フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴが主演を務める映画『アンティークの祝祭』より、本編映像が解禁。本作で初めて白髪姿を披露したカトリーヌ扮する主人公が、幻覚が起きたり、他人が息子に見えたり、老いを突きつけられる様子が映し出されている。


【写真】カトリーヌ・ドヌーヴといえばブロンドヘア

 これまで数々の名作に出演し“フランス映画界の至宝”と称されるドヌーヴが、初めての白髪姿を披露した本作。メガホンをとるのは、映画『やさしい嘘』(2003)、『パパの木』(2010)などを手掛け、ドキュメンタリー映画を中心に活躍している女性監督ジュリー・ベルトゥチェリ。自身の終焉を察した主人公クレール(ドヌーヴ)が、半生を共にしてきたアンティークを処分することで浮かび上がる「劇的な人生」と「本当に遺したい思い」を、女流監督らしい繊細でしなやかな視点で描き出す。

 今回解禁された本編映像は、ドヌーヴ演じるクレールが、自身に現れた老いを受け入れ、長年集めていたアンティークたちを手放そうとする本作の要となる場面。

 終活のため、長年集めていたアンティークたちを庭先で売ることにしたクレール。人手が足りないため、数人の男性アルバイトに作業を手伝ってもらうが、作業半ばで彼らは別のアルバイトのため一度離れることをクレールに告げる。
そこで彼らに渡すアルバイト代を用意し庭に戻ってくると、たった今までそこにあったアンティークや男性たちが、忽然と消えていた。ショックを受け倒れこむクレールを男性たちが抱き起すと、アンティークの数々もまた現れる。

 その後、いぶかしげに青い空を見上げるクレールが「帽子を取ってこなくっちゃ」とつぶやくと「もうかぶっているよ、ママ」と突然息子のマルタンが現れて話しかける。「マルタン、ここで何を? なぜ荷物が庭に?」と困惑するクレール。次の瞬間「マダムの物です」と答えた相手はマルタンではなくアルバイトのひとりだった…。

 ベルトゥチェリ監督は撮影を振り返り「私は彼女(カトリーヌ)のシルエットが大好きで、それは彼女そのものでありながら、同時にクレール・ダーリングの完全な化身でもあった。
自分の最後の日を生きていることで、爆発するようなエネルギーと愉快ないたずら心を持つの。クレールは理性を失ってしまったのか、理性を失ったふりをしているのか…。カトリーヌは、その複雑な、どちらとも言えない状態を表現するのが優れているのよ」とドヌーヴの演技を絶賛している。

 映画『アンティークの祝祭』は近日公開。