想を語ってくれた的場。最後に改めて本作の魅力を口にした。「すごく見ごたえのある作品でしたし、後を引く作品です。幸せな時間をいただきました。映画のストーリーはもちろんですけど、それだけじゃなく、自分の思い出も思い起こさせてくれる。だから後を引く。友達に勧めるときは、『観終わってからも、しばらく考えるぜ』と伝えます。あと『泣くぜっ』って(笑)」。(取材・文:望月ふみ/写真:高野広美)

 映画『リメンバー・ミー』は全国公開中。
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