第99作となる連続テレビ小説『まんぷく』(NHK総合/10月1日より毎週月曜~土曜8時)でヒロイン・今井福子を演じる女優の安藤サクラ。完成試写会では「撮影が楽しくてしかたない」と、“朝ドラ”出演を全身で喜んでいる様子が感じられた。
そんな安藤に、朝ドラへの思い、そして撮影現場でのエピソードを聞いた。

【写真】NHK連続テレビ小説『まんぷく』でヒロイン・福子を演じる安藤サクラ

 子育て中の女優として初めて朝ドラの主演に抜擢された安藤。しかし、オファーを受けた当初は、「とても受けることができないと思って、悔しかった」という。ちょうど、オファーが届いたのは、安藤が長女出産後わずか4ヵ月後のことで、安藤は「子どもを産んだら、母親は子育てに専念しなきゃいけないという考えしかなかった」と話す。だからこそ、「お受けする可能性はゼロだったので、どうやったらこの悔しさを、ハッピーな出来事として、よりよい方向に持っていけるかなって、自分の気持ちを切り替えるのがすごく難しかった」と本音をこぼす。

 そんな安藤が、出演を決めたのは、家族の言葉がきっかけだった。特に、夫の母、義母である女優の角替和枝の「これをやらないんだったら、事務所も仕事も辞めちゃいな」という言葉に強く背中を押された。「子どもを産んで、なおかつ女優としてやってきた義母の言葉はすごく心強くて、覚悟を決める一つになりました」。

 また、義父である柄本明、夫である柄本佑、そして父親の奥田瑛二から「大阪のあのスタジオは…」という具体的なアドバイスをもらったことも大きかった。「やっぱり自分の家族じゃなかったら、絶対にできなかったと思う。この家族だから、誰も経験したことない一発目に踏み込むことができたんだなって感じます」。

 安藤はインタビュー中も、終始、満面の笑顔を見せ、「福子というまっすぐな女性をたくさん時間をかけて演じる機会をいただき、人として女性としてすごくいい生き物に生まれ変われるのではないかと思ってます」と本作への出演を心から楽しんでいることをうかがわせる。
そして、母になったことで、「全てにおいて母ちゃんになったら、パワーがみなぎるようになりました。すごく体力があるんです」とにっこり。さらには、「出産してからまだそれほど年月が経っていないので、出産シーンで陣痛の演技をするのは楽しかったです。新しい陣痛のシーンをお届けできると思います」とお茶目に笑った。 また、本作では、長谷川博己が演じる立花萬平との恋も見どころの一つ。安藤は福子と萬平のロマンスについて、「トンチンカンな二人の恋心がぴったりくっついたようなロマンス。演じてても見ててもとってもお茶目で面白い」と語る。

 「二人は、結婚して夫婦になってからも、すごく不器用だけどうまいこと寄り添って前に進んでいる。決して歪んでなくてまっすぐ。そんな二人らしい出会いだと思います」。

 「萬平さんはすごく可愛らしい男性で、見ているとニコニコしちゃう」と話す安藤だが、一方で長谷川について聞いてみると、「萬平さんの扮装じゃない長谷川さんを、たまにスタジオの外でお見かけすると、こんなに色っぽいイケメンなんだってびっくりします。ギャップ萌えですね」と頬をゆるませた。


 おおらかで、笑顔を振りまきながら前向きに生きる福子をそのまま体現したかのような安藤。観る者にひたすら元気を与えてくれるヒロインの誕生に期待が高まる。(取材・文:嶋田真己)

 連続テレビ小説『まんぷく』は、NHK総合にて10月1日より毎週月曜~土曜8時放送。
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