【写真】抜群のスタイルを誇る、池田エライザ 撮り下ろしカット
■理不尽に立ち向かうヒロイン「彼女のようにはなれなかった」
池田が演じるなつめは、時に相手が誰であろうと主張を曲げない“芯の強い”女性。理不尽な出来事に立ち向かおうとする姿勢も印象に残るキャラクターだったが、池田自身は「彼女のようにはなれなかったタイプ」と明かす。
「理不尽なことが好きじゃないのは同じだけど、私は仕事をしていく上で、守るものも増えてきたし、大切にしたいスタッフさんたちにも出会えたから、よりクリエイティブなことをしていくためにも『言わなくていいことは言わなくてもいいかな』と思うこともあって。なつめみたいに真っ向から『そんなの間違ってる』って言えるほどの強さは持てなかったかなと思います。だからこそ、壁が立ちはだかるたびに臆せず向かっていくなつめを演じるのは楽しかったですね」。
なつめの性格を象徴するのが、SNSが炎上し、マネージャー・群青あかね(板谷由夏)から謝罪会見を行うよう要求されるも「謝りません」と突き返すシーン。自分がいざ同じ状況に陥ったら「自分に否があるのなら反省してしまうかもしれない」と話す。
「なつめを演じていてスカッとした瞬間でしたね。たとえ誤解であっても、スキャンダルがあれば謝らなければならないという風潮がある中で、彼女が発したのはいわば“文化を変える”挑戦でもあったと思うんです。現実でも疑問に思う瞬間はあって、例えば“不倫の謝罪”も当事者間ならまだしも、何に対して謝っているのかと感じることはあります。
■心の痛みに向き合えば、過去の自分も救えるはず
強さを見せる一方で、追い詰められる場面ではときに酒に溺れ、親友のサニー(コムアイ)らに弱さをさらけ出してしまうなつめ。そんななつめにサニーが「目そらさないでさ、ちゃんと傷ついたら? 傷ついた時にしか、感じられないことがあるじゃん。それと向き合わないとか、ありえないでしょ」と語り掛けるシーンは、「実花さんが私の言葉を受けてセリフに取り入れてくれました」という。
「サニーのセリフは、私の気持ちが元になっていることが多いんです。誰でも悩みに直面すると頭の中にいつまでもつきまとってしまうけど、人ってそんな場面ではどうしても早く解放されたいと思ってしまうじゃないですか。でも、そこで本当に大切なのは自分の気持ちと向き合うことだと思うんです。心のどこが痛いのかを探りながらときには『よしよし』となぐさめてあげることができれば、過去の自分も救えるはずだし、それをやらなければたぶん同じことの繰り返しになってしまうと思っていて。そういう話をしたら実花さんが劇中に反映してくれました。自分が発信した言葉なのになつめを通して自分に問いかけられていたので不思議な感覚でした」。■フォロワー100万人、SNSの流儀「ネガティブなことは言わない」
若手女優のなつめが一歩ずつ階段を進んでいくさまは、どこか現実で池田が歩んできた芸能界でのキャリアと重なる。劇中では、写真家・奈良リミ(中谷美紀)のSNSを通して成功への足がかりをつかんだなつめだが、池田自身にも現在に通じる転機があったと振り返る。
「モデルとして芸能界に入ったのが中学時代で、初めのうちは与えられたまま仕事をこなすだけだったんです。でも、あるときに事務所の方から『あなたが着ている洋服は誰が作って、どこに売られているものか知ってる?』と問われたときに、自分がどんな影響を与えているのか分からないまま仕事をしていたと気付かされたんですよね」。
その言葉を受けて、さまざまなファッション誌を読んでみたら、それぞれの洋服にもいろいろな技術や歴史があると知りました。読書も好きだったのでファッションの勉強にのめり込んでいったら、次第に気持ちを持て余すようになってしまったんです。そこから『ファッションってこんなにすごいんだよ』とみんなに共有したい一心で始めたのがSNSでした」。
ツイッター、インスタグラムで今や、フォロワー数が100万人を超える池田。本作では彼女演じるなつめが、あるつぶやきをきっかけに炎上する場面も描かれているが、自らはインフルエンサーとして「ネガティブなことは言わない」と独自のポリシーを語る。
「ついうっかり出てしまうときはあるかもしれないけど、後ろ向きな発言はあえてはしないですね。マイナスな姿勢や意見を文字として一生残すことに、メリットは何一つないと思うんです。友達にすら相談するのはハードルが高いのに、私がネガティブなつぶやきをすることは誰も求めていないと思っています」。
■立ち止まりながら、好きなものに打ち込む
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一方で、女優やモデルなどさまざまに肩書きを変えて活躍の場を広げる池田。今夏には初めて監督を務めた映画『夏、至るころ』の公開も控えているが、精力的な活動の原動力は「ただただ好きな気持ち」だという。
「元々、音楽を作ったり映像を撮って自分なりに編集したりもしていましたが、すべて自主的に勝手にやっていたことなんです。初めから『どこかへ発信しよう』と取り組んでいたわけではなくて、プラモデルを作るような感覚で没頭していただけで、いつの間にか仕事にも結び付いていた気もするんです。
ふと、他人から影響を受けてばかりいる、と気が付いたときには立ち止まる瞬間もあるんですけど、好きなことをやって冷静になり、また別のものにも打ち込むという繰り返しが楽しくて。劇中のリミと同じく、私は仕事と人生のいずれも100にして分母を200にしたいと考えるタイプなので、これからも興味のおもむくままに自分なりのクリエイティブを突き詰めていきたいです」。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:曽我美芽)
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