
マーベル・スタジオ最新作『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』が本日から公開されている。本作はシリーズに新たに参入する“はじめまして”のキャラクターが主人公の作品で、日本版声優を務めた坂本真綾と林勇によると、これまでにないキャラクター像が描かれるようだ。

“ファンタスティック4”は、異なる力と個性を持つヒーローチーム。天才科学者でチームリーダーのリード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティック(日本版声優:子安武人)は身体がゴムのように伸縮自在となる能力と卓越した知性を持ち、彼のパートナーであるスー・ストーム/インビジブル・ウーマン(同:坂本真綾)は身体を透明化する能力を持つチームの精神的支柱だ。スーの弟ジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチ(同:林勇)は全身を炎に包み高速で空を飛ぶことができる陽気な存在で、リードの親友ベン・グリム/ザ・シング(同:岩崎正寛)は岩のような強固な身体と怪力の持ち主だ。

坂本 スーは4人組の紅一点で、みんなにとって“心の母”的な存在です。リーダーのリードがみんなのことをまとめるのかと思いきや、実質的にはスーがみんなをケアしながらまとめている部分がある。穏やかな性格でありながら、公の場では大勢の前で演説したり、交渉したりする役割も担っていて、夫のリードを支える温かい妻であり、弟のジョニーを時に厳しく諭しながらも面倒を見る良い姉であり、苦楽を共にしてきた友達のベンが4人の中で孤立しないようにはからっていたりもする。スーは決して誰かを傷つけるようなことのない素敵な女性です。
林 ジョニーは4人の中で一番年下ということもあって、陽気なムードメーカー的な役割ですね。一方で彼はとにかく好奇心旺盛な面があって、調べたい言語だったり、新たな人物との出会いがあると気になる、調べずにはいられない、という部分がある。ファンタスティック4は、それぞれが優しくて、スーは間違っているところはちゃんと正してくれた上での優しさがある。ベンは友達みたいな感じで何を言っても受け止めてくれて許してくれる優しさがある。そしてリードはリーダーではあるんですけど包容力がある。
ふたりの発言から推測すると、新チームを読み解く鍵は“優しさ”のようだ。時にマーベル・スタジオ作品の登場人物は孤独だったり、厳しい過去を背負っていたりするが、彼らは家族。どこかに安心感や誠実さ、良い意味で私たちと“同じ感覚”がある。

林 4人でひとつ、みたいな感じがしますよね。マーベル・スタジオ作品に登場人物の中には孤高だったり、孤独を抱えながら世界を救おうとしているキャラクターもいますけど、彼らは自分たちがヒーローだと世界に公表している。すごく距離の近いヒーローだという感じがしますね。
坂本 この4人は本当に仲が良いんですよね。きっと元々が友達だったり家族だったりして普通の人間としての関係や絆があるから、たまたま事故にあってヒーロー的な力を授かって世界を救うことになるけど、きっとこの4人しかわからない感覚だったり、ヒーローになる前からの距離感がある。だからこそ彼らはみんなで支え合って一緒に世界を守ると決めたんだろうな、と想像しています。
林 仲間で団結して戦う主人公の映画は最近、少なくなっている気がしたので新鮮ですよね。
坂本 すごく王道のヒーローという印象もありつつ、これまでにない方向性を感じられる作品でもあるんです。
林 リードとかもすごく人間味があって「この世界を救えるんですか?」って人々から聞かれても、素直に「わかりません」と返す。でも、その時にジョニーが助け舟を出したりするんです。だから、この4人はすごく普通で、それぞれの足りない部分を埋め合っているのを感じる。すべてのマーベル映画を知っているわけではないですけど、個人的には新しい雰囲気を感じられるキャラクターです。
来年の『アベンジャーズ』には登場できる。そう信じています。

林 監督さんと収録中も何度もすり合わせて、“普通の人がすごい能力をもらってしまって世界を救わないといけない”というイメージでやりました。だから、これまでのお芝居とかでヒーローを演じてきた際のイメージはまったく使えなかったので、なるべく削ぎ落とした“普段の声”に近いところで演じることに集中しました。
坂本 完成した作品の試写を観て、自分自身のことは色々とあそこはああだったかなぁ、とか反省しながら観てしまうところはありますけど、他のみなさんが本当に役にピッタリだなと思って、そのことにすごい感動したんですよ。本当にみんな役にピッタリで「さすがだなぁ」と思っちゃって、とても良い日本版ができたと思いながら家に帰ることができました。だから、もし続編があれば、みんなの声を想像しながら、今回以上に安心した気持ちで挑めるかな。とは言え、今回もスタッフの方が収録をしやすいように相当、配慮してくださったと思うんです。
林 そうですね。
坂本 どういう風に日本版をつくっていくのか、向こうのスタッフの方の関わり具合も濃かったですし、“一緒につくっていきましょう”という雰囲気がありました。

本作につけられたサブタイトルは“ファースト・ステップ”。この段階で間違いなくスタジオがセカンド、サード……とシリーズを続けていく意気込みを感じるし、この4人が来年12月18日に日米同時公開予定の超大作『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に登場することも決定している。
林 そうなんですけど……未来のことは誰にもわかりませんから(笑)
坂本 だから、この映画はヒットしてほしいです(笑) もちろん、来年の『アベンジャーズ』には登場できる。そう信じています。

『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』
公開中
(C) 2025 20th Century Studios / (C) and TM 2025 MARVEL.
撮影:源賀津己